第1523日目 〈トビト記第10章:〈トビトとハンナの心配〉&〈トビア、エクバタナを去る〉〉 [トビト記]

 トビト記第10章です。

 トビ10:1-7 1/2〈トビトとハンナの心配〉
 於帝都ニネベ。トビアが予定の日になっても帰らないことをトビトは心配した。もしかするとラゲスで予期せぬトラブルが生じたのだろうか。
 それを妻ハンナはただ嘆き、悲しむのだった。もはや息子は生きていまい、死んでしまったことだろう。嗚呼、どうして目の光たる息子を旅立たせてしまったのだろう。
 トビトは、案ずることはない、ただ帰りが遅れているだけだ、といって妻を慰めた。一緒に行ってくれたアザリアという者は同族で、信頼の置ける人物だ。だから案じなくてよい。そのうち息子は帰ってくるよ。
 ハンナが答えて曰く、気休めをいわないでほしい、息子はもう死んでしまったのです、と。――そうしてハンナは来る日も来る日も、昼はトビアの行った方向を見て暮らし、夜になると一睡もせず一人きりで泣き声をあげるのだった。

 トビ10:7 2/2-13〈トビア、エクバタナを去る〉
 約束の14日間が過ぎた。エクバタナでの婚礼の祝いは終わった。トビアは義父ラグエルに、ニネベの両親の家に帰らせてほしい、と頼んだ。わたしの父がどのような状態にあるか、おわかりでしょう。
 一度はトビアの願いを拒んだラグエルだが、終には承知をして、(約束通り)財産の半分を譲り、召し使いや家畜、衣類などを持たせて帰路の用意を整えさせた。
 トビアとサラはラグエルとエドナから祝福の言葉をそれぞれ承け、ニネベへの帰路に就いたのである。道中、トビアは主を讃美する歌を唄った。それというのも神がかれらの旅を見守り、成功させたからである。

 正直なところを告白させていただきますが、ホント、ハンナって思いこみの激しいネガティヴ・シンキング&ジコチューな人ですね。けっして傍にいてほしくタイプです。なんというか、一家団欒の場を瞬時に暗くさせ、凍りつかせるような、そんな人に感じます。聖書に登場する女性のなかではちょっと珍しいタイプかもしれません。
 ノート本文には反映させなかったけれど、最初トビアが辞去を伝えたとき、ラグエルは、そんなこといわないでずっとここにいてくださいよ、トビトにはわたしから使いを出して次第を伝えておきますから、と渋った。娘を手放す父の淋しさの裏返し、娘を今後独占する義理の息子トビアへの嫉妬でしょうか。
 でもトビトの目のことであれだけ嘆いたのに、この態度は果たして如何に。トビトへの同情は社交辞令か? 相手を心配する言葉を真顔で口にしていながら、その実まったく心配などしていない人っていますよね。近所にも職場にも親類縁者にも。ラグエルも(所詮は)そのうちの一人であったのかな、と落胆しちゃいますね。
 トビアは自分の両親の死後、ニネベを離れてエクバタナへ移住するが、いったいラグエルたちに対する情愛というより義務に近いものがありそうだ。また、ニネベ滅亡を知って逃れるのが第一であったため、身寄りと地縁あるエクバタナへ移ったのかも。
 そんな風に邪推するのがちょっと愉しいわたくし。えへ。◆
 (今日はエッセイお休みです。)

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