第0392日目 〈列王記上第22章2/2:〈ユダの王ヨシャファト〉&〈イスラエルの王アハズヤ〉〉 [列王記・上]

 列王記上第22章2/2です。これを以て 列王記上は終わります。

 王上22:41-51〈ユダの王ヨシャファト〉
 北王国イスラエルがアハブ王第4年に、南王国ユダの王に即位したのはヨシャファトである。35才で王となった彼の御代は、王都エルサレムにて25年続いた。父はアサ前王、母はシルヒの娘アズバ。
 ヨシャファトも父アサ、曾祖父ダビデと同じ心を持ち、自分の神、主を敬った。「彼は父アサの道をそのまま歩み、それを離れず、主の目にかなう正しいことを行った。しかし、聖なる高台は取り除かなかった。(中略)彼は父アサの時代に残っていた神殿男娼の残りをこの国から除き去った。」(王上22:43-44,47)
 ヨシャファト王の御代、塩の海(死海)とアカバ湾(紅海)に至る一帯のエドム地方には統治者がいなかった。そのため、ヨシャファト王の代理人が派遣されていた。
 また、王は遠洋航海用の船舶(タルシシュ)を何艘か造り、金を求めてオフィルへ出航したが、アカバ湾最奥の港町エツヨン・ゲベルの沖で難破してしまった。折しもイスラエル王の子アハズヤが助力を申し出たが、王はそれを良しとしなかった。
 さりながらイスラエルとユダの間には平和が保たれたのである。
 彼の事績、彼の功績、その御代にあった戦は『ユダの王の歴代誌』に記されている。
 崩御しては先祖と共に“ダビデの町”シオンに埋葬され、その子ヨラムが次王となった。

 一言申し添えさせていただくと、ここを読む際には王上12-13,15あたりに目を通して記憶をよみがえらせておくと、この〈ユダの王ヨシャファト〉の項はよく理解できると思います。
 念のため、自身への備忘も兼ねて、参考になる箇所を列記しておきます。
 「聖なる高台」はユダ王レハブアムが築きました。ほぼ同じ時代にイスラエル王ヤロブアムも築いているので、ごちゃごちゃにされませぬように(=さんさんかは一時的に混乱した)。
 「神殿男娼」は王14:24レハブアムが犯した罪の一つ、王上15:12でアサ前王が取り除きました。
 「タルシシュ」は地中海西部にあるスペインの港町ですが、ここでは遠洋航海用の船舶(商船)、もしくは船団を指します。
 「エツヨン・ゲベル」は現在のジェジラト・ファラウン島(ファラオの島)であり、王上9:26にてソロモン王がここで船団を編成した旨、記されておりました。


 王上22:52-54〈イスラエルの王アハズヤ〉
 南王国ユダがヨシャファト王第17年に、北王国イスラエルの王に即位したのはアハズヤである。彼の御代は王都サマリアにて2年続いた。父はアハブ前王、母はシドン人の王エトバアルの娘イゼベル(王上16:31)。
 「彼は主の目に悪とされることを行い、父の道と母の道、およびイスラエルに罪を犯させたネバトの子ヤロブアムの道を歩んだ。彼はバアルに仕え、その前にひれ伏し、父と全く同じように行って、イスラエルの神、主の怒りを招いた。」(王上22:53-54)
 そんなアハズヤ王の死は次の 列王記下第1章にて描かれる。

 アハブ王はヤロブアムと同じ罪を犯して主の目に悪とされることを行い、それでは飽き足らず異民族の女であるイゼベルと婚姻してその神バアルをも崇めた、というのが引用箇所の語らんとすることです。
 「父(アハブ王)の道」は王上16:30-33,「母(イゼベル)の道」は王上21:7-13,23に記されておりました。




 列王記上読了の日、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの「衝突」を読み終えました。一巻の1/2弱を占めるファースト・コンタクトをテーマにした中編。ジールタンとヒューマンが直面した意思疎通の困難と、相互理解への努力。このあたりの長丁場を一瞬のゆるみなく語りあげるテクニックと語りのうまさに、ティプトリーという作家の〈すごさ〉を感じます。このみずみずしさ……これがよもや遺作となろうとは……!
 SF入門にはもちろん、SFから離れていた人がこのジャンルに戻るには、初読であろうと再読であろうと、このジャンルのすばらしさを実感するにはいちばん相応しい作品集でしょう(以前も同様のことをいいましたが)。個人的ながら本書をオールタイム・ベスト10の一冊へ加えるにためらうところ、なし。
 「グッドナイト・スイートハーツ」と「衝突」、並びに表題作所収のジェイムズ・ティプトリー・ジュニア著『たったひとつの冴えたやりかた』(ハヤカワ文庫SF)、小説のすばらしさを堪能したい人はすべからく読むべし。◆

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