第0850日目 〈詩編第148篇:〈ハレルヤ。〉&ターフェル「英国歌曲集」を聴いたそのあとは……、〉 [詩編]

 詩編第148篇です。

 詩148:1-14〈ハレルヤ。〉
 題詞なし。

 森羅万象、あらゆる創造物、生きとし生けるもの、すべてよ、主を讃えよ、主の御名を讃えよ。もちろんこれは文字通り<主を讃える(ハレルヤ)>詩篇だが、あまりに純化されすぎている、という感じがする。悪い意味ではないが、呼び掛けのなかにそれっぽい表現がある、そんな印象を抱くのだ。
 言葉で動く/動かす神に、あらゆる存在を言葉で挙げ、<讃えよ>と具体的な行為を言葉で示す━━聖書の神に手向ける頌歌としては、実に教科書的な詩篇といえまいか。

 「主の御名を賛美せよ。/主の御名はひとり高く/威光は天地に満ちている。/主はご自分の民の角を高く上げてくださる。/それは主の慈しみに生きるすべての人の栄誉。/主に近くある民、イスラエルの子らよ。/ハレルヤ。」(詩148:13-14)



 英文学好きのさんさんかだが、なかでも英詩には身震いするぐらいの畏敬と親しみを感じてならない。学生時代に毎週1コマ、みっちりと英詩に取り組まされ、果ては課題で好きな英詩を回り持ちで、受講生全員の前で暗唱させられる、なんて地獄のような経験があるにもかかわらず、英詩が好きでたまらないのだ。
 なぜか、と考えてみるに、そこにクラシック音楽と或る映画の存在があるのは否めない。映画とはロビン・ウィリアムス主演の『いまを生きる』だが、これについてはまた後日に触れよう。そうして……そう、音楽!! LPで何枚かの英国歌曲集を中古で購入して、これを何度もうっとりしながら聴き耽ったものだが、残念ながら、歌手や伴奏者、収められていた作曲家の作品など、具体的なところはまったくわからない。
 CD時代になって、やがて輸入盤も都内の大型店に行けば手に入るようになった頃から、再び英国歌曲の音盤を少なからず目にするようになった。そうした前段階を経て、間もなく20世紀も終わろうか、という時代にわたくしは一枚のCDと出会うことになる。
 英国━━正確にはウェールズが生んだバス・バリトン歌手、ブリン・ターフェルによるイギリス歌曲集が、そのCDであった。レイフ・ヴォーン=ウィリアムスやジェラルド・フィンジなど、英国歌曲を語る際に忘れてはならない極めつけのリート作品が、現在最も望み得る最高の歌唱で収められている。入門者には必須アイテム、玄人なら持っていなくてはならない一枚といえるはずだ。
 個々の作曲家たちが拠り所としたのは、ハーディ、ハウスマンなど、イギリス近代詩を代表する詩人たちの作物。いずれも古くから日本でも愛されてきた詩人である。素朴で含蓄ある言葉の一語一語を噛みしめるように、ターフェルがいっぱいの愛情と誠実さで歌いあげる。オススメはバターワース作曲の二つの歌曲集。第一次大戦で夭折した作曲家の純粋なる魂の響きをとくとご堪能あれ。
 静かな夜の一刻に耳を傾けてほしい一枚、季節に関係なく。1995年2月ロンドンでの録音(DG UCCG-3096)。
 補足すると、現在、NAXOSから英国歌曲シリーズが継続リリース中。ターフェル、或いはボストリッジの歌曲アルバムでこのジャンルに味を占めたなら、ぜひNAXOSのシリーズにも手を伸ばしてほしい。そこには芳醇かつ魅惑的、なお底なしの如き豊饒の世界が広がっている。◆

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