第1273日目 〈ダニエル書第3章1/2:〈燃え盛る炉に投げ込まれた三人〉withDVD『吉祥寺の朝比奈くん』を買おうと思います。〉 [ダニエル書]

 ダニエル書第3章1/2です。

 ダニ3:1-30〈燃え盛る炉に投げ込まれた三人〉
 某年のことである。ネブカドネツァルはバビロン州のドラ平野に、自分を象った金製の大きな像を造らせた。除幕式にて州内の諸国民、諸民族、諸言語を話す人々へ、一つの勅命が出された。――笛や琴などあらゆる楽器によって音楽が奏でられたら、この王の像の前に伏して拝め。これに背いた者は燃え盛る炉へ、ただちに投げこまれる。人々はこの勅命に従った。
 が、ここに囚われのユダヤ人を良く思わない衆がいた。このカルデア人たちは王に進言した。現在バビロン州の行政官を務めているシャドラク、メシャク、アベド・ネゴはかの像の前に伏して拝んでいない、かれらは炉のなかへ投げこまれるべきなのではないか、と。
 これを聞いて王は激怒した。そうして3人のユダヤ人を呼び、事の真偽を問うた。かれらは確かに王の像の前に伏して拝んでいなかった。曰く、われらが燃え盛る炉のなかへ投げこまれようともわれらの仕える唯一の神は必ず救ってくれる、またそうでなくてもわれらは王を象った金の像には伏して拝まない。
 怒りに満ちたネブカドネツァルは3人のユダヤ人を、着の身着のままで炉に投げこませた。その役を担った男たちはたちまちその火に焼かれて死んだ。
 やがて、王は目を瞠った。縛られたまま炉のなかへ落ちていったユダヤ人たちがまだ生きている。更にあろうことか、かれらと共に4人目の姿がそこにあり、火のなかを自由に歩きまわっている。それは王の目に、神の子のように映った。
 王はすぐに3人のユダヤ人を出した。かれらはどこにも傷を負っていない。体も服も焼けたり焦げたりしていなかった。驚愕し、畏怖した王はいった、――
 かれらはわたしの命令に背き、ただ自分たちの神をのみ信じ、依り頼んだ。それゆえにかれらの神は使いを遣わしてかれらを守った。諸人よ、かれらの神を罵るなかれ、罵った者は八つ裂きにされ、その者の家は破壊される。まこと、人間をこのように救える神は他にない。
 ネブカドネツァル王はこのあと、3人のユダヤ人をより高き位に就けた。

 なぜ力によって高位に就いた人は、自分を象った無様な像なんて造ったりするのだろう。――かねがね疑問に思っていました。そんなに権勢を後の世にまで伝えたいのかな。それとも、心が成り上がると形あるものはいつか滅びる、という単純明快なことも忘れてしまうのかな。
 歴史が消滅するはずもあるまいし、かれが行った事績はなんらかの形で後世に(望むと望まざるとに関わらず)残るというのに。それとも、これって現代的な考えでしかなくて、当時の人々には未来なんて存在しないに等しく、自分の業績や権力を形あるものとしなくては不安だったのかしら。
 確かに、敗残国の捕囚が自分の権勢に跪かなかったら、むっ、とするかもしれないけれど、そうした者を発見次第、炉に投げこんで処刑してしまうのは古代世界らしい明快さですね。法律というものはシンプルであればシンプルである程、社会は潤滑に、しかも概ね悪い方向へ運用されるのかもしれない。3人のユダヤ人のこの挿話を読んで、ふと、そう考えたことであります。



 何度かレンタルした映画のDVDを自分用に購入することがありますか? わたくしはあります。ロビン・ウィリアムス主演『いまをいきる』と、オーソン・ウェルズ主演『市民ケーン』と『第三の男』、などがそうですけれど、どれも洋画ばかり。
 でも、今回邦画でそうした嬉しい作品が現れました。それを初めてレンタルして観たのは昨年だし、今年になってもう2回借りています。原作も読んで、ああっ、と嘆息した。握玩の一編となった。この映画ソフトはずっと持っていたい。そう思えた邦画は、この作品が初めてかも。
 映画の題名は『吉祥寺の朝比奈くん』。以前に一度だけ、少しだけ本ブログにて名を出しました。原作;中田永一(祥伝社文庫)、監督;加藤章一、脚本;日向朝子、主演;桐山漣&星野真里、主題歌;斉藤和義〈空に星が綺麗~悲しい吉祥寺~〉、2011年作品。
 これがねぇ……切なすぎるんですよ、わたくしにとってはね。だからこそ、ラストの未来を予感させる台詞のやり取り、二人の表情、流れるさわやかで密な空気、透明な井の頭公園の雑木林の光景、すべてが喜ばしいのだ。このシーンが観たいから何度も借りてしまっていたのかもしれないな……。こんな幕切れだったら良かったのに。
 これ程愛おしく思える映画と出会えることなんて、人生にそうそうないと思います。
 「信仰と、希望と、愛、この三つはいつまでも残る。その中で最も大いなるものは、愛である。」(コリ一13:13 新共同訳新約聖書に拠る)◆

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