第1442日目 〈創世記第32章2/3:〈エサウとの再会の準備〉with『小澤征爾さんと、音楽について話をする』はいつ文庫化されるのだろう?〉 [創世記]

 創世記第32章2/3です。

 創32:2-22〈エサウとの再会の準備〉
 ヤコブ一行の旅は続いた。或る場所まで来ると、突然、神の御使いたちが現れた。ヤコブは思わず、ここは神の陣営だ、といった。この場所が「二組の陣営」を意味するマナハイムと呼ばれるようになったのは、そうした由縁からである。

 ヤコブはセイル地方、即ちエドムの野に住む兄エサウとの再会の準備をした。まず、帰還の一報を伝える者をエサウのところへ派遣した。その者が戻ってきていうには、エサウ様はあなたを迎えるため400人のお伴を連れてこちらへいらっしゃるとのことです。
 兄エサウの攻撃を恐れたヤコブは思い悩んだ末、一緒にいる人々と羊を始めとする家畜を2つの集団に分けることにした。仮に兄が一方に攻撃を仕掛けてきても、残りは助かるだろう、との考えからである。かれはアブラハムの神、イサクの神に祈った、――
 どうか、わたしを兄エサウの手から救ってください。わたしはかれが怖いのです。かれがわたしのみならず母やわたしの妻子をも殺そうとしないか、不安なのです。あなたはわたしにこういいました;かならずお前に幸いを与える、お前の子孫は天の星浜辺の砂のように数えきれない程多くなる、わたしはお前と共にいる、と。どうか、わたしを兄エサウの手から救ってください。
 その晩、一行はそこに野宿した。ヤコブは自分の荷物からエサウへの贈り物を選り分けた。内訳は以下の通りである、――
 ・雌山羊:200匹
 ・雄山羊:20匹
 ・雌羊:200匹
 ・雄羊:20匹
 ・乳らくだとその子供:それぞれ30頭ずつ
 ・雌牛:40頭
 ・雄牛:10頭
 ・雌ろば:20頭
 ・雄ろば:10頭
以上。
 ヤコブはこれを幾つかの群れに分け、それぞれを召し使いたちに委ねた。そうして先頭の群れを預かる者に、エサウに会ったらこういうように、と指示した。お前の主人は誰か、どこへ行くのか、これらの家畜の群れは誰のものか、とエサウに問われたら、これらの家畜はあなたの僕ヤコブが御主人であるあなたへ差しあげるものでございます、ヤコブもあとから参ります。
 ヤコブは2番目の群れを預かる召し使いにも、3番目の群れを預かる召し使いにも、同じことをエサウに会ったらいうよう指示して送り出した。この贈り物によって兄エサウの気持ちを宥められたら良い、とヤコブは考えていた。
 その夜、かれは野営地に留まった。

 慎重に計画を詰めて事を運んでゆくヤコブですが、自分の身に危険が迫ると感じるや、かれは真剣な思いで神へ祈りをささげる。そうして、自分と家族に災いが降りかからぬよう求めた。これまでヤコブはどちらかというと頭が切れる策略家、ずる賢さが目立つ役回りでした。
 が、本章ではエサウの接近を知って狼狽し、それこそ一心不乱に先祖の神を求め、祈り、望んだ。ここまで如何様に描写されてこようとも、ああ、やはりヤコブは神に寵愛された民の首長であった、と安心する。その思いは次の挿話にてより明らかになるはずです。
その夜、かれは野営地に留まったーーそこでヤコブはどんな体験をしたか? 明日はそれについて触れることに致します。
 個人的にはお気に入りの挿話の一つであります。



 村上春樹の著作で小説以外に好きな本は? と問われたら、あれやこれやと思い悩んだ末に『小澤征爾さんと、音楽について話をする』(新潮社)を挙げます。
 クラシック音楽についての対談としては、異色中の異色といえる一冊ですが、まるで作品の襞に光を当てるような予想の斜め上を行く発言の数々には、幾度となく唸らされてしまった。特に読み応えがあったのは、マーラーとオペラを巡る対談と、スイスでのマスタークラスについての文章。ここばっかり読んでいた時期もあったっけな。
 本書の刊行は2011年、そろそろ文庫化されるかな、と期待しているが、なかなか希望はかなわない。ジム・フジーリ『ペット・サウンズ』の文庫化が単行本から3年後だから、本書もまだ先かな。◆

共通テーマ:日記・雑感

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。