第0505日目 〈歴代誌下第9章:〈シェバの女王の来訪〉&〈ソロモンの富〉〉 [歴代誌・下]

 歴代誌下第9章です。
 並行箇所は王上10:1-13〈シェバの女王の来訪〉,王上10:14-29〈ソロモンの富〉と11:41-42〈ソロモンの背信とその結果〉。

 代下9:1-12〈シェバの女王の来訪〉
 ソロモンの名声を聞くとシェバの女王は多くの難問を用意して、随員を引き連れ宝物を携えてイスラエルの王都エルサレムへ来た。シェバはアラビア半島南西地方を指し、現在のイエメン国
 女王はさっそく難問を次から次へと開陳したが、ソロモン王はそれらにことごとく答えていった。彼が知らぬこと、答えられぬことはなかった。
 シェバの女王は唖然とした。王の知恵のみならず王の宮殿にも、料理や臣下の物腰・装いにも、主のための神殿でささげられる焼き尽くす献げ物にも。
 シェバの女王はソロモン王にいった、「わたしが国で、あなたの御事績とあなたのお知恵について聞いていたことは、本当のことでした。わたしは、ここに来て自分の目で見るまでは、人の言うことを信じてはいませんでした。」(代下9:5-6)
 また、イスラエルの神、主をも讃えて、いった、━━
 「あなたを王位につけられたあなたの神、主はたたえられますように。あなたの神はイスラエルを愛して、とこしえに続くものとし、あなたをその上に王として立て、公正と正義を行わせられるからです。」(代下9:8)
 シェバの女王はソロモン王に金や宝石他を贈った。特に香料はこれまでイスラエルにはなかったような上等の物だった。また、ソロモンもシェバの女王に、彼女の望みのままに贈り物を与えた。
 そうしてシェバの女王とその一行は、自分たちの国へ帰っていった。

 代下9:13-31〈ソロモンの富〉
 ソロモン王には年間666キカルの歳入の他、隊商(キヤラバン)や商人が納める税金、アラビアのすべての王や地方総督が貢ぐ金銀があった。
 延べ金の大盾200、小楯300が作られ、それらは「レバノンの森の家」に置かれた。レバノンの森の家とは、高価なレバノン杉をたっぷり用いて、ソロモンが13年もかけて建築した宮殿(ex;王上7:1-6)。そこにある器は、他のソロモン王の杯同様に純金で出来ていた。
 王は紅海貿易を発展させた。ティルス人の王フラムの船団と一緒にタルシシュ(※1)へ公開し、3年に一度、タルシシュの船団が金銀や象牙、猿、ヒヒなどをイスラエルへ運んだのは、その一例である。
 ソロモンは馬と戦車のための厩舎と騎兵を備えて配置した。王はエルサレムにて、石のように銀を、シェフェラのイチジク桑のようにレバノン杉を、大量に供給した。
 「ソロモン王は世界中の王の中で最も大いなる富と知恵を有し、世界のすべての王が、神がソロモンの心にお授けになった知恵を聞くために、彼に拝謁を求めた。(中略)こうして彼はユーフラテス川からペリシテ人の地方、更にエジプトの国境(くにざかい)に至るまで、諸国の王をすべて支配下に置いた。」(代下9:22-23,26)
 ━━このように栄華と権勢を極めたソロモン王の御代も、望月が欠けてゆき新月となる如くに終焉の時を迎えた。
 ダビデの子、イスラエルの王ソロモンは崩御した。40年の治世であった。
 ここ(歴代誌)で語られた以外のソロモン王の事績は、初期のことから後期のことまで、『預言者ナタンの言葉』や『シロの人アヒヤの預言』、『ネバトの子ヤロブアムに関する先見者イエドの見た幻』に記されている。
 「ソロモンは先祖と共に眠りにつき、父ダビデの町に葬られ、その子レハブアムがソロモンに代わって王となった。」(代下9:31)
 斯くして、<王国分裂>の瞬間は目前に迫った。

 ダビデのときと同様、歴代誌はソロモン王のスキャンダルについても触れることなくその御代を語り尽くしました。歴代誌の性格上致し方ないところですが、このあとに控えている<王国分裂>という大事件の原因は、カットされた王の主への背信行為だったのではなかったでしょうか? 黙殺が大儀であったのか?
 並行箇所でも註を付けましたが、「タルシシュ」は現在のスペイン王国はイベリア半島、地中海西端の港町。フェニキア人が鉱物を搬出するのに用いた港町でありました。
 なお、ソロモン王の事績を伝えるに際して資料とされた、『預言者ナタンの言葉』や『シロの人アヒヤの預言』、『ネバトの子ヤロブアムに関する先見者イエドの見た幻』は、いずれも現在では散逸した書物でした。書名ゆえではありませんが、『先見者イエドの見た幻』とはどんな内容であったのか、と想像を逞しくしてしまいます。ホームズ物語に於ける、語られざる事件と同じぐらい関心をそそらされるのであります。



 テレヴィで映画『ニードフル・シングス』(1993 アメリカ)を観ました。S.キング同名長編の映画化。
 十年近く前に借りて観たときは、ずいぶんと小粒な仕上がりと拍子抜けし呆れもしたが、こうして改めて観てみると、手堅く演出されており、途中でだれることもなく、逆によく2時間程度の尺にまとめたな、と丁寧な仕上げに感心しました。
 マックス・フォン・シドー(リーランド・ゴーント)、エド・ハリス(アラン・パンクボーン)の2人が、やはりこの映画を引き締めている。この2人がいなかったら、きっと我々はもっと駄作と称すにためらうことなき実写版を観させられていたことでしょう。この作品は、数あるキング原作映画のなかでも幾分か自己主張を欠くものの、じゅうぶんに観るに値する佳品である、とわたくしは思います。
 監督はフレイザー・ヘストン。名優チャールトン・ヘストンの長男です。余談ながら、セシル.B.デミル監督の名作『十戒』でチャールトン・ヘストンが演じたモーセ、その赤子時代を演じたのがフレイザーである由。◆

共通テーマ:日記・雑感

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。