第0524日目 〈歴代誌下第28章:〈ユダの王アハズ〉〉 [歴代誌・下]

 歴代誌下第28章です。
 並行箇所は王下16:1-20〈ユダの王アハズ〉。

 代下28:1-27〈ユダの王アハズ〉
 北王国イスラエルが(レマルヤの子)ペカ王第17年のとき、南王国ユダでは前王ヨタムの子アハズが即位した。
 このアハズは父祖ダビデの道を歩まず、先祖の神、主に背いた。イスラエルの諸王の道を歩んだ。主はアハズを敵の手に渡した。同盟を結んでいたアラムとイスラエルの軍がユダに攻め入り、星の数程の捕虜と戦利品を持って、それぞれ王都ダマスコとサマリアへ帰っていった。
 サマリアへ凱旋したイスラエル軍の前に、主の預言者オデトが立って諭した。━━主の怒りゆえにイスラエルは憤り、ユダを攻めた。しかし、連れてきた捕虜を奴隷としてはならない。「今、わたしの言うことを聞き、兄弟の国から連れて来た捕虜を帰しなさい。主はあなたたちに対して激しく怒っておられる。」(代下28:11)
 すべての会衆の前で捕虜は解放された。エフライム人の頭たちは「捕虜に衣服を着せ、履物を与え、飲食させ、油を注ぎ、弱った者がいればろばに乗せ、彼らをしゅろの町エリコにいるその兄弟たちのもとに送り届けて、サマリアへ帰った。」(代下28:15)
 一方ユダではアハズのゆえに苦しみと辱めが続いた。エドムとペリシテの軍に襲われて民を奪われ、援助を頼んだアッシリアからも攻撃された。
 「主は、イスラエルの王アハズのゆえにユダを辱められた。彼がユダを堕落させ、主に甚だしく背いたからである。」(代下28:19)
 アハズ王はダマスコの神々にいけにえをささげ、助けを頼んだ。「このアハズ王は、災難のさなかでも、なお主に背いた。(中略)(が、助けを頼んだダマスコの)神々はアハズにとっても、すべてのイスラエルにとっても、破滅をもたらすものでしかなかった。」(代下28:22-23)
 「アハズは主の祭具を集めて粉々に砕き、主の神殿の扉を閉じる一方、エルサレムのあらゆる街角に祭壇を築いた。また、ユダの町という町にはどこにも聖なる高台を造って、他の神々に香をたき、先祖の神、主の怒りを招いた。」(代下28:24-25)
 アハズは崩御すると、エルサレムに葬られた。その犯した罪のために、先祖の墓には並べられなかったけれども。
 彼の事績は、『ユダとイスラエルの列王の書』に記されている。
 彼の子ヒゼキヤが、アハズのあとを承けてユダの王となり国を治めた。彼は主の目に正しいと映ることをことごとく行った。息子は父の道を歩まなかった。

 ここで描かれた、ダマスコ-イスラエルによるユダ攻撃は「シリア・エフライム戦争」(前734年)と呼ばれます。
 いままで歴代誌はユダ国内の描写に専ら力を注いできました。が、ここで例外的に、イスラエルの王都サマリアでの出来事が、簡単ながら描かれます。
 ダビデの家・ユダの国主が先祖の神、主の信仰から離れて放埒に傾くのに対し、主に背いたとして断罪されることとなった北王国の民は、主の預言者の言葉に素直に耳を傾け、同胞ユダの捕虜を助けて故郷へ帰すのです。この、落差というか、前半と後半のくっきりした明暗に、さんさんかは小さくもはっきりした感動を覚えます。
 歴代誌はユダ王の事績を語り続けて、諸王の信仰・不信仰を丹念に記録してきた。その陰でヤロブアム1世を初代王とする北王国イスラエルの存在は不当に無視されてきた、との印象は強い。拭い去れるものではない。しかし、ここで我らは知ることになります、歴代誌著者は、北王国を見捨てたわけではなかった、と。
 分裂して以来主に背くことばかりを行ってきたと見えるイスラエルにも、<彼>はあたたかい目を注いでいた。なんとなればイスラエルとてかつてはダビデとソロモンの王国であり、主が顕彰した民の住まう国であったから。
 北王国イスラエルでも、主の目に正しいと映ることは行われていた。それを教えてくれる、歴代誌としては稀少な章こそが本章であります。なお、この北王国は次のホシェア王の御代、アッシリア王シャルマナサル5世によって滅亡しました(ex:王下17:6)。時に、前722年のことであります。



 これまでのようには行かないが、“ド”の『白痴』は遅々とながらも読進中。もはや一冬どころではなくなってきましたが、仕方ない、覚悟を決めて今年は“ド”を読む年としようか。
 でも、そのあとには好きな作家ばっかり読み耽る、という理想郷的読書が待ち構えている(予定)。キングを読み、トンプスンを読み、エルロイを読み、ウッドハウスを読み、ディケンズを読み、ラヴクラフト・スクールとウィアード・テイルズ派の作家を読み、ドイルとクリスティを再読する。などなど……。
 嗚呼、『カラマーゾフの兄弟』を読み終える日が心待ちでたまらないッ!!◆

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