第1482日目 〈出エジプト記第7章2/2&第8章1/2with永井荷風『珊瑚集』より。〉 [出エジプト記]

 出エジプト記第7章2/2と第8章1/2です。

 出7:14-24〈血の災い〉
 第一の災いは、血の災いである。主はモーセに、アロンへこう伝えよ、といった。「杖を取り、エジプトの水という水の上、河川、水路、池、水たまりの上に手を伸ばし、血に変えなさい。」
 ナイルの岸辺にてモーセとアロンは、ファラオとその家臣と会った。かれらの前で件の杖を持ってナイル川の水面を打つと、水はたちまち血に変わった。魚は死に、川は悪臭を放ち、民は飲み水を失った。
 王の魔術師も秘術を用いて、同じことをやってみせた。それゆえファラオは心を頑なにし、またこの災いについて気を留めることもなかった。
 エジプト人は飲み水を求めて、ナイル川の周りを掘った。これまで使ってきたナイル川の水が飲めなくなったからである。

 出7:25-8:11〈蛙の災い〉
 第二の災いは、蛙の災いである。主はモーセに、アロンへこう伝えよ、といった。「杖を取って、河川、水路、池の上に手を伸ばし、蛙をエジプトの国に這い上がらせよ。」(出8:1)
 アロンはそれらエジプトの水の上に手をかざした。すると、蛙が這い上がってきて、エジプト国中を覆った。蛙はファラオの王宮を襲い、寝室に侵入して寝台に上がった。家臣や民の家も同様に襲われた。蛙は王にも家臣にも民にも襲いかかった。
 王の魔術師も秘術を用いて、同じことをやってみせた。それゆえ、ファラオはモーセとアロンに、お前たちの神に祈ってこの蛙の群れを退かせよ、といった。そうしたら望み通りヘブライ人は国から去らせ、荒れ野で犠牲をささげることを許そう。その代わり、明日には蛙の群れを退かせよ。
 モーセは諾い、祈った。蛙は建物からも土地からも死に絶えた。国中に悪臭が満ちた。
 災いが一段落したのでファラオは心を頑なにして、言を翻し、イスラエルを去らせなかった。主が予告した通りである。

 ファラオは自分に直接害が及ばぬと見るや、或いはそれが去ったとわかると、すぐさま翻意して約束を違えた。もっともそれがファラオにとって、<約束>という軽んずべからざるものであったかは甚だ疑問だけれど――。
 ここからしばらく災いに関する挿話が続きます。同工異曲でときには退屈になるかもしれないけれど、しばらくお付き合いください。正直、ここのノートを書くのは気が重かったです。



 ちかごろ永井荷風の訳詩集『珊瑚集』を寝る前に読むことが多くなっている。就寝前の一服の清涼剤、現実逃避。幾らでも形容できよう。読むたびに胸打たれる詩に出会うのだが、昨夜は伯爵夫人マチユウ・ド・ノワイユの「ロマンチツクの夕」の一節に吐息を洩らした。曰く、――
 「われ小暗(おぐら)きリラの花近く、やさしき橡(とち)の木陰に行けば、見ずや、いかで拒むべきと、わが魂はさゝやく如し。/よろづの物われを惑わしわれを疲らす。行く雲軽く打顫(うちふる)ひ、慾情の乱れ、ゆるやかなる小舟の如く、しめやかなる夜に流れ来(きた)る。」
 無性に狂わせられる詩です。定家卿の言を借りれば、まさに<握玩>の一篇。
 『珊瑚集』には『海潮音』や『月下の一群』同様、こんな風に愛唱したくなる詩が沢山あって、なかなか巻を閉じることが難しく、つい夜更けまで読み耽ってしまう。困った一冊であります。◆

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