第0534日目 〈歴代誌下第36章:〈ユダの王ゼデキヤとバビロン捕囚〉他〉 [歴代誌・下]

 歴代誌下第36章です。
 並行箇所は、各小見出し脇に提示。

 代下36:1-4〈ユダの王ヨアハズ〉 並)王下23:31-35〈ユダの王ヨアハズ〉
 ユダ王国の民によって新しく王となったヨシヤの子、ヨアハズは3ヶ月の間王位に在ったが、宗国エジプトのファラオによって退位させられ、兄弟ヨアハズに譲位することとなった。並行箇所に拠れば、ヨアハズはハマトの地リブラに幽閉された。

 代下36:5-8〈ユダの王ヨヤキム〉 並)王下23:36-24-7〈ユダの王ヨヤキム〉
 前王ヨアハズの退位を受けエルヤキム、即ちヨヤキムが即位した。
 が、エジプトによって銀100キカル、金1キカルの科料(年貢)を課せられていたため、ヨヤキムは支払いのため、増税して国民に負担を強いなくてはならなかった(並行箇所に拠る)。
 折しもエジプトは勢力を失い、いまやユダを属国とするのはバビロニアであった。ヨヤキムはその王都バビロンへ連行された。主の神殿の祭具類もバビロンへ持ち運ばれた。
 (捕囚となって37年目、ヨヤキムは解放されてバビロンの賓客として遇された。;王下25:7)

 代下36:9-10〈ユダの王ヨヤキン〉 並)王下24:8-17〈ユダの王ヨヤキン〉
 捕囚となった前王ヨヤキムに代わって、その子ヨヤキンが8歳で新しいユダの王に即位した。
 バビロニアの王ネブカドネツァルは主の神殿の祭具類を略奪し、ヨヤキンを退位させてその兄弟ゼデキヤを王位に就けた。

 代下36:11-23〈ユダの王ゼデキヤとバビロン捕囚〉 並)王下24:18-25:21〈ユダの王ゼデキヤ〉&〈エルサレムの陥落〉
 ゼデキヤは主の目に悪と映ることをことごとく行い、預言者エレミヤの前にもへりくだらなかった。主に立ち帰らず信仰を踏みにじり、神殿を汚した。そして、バビロニアに反旗を翻した。
 「先祖の神、主は御自分の民と御住まいを憐れみ、繰り返し御使いを彼らに遣わされたが、彼らは神の御使いを嘲笑い、その言葉を蔑み、預言者を愚弄した。それゆえ、ついにその民に向かって主の怒りが燃え上がり、もはや手の施しようがなくなった。」(代下36:15-16)
 主はカルデア人(※1)の王、即ちバビロニア王ネブカドネツァルの手にユダの命運を委ねた。カルデア人/バビロニア軍はエルサレムを蹂躙し、その民を老若男女の別なく容赦なく討って殺し、神殿に火を放って猛火に包ませ、宮殿を灰燼に帰せしめた。
 バビロニアの攻撃から辛うじて難を逃れて生き延びたユダの民は、かつて先王ヨヤキムがそうであったように彼の国へ連れて行かれた。いわゆる<バビロン捕囚>である。
 「こうして主がエレミヤの口を通して告げられた言葉が実現し、この地はついに安息を取り戻した。その荒廃の全期間を通じて地は安息を得、七十年の歳月が満ちた。」(代下36:21)
 その70年の間、この地域━━オリエントの覇権は(新)バビロニア王国からアケメネス朝ペルシアへ移っていた。
 ペルシアの王キュロス(クロス)は治世第1年に、イスラエルの神、主の計り事(※2)により心を動かされ、捕囚への恩赦を国中に布告した。
 「ペルシアの王キュロスはこう言う。
  天にいます神、主は、地上のすべての国をわたしに賜った。この主がユダのエルサレムに御自分の神殿を建てることをわたしに命じられた。あなたたちの中で主の民に属する者はだれでも、上ってゆくがよい。神なる主がその者と共にいてくださるように。」(代下36:23)
 斯くして捕囚は解放され、自分たちの大地へ帰ってゆく。

 ※1「カルデア人」→バビロニアを構成する民の一で、バビロニア東南の沿岸一帯に住まう。ネブカドネツァルはカルデア人の出身、ゆえに「カルデア人の王」と称された。
 ※2「イスラエルの神、主の計り事」→「主はかつてエレミヤの口を通して約束されたことを成就するため、ペルシアの王キュロスの心を動かされた。」(代下36:22)「エレミヤの口を通して」云々;エレミヤ書25:11-22,29:10,31:38 殊に29:10。

 我らは学生時代に世界史を学びました。いよいよ聖書の記述にも、かつて勉強した(させられた)記憶のある時代や固有名詞が登場するようになります。
 「列王記」と「歴代誌」を終えてこれから「エズラ記」、「ネヘミヤ記」などの書物へ分け入ってゆくこととなりますが、その際、可能な限り世界史の教科書や参考書、年表や地図が傍らにあってお手隙の時に繙いてみると、あんがい面白くて立体的に聖書の記述の背景を把握できて面白いと思います。よければ、実践してみてください。むろん、本末転倒にならぬように、ご注意を……。
 それにしても、歴代誌のラストは列王記よりも遥かに希望に満ちていますね。この渋みと仄かに射しこむ穏やかな陽光、まるでこれはブラームスの弦楽四重奏曲ではないか!

 今年の1月から読み始めた「歴代誌」上下は、今日を以て終わりとなります。
 皆様、お読み頂きありがとうございました。続く「エズラ記」は4月第3週からの予定です。



 同期の送別会を開いた昨夜。新天地でがんばる彼に非力ながらもエールを送ります。◆

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