第1150日目 〈エレミヤ書第37章:〈エレミヤの逮捕〉with酒飲み読書;ジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』〉 [エレミヤ書]

 エレミヤ書第37章です。

 エレ37:1-21〈エレミヤの逮捕〉
 バビロニア王ネブカドネツァルの命令により、ゼデキヤがユダ国の新しい王となった。王都の外に在っては、ファラオの軍勢が進撃してきたのを承けて、バビロニア軍はエルサレムの包囲を(一時的にも)解いて撤退していた。その内に在っては、預言者エレミヤはまだ自由の身であった。かれは都のあちこちで遊説してユダの滅びを告げ、バビロニアへ服することを訴えたが、かれの言葉を真に受け、かつ従う者は国のどこにもなかった。
 そんななか、ゼデキヤ王はまだ辛うじてエレミヤを頼りとする者であった。王はシュレムヤの子ユカルとレビ人ツェファンヤを、預言者の許へ派遣した。かれらは王の頼み(われわれのため、われわれの神に祈ってほしい)を伝えた。……エレミヤに主の言葉が臨んだ。それを携えて、ユカルとツェファンヤは都へ、王宮へ戻った。主の言葉に曰く、――
 ファラオの軍勢の進撃によってバビロニア軍は撤退した。が、危難は去ったのではない、かれらの撤退はいまだけだ。かれらは再び砂塵の向こうから姿を現し、この都を囲いこむ。仮にお前たちが攻め上ってくるファラオの軍勢を破っても、そのあとには新たな軍勢、即ちバビロニアの軍隊が控えて、お前たちを討とうと構えている。バビロニアはエルサレムを破壊し、火を放つ、と。
 ――その後、エレミヤは土地を相続するため故郷アナトトへ行こうとしていた。かれが都の北側にあるベニヤミンの門から出ようとすると、シェレムヤの子イルイヤがこれを呼び止めた。イルイヤがエレミヤにいった、お前はバビロニアに投稿する気だな、と。エレミヤは否定したが相手は聞き入れず、かれを捕らえて役人の前に突き出した。役人たちは激怒した。エレミヤは書記官ヨナタンの家に監禁された。エレミヤは丸天井のある地下牢へ投獄され、そこで長い期間を過ごした。
 エレミヤ拘禁。それを知ったゼデキヤは、王の権限を以てかれを一時出所させ、宮殿に召して密かに訊いた。なにか、主から言葉があったのか。ゼデキヤが訊ねた。エレミヤは、はい、ありました、と首肯した。王よ、あなたは直にバビロニアの王の手に渡されます。続けて、わたしはいま謂われなき理由で地下牢へ入れられています、なぜですか、わたしが、この国や民に対してなにか非道い振る舞いをしたのでしょうか、と訊いた。バビロニアという脅威が迫っているにもかかわらずユダは安泰である、と請け合っていた他の預言者たちはどこへ行ってしまったのですか、とも。
 「『どうか、わたしの願いを受け入れ、書記官ヨナタンの家に送り返さないでください。わたしがそこで殺されないように。』/ゼデキヤ王は、エレミヤを監視の庭に拘留しておくよう命じ、パン屋街から毎日パンを一つ届けさせた。これは都にパンがなくなるまで続いた。エレミヤは監視の庭に留めて置かれた。」(エレ37:20-21)

 ……パン屋街! パン焼き職人の店が集まっている地域と想像されますが、同時に、イタリアのクレモナやドイツのニュルンベルクをも連想します。無論、弦楽器就中ヴァイオリン職人(クレモナ)や職匠たちが歌合戦を繰り広げる様子(ニュルンベルク)を思い描いての謂であります。
 ちなみに「パンがなくなりました」とゼデキヤ王が報告を受けるのは次のエレ38:9です。これはバビロニア軍が再び王都を包囲、兵糧攻めの憂き目にあったがゆえのことでありました。ところで、エレミヤは一日一食、パン一個だったの? 飲み物とか、なし?
 他の預言者たちはどこに行ったのか。――世情に応じて掌返すように自分の主張を返るのが、今も昔も変わらぬ世渡りの常套。どこへ行ったのか、とムキになられても、返す言葉などある筈もありません。ただ、世が本当に安泰であったなら、かれらは出てきて逆にエレミヤへ、自分たちに帰せられるべき非難の矛先を向けるであろう、という気も致します。あと数歩で太宰治「駈け込み訴え」の世界であります。



 喫茶店に寄る前に本屋で読むものを探す、というパターンはよく聞く話。が、わたくしの場合はパブへ行く前に本を物色するパターンが多い。
 今日(昨日ですか)もジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』(新潮文庫)を読みながら、黒ビールを飲み、茹で上げブロッコリを食す。ほくほく顔で短編一編を読了、外へ出たら冷たい風にビールの酔いは一掃された気配。でも、ラヒリの小説が醸造する技巧の冴え、ドラマの妙に中(あ)てられた酔い心地はそう簡単に醒める様子がない。
 この酔いの種類を敢えて表現するなら、こうなるか。即ち〈イイ小説ヲ読ンダナー!〉である。◆

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