第1436日目 〈創世記第29章1/2:〈ラバンの家に着く〉&〈ヤコブの結婚〉withシューベルト《未完成》&《ザ・グレート》を聴きました。〉 [創世記]

 創世記第29章1/2です。

 創29:1-14 1/2〈ラバンの家に着く〉
 ヤコブの旅は続いた。いまやかれは東方の人々の土地に入った。そこの野原には井戸があり、その周囲では羊飼いたちと3つの群れに分かれた羊が休んでいた。井戸の口は大きな石で塞がれていた。
 あなた方はどこの方ですか、とヤコブは訊いた。ハランの者です、と相手が答えた。では、ナホルの息子ラバンをご存知ではありませんか、とヤコブは訊いた。知っている、と相手が答えた。かれは元気ですか、とヤコブは訊いた。元気ですよ、もうすぐかれの娘ラケルが父の羊を連れてやって来ます、と相手が答えた。
 そのうち、ラケルがやってきた。ヤコブは井戸の口を塞いでいる大きな石をどかして、彼女の羊の群れ、即ち伯父ラバンの羊の群れに水を飲ませた。そうしてかれはラケルに接吻し、自分がラバンの甥にしてリベカの息子ヤコブである、と打ち明けた。ラケルは急いで家に帰って、このことを報告した。
 ヤコブは迎えに来た伯父ラバンに連れられてかれの家に行き、そこで事の次第をすべて話した。「お前は、本当にわたしの骨肉の者だ」(創29:14)と、ラバンがいった。

 創29:14 2/2-30〈ヤコブの結婚〉
 ラバンの許へ身を寄せて最初の一ヶ月が過ぎた。その間、ヤコブは伯父の家の仕事を手伝った。ラバンから報酬を求められると、ヤコブは、あなたの娘ラケルを妻にください、と頼んだ。そのためなら向こう7年間、あなたのところで働きます。伯父が諾ったので、ヤコブはそれから7年間、一所懸命に働いた。ラケルへの愛ゆえにそれはわずか数日のように思えた。
 約束の期間が過ぎて、ヤコブの結婚の祝宴が催された。が、その夜、ラバンが連れてきたのは長女のレアで、ヤコブは朝になるまでそれに気附かなかった。レアがいることに愕然としたヤコブは、ラバンに抗議した。なぜわたしをだましたのですか。
 この地方では、とラバンは弁明した。妹が姉よりも先に嫁ぐことがあってはいけないのだ。この一週間のうちに婚礼の祝い事を済ませてしまいなさい。そうしたら、初めの望み通りラケルをお前に嫁がせよう。が、あともう7年、わたしのところで働いてもらわねばならぬ。
 ――斯くしてヤコブはラケルと結婚した。かれは彼女を愛した。レアよりもラケルを深く愛した。そうして更に7年間、伯父のところで働いた。

 娘については生まれた順番に嫁ぐのがルール。それは現代には馬鹿馬鹿しく、古にあっては絶対であったのであろう。地方のルール、家のルール、これらに縛られた若者たちの困惑ぶりが一端なりとも描かれたヤコブの求愛場面であります。
 容姿について詳しく書いてはいませんが、レアについては優しい目をしていた、とあるだけなのが却って残酷と感じるのはわたくしだけでしょうか。きっとヤコブ、野原で羊を連れてくるラケルの美しい姿に一目惚れしてしまったのでしょうね。



 三度、シューベルトの聴き直しを行っている。正しくいうなら、偏っていたレパートリーから脱して、もっと広範囲で包括的なシューベルト再聴(再挑とも)である。
 どのジャンルに関しても、この曲ならこの人、という各々のベスト・ワンがあろう。たとえば交響曲、就中第8番《未完成》と第9番《ザ・グレート》に関して、わたくしはペーター・マーク=NHK交響楽団による音盤を愛聴しており、それゆえに好みにぴったり合ったまさしくベスト・ワンの1枚である、と申しあげることができる。
 マークといえばモーツァルトとメンデルスゾーン。そうして実は、シューベルトも十八番。そんなスイス生まれの巨匠マークとN響の協演はこれが最初で最後となった。マークの登壇はG.ヴァントのキャンセルによるためという。
 一期一会の出会いが功を奏したか、緊張感とスリル、極上の歌心が塗りこまれた絶美の演奏がそこに生まれた。堂々たる風格を備えたマークの手練れの指揮が、N響から信じ難いほどしなやかで陰影の深い音楽を引き出しており、聴き応えはたっぷりである。この音楽の推進力、タダモノではない。
 斯様な演奏会のエッセンスを詰めこんだCDが、キング・レコードのの掉尾を飾るとは。ペーター・マークの芸風をこよなく愛して日々の糧とする者にとって、これほど嬉しく誉れと思う出来事もないだろう。わたくしにとってこれが、シューベルトの同曲異演盤のなかで最強のオススメだ。1986年4月16日、NHKホールでのライヴ録音。  買うべし。聴くべし。玩味すべし。  なお、本盤でマークのシューベルトに興味を持った方へ。かれにはVOXレーベルに録れたシューベルト交響曲全集があった。よかったら探してみては?◆

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