第1373日目 〈「ハガイ書」前夜〉 [ハガイ書]

 これまでに読んだ十二の預言書はいずれもエルサレム陥落以前の時代を舞台としてまいりました。エレミヤやエゼキエル、イザヤ、そうして9人の小預言者たちはそれぞれ北王国イスラエルと南王国ユダがまだ存続しているうちに生きて、預言者として活動してその役目を果たしました。数人については祖国の滅びる様を目撃したことでありましょう。
 が、12小預言書は「ハガイ書」を以て新しい時代に突入します。つまり本書と続く「ゼカリヤ書」、「マラキ書」はイスラエル民族が捕囚から解放されたペルシア帝国時代のものとなるのです。
 預言書新時代の訪れを飾る本書の外題役、預言者ハガイの出自と来歴を示す手掛かりはありません。ただかれがペルシアの王ダレイオス1世の時代に生きて、捕囚民が帰還した旧都エルサレムにて活動したことがわかる程度です。即ち、「エズラ記」と「ネヘミヤ記」に寄り添うような形であるのが「ハガイ書」であるわけです。ハガイとゼカリヤは同時代人というよりも同じ時、同じ場所で働いた同僚でありました(ex;エズ5:1)。このことについては改めて、<「ゼカリヤ書」前夜>で触れたく思います。
 本書は、帰還を果たしたユダヤ人たちが主の神殿を再建するよりも自分たちの住み処の確保を優先したことに対して主が怒り、<ユダの総督>シェアルティエルの子ゼルベバルと大祭司ヨツァダクの子ヨシュアに発破をかけて神殿再建を命じる、という内容です。ペルシアからの第一次帰還団を率いたゼルベバルはダビデ王朝の血を引く人物でもあります。
 ゼルベバルもヨシュアも既に「エズラ記」に登場した。時間が許すならば「ハガイ書」を読むにあたっては「エズラ記」へ目を通していただきたく思います(本ブログでもその書物について述べた10日間があります)。かれらは第二神殿の再建にあたっても指導者的位置にあった人たちですが、その陰に預言者ハガイの伝えた主の言葉があった。「ハガイ書」を読むとそれはよくわかります。「エズラ記」を併せて読めばその辺の諸々が立体的に捉えられて面白いと思います。
 わずか2日間のお付き合いとなりますが、明日から「ハガイ書」を読んでゆきましょう。◆

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