第1350日目 〈ミカ書第7章1/2:〈民の腐敗〉with「プーシキン美術館展」を観てきました。〉 [ミカ書]

 ミカ書第7章1/2です。

 ミカ7:1-7〈民の腐敗〉
 <終わり>を想起させる夏の果物を集める者のように、収穫期も過ぎたぶどうを探して摘む者のようになってしまった。食べられるぶどうなど、もう残っていないのに。大好きな初生りのいちじくも、どこへ行っても実っていない。嗚呼、なんと悲しいことだろう。
 いまや主の慈しみに生きる者はこの国にいない。主の前に正しい人などいなくなってしまった。皆、互いを疑惑の目で見、相手に猜疑の念を抱くようになった。悪事を企み、私腹を肥やすことに精を出すようになってしまった。しかもかれらは自分の欲望や謀り事を隠し持っている。
 最善の者ですら茨の如し、正しい者は茨の垣に劣る。お前を見張っていた者が告げる、お前の刑罰の日の訪れを。そうしてお前のなかにいるかれらは大混乱に陥る。
 「隣人を信じてはならない。/親しい者にも信頼するな。/お前のふところに安らう女にも/お前の口の扉を守れ。/息子は父を侮り/娘は母に、嫁はしゅうとめに立ち向かう。/人の敵はその家の者だ。」(ミカ7:5-6)
 ――いまや主の慈しみに生きる者はこの国にいない。主の前に正しい人などいなくなってしまった。が、まったくいなくなってしまったわけではない。ここにいる。主の慈しみに生き、主の前に正しくあらんとする者が、ここにいる。わたくしだ。だから、わたくしはこういう、「しかし、わたしは主を仰ぎ/わが救いの神を待つ。/わが神は、わたしの願いを聞かれる」(ミカ7:7)のだ、と。

 一日で済ますつもりがわけあって2回に分載した。「ミカ書」は明日で終わりです。嘘をアナウンスしてしまい、申し訳ありませんでした。
 <民の腐敗>は「ミカ書」を読んだときから、いちばん好きなところでした。最も現実的なるがゆえに最も恐ろしい箇所と思うたせいでもあります。前半はともかく、引用もした後半、第5-6節などは殊に感じる方もおられるのではないでしょうか。荒んだものを感じます。
 裏切り、密告、不信、不実、礼節の崩壊。
 まるで<魔女狩り>が日常化していた中世ヨーロッパ、17世紀後半のアメリカを、20世紀前半のナチスによる<ユダヤ人狩り>、それに伴う<ホロコースト>を、1980年代のチャウシェスク独裁時代のルーマニアを、思わせます。日本に似た時代がなかった、とはいい切れません。軍部が暴走した時代は赤新聞も非道な振る舞いを市民に対して行っていた、といいます。そうして、紀元前のイスラエルでも斯様な出来事は横行していた。
 もしかすると<民の腐敗>はなんらかの形で国家が滅びる前兆なのかもしれません。
 もしわれらが今後、そうした時代に生きることになったとしても、心のなかに、何人と雖も除いたり汚したり、蔑むことも罵ることもできない、いつまでも信じて想い続けられる<愛>を持っていよう。



 横浜美術館に「プーシキン美術館展」を観てきました。すばらしかった。これ程の<美>と出会えたことに幸福を覚えます。17世紀前半のプッサンに始まり20世紀後半のレジェに終わる、まさしくフランス絵画の300年の重み、しっかりと肌と目で心で感じてきましたよ。――おお、月並みにして紋切り型の表現で申し訳ない。
 CMでお馴染みになったルノワール「ジャンヌ・サマリーの肖像」は勿論ですが、個人的にはプッサン「アモリ人を打ち破るヨシュア」、ロラン「アポロとマルシュアスのいる風景」、ランクレ「けちな女の愛人は詐欺師」、ボワイー「プレリュード」、ロベール「ピラミッドと神殿」、アングル「聖杯の前の聖母」、フロマンタン「ナイルの渡し船を待ちながら」、ミレー「薪を集める女たち」、ゴッホ「医師レーの肖像」、シモン「突風」、マティス「青い水差し」、ピカソ「マジョルカ島の女」と「扇子を持つ女」、シャガール「ノクターン」、レジェ「建設労働者たち」が良かった。
 美術館を出てから8時間近く経ついまでも、これらの絵画をわたくしはありありと思い出すことができる。が、明日になったらおそらく鮮明な記憶は殆ど失われてしまうだろう。この不完全な記憶力がなんとも恨めしく思う刹那。これらを観て、心を動かされた事実は、忘れることはあろうけれど失われることはない。その補助として本日のブログが機能すれば「ラッキー」というべきであろう。
 観たなかで自分なりのベスト3を挙げるなら、うぅん、フロマンタン「ナイルの渡し船を待ちながら」、レジェ「建設労働者たち」、アングル「聖杯の前の聖母」かなぁ。目録もポストカードも買っていないので図版として挙げられればいいのだろうけれど、残念、本ブログは一切の図版の挿入を行わない方針でいますので、何卒ご容赦の程を……。
 本展は09月16日まで。会期中にもう一度出掛けるつもりです。◆

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