第1569日目 〈エステル記(ギリシア語)第1章:〈アルタクセルクセス王の酒宴〉&〈王妃ワシュティの退位〉withホレイショ・ケインの言葉(その2)〉 [エステル記(ギリシア語)]

 エステル記(ギリシア語)第1章です。

 エス・ギ1:1−9〈アルタクセルクセス王の酒宴〉
 これは、宦官ガバタとタラによる王暗殺計画が露呈したあとの話である。当時、アルタクセルクセス王の統治するペルシア帝国は遥かエチオピアからインドまで全127州に及び、その帝都はスサに在った。
 王の御代第3年のことだ。王は友人や各国要人、ペルシアとメディアの地方総督の頭たちを招き、180日間に渡る酒宴を催した。それが終わると舞台を王宮の庭に移して、8日間に渡る酒宴を、今度はスサにいる異国人のために催したのだった。招かれた人々は王の意向もあって自由に振る舞い、宴の時を過ごした。
 それは誠、ペルシア帝国の偉容を誇り、華麗で輝かしい財力を示す酒宴であった。

 エス・ギ1:10−22〈王妃ワシュティの退位〉
 舞台を庭へ移しての酒宴が7日目にさしかかったときだった。アルタクセルクセス王はこの場へ王妃ワシュティを召そうと考えた。というのも彼女が殊に美しい人であったからである。王に侍るハマン以下7人の宦官が王妃へ召し出しの命令を伝えた。が、王妃ワシュティはこれを拒んだのだった。折りも折り、王妃も女性たちのための酒宴を主催していたからである。
 それを聞いて不機嫌になった王の傍らにいたペルシアとメディアの長官3人が、すかさず次のようなことを進言した。曰く、⎯⎯
 王妃の態度は王様と王様に仕えるすべての人々への侮辱です。これによってペルシアとメディアの女たちは皆夫を蔑むようになるでしょう。そこでワシュティ様からは王妃の位を剥奪して、その位はもっと優れた女性に与えるようにするのが良いでしょう。そうすればペルシアとメディアの女たちは皆夫を敬うようになることでしょう。
⎯⎯と。
 これは王たちの気に入るところとなり、帝国の版図全127州に、それぞれの民族の言語でその旨知らせる勅書が出されたのであった。

 女子会を主催してこれを楽しんでいる最中、夫の顕示欲を満たすためだけに呼び出される。しかも周囲の目を釘付けにしてしまうぐらいにオシャレして来い、なんていわれたら、余程のM女性でない限り(いや、そうであっても、だな)憤慨してその召し出しを断固拒否するのは当然至極であります。
 美しい妻を持ったら周りへ自慢したくなるものだけれど、ゆめ妻は奴隷でもファッションでもない。王は断られて当たり前と思いますが、当時の社会通念としては、夫たる王の指示に従わなかったなら王妃の位を剥奪して退位させることの方が当たり前だったのでしょうね。頭ではわかっているが割り切れないし、釈然としないし、やりきれない。拒んだのはプライドの問題なのか、或いは夫婦関係の冷え込みなのか、残された資料が語ることは意外と少ない。
 王がワシュティを召すに用いた7人の宦官はハマン、バザン、タラ、ボルゼ、ザトルタ、アバタザ、タラバであった(タラはエス・ギE12-14のタラとは別人か)。王に進言したペルシアとメディアの3人の長官はアルケサイとサルサタイ、マレセアルである。では、本章第16節に出る「ムカイ」とは誰? われらに馴染みある呼称でいえば、官房長官や首席報道官みたいなものなのか? 「ヘブライ語によるエステル記」にムカイの名はなく、この役を務めるのは大臣の1人、メムカンであった。
 ついでにいえば、旧約聖書「エステル記」でワシュティを呼びに行く宦官はメフマン、ビゼタ、ハルbナ、ビグタ、アバグタ、ゼタル、カルカスである。ハマンはいない。また、ワシュティの件で王が意見を求めたのはペルシアとメディアの7人の大臣、即ちカルシェナ、シェタル、アドマタ、タルシシュ、メシス、マルセナ、メムカンであった。
 そもそもハマンは宦官であったのか、という疑問が浮かびます。かれには妻ゾサラ(エス・ギ5:10他)がいて、10人の息子たち(エス・ギ9:10)がいるのですけれどね? 妻帯はともかくとしても、去勢されているのに10人の息子を設けられるものなのでしょうか。神秘であります。それとも去勢されて宦官になったのは、10人目の息子が生まれたあとなのか? 或いは宦官という言葉の意味するところが中近東と東洋とでは異なるのであろうか……まさか!? もしかしてマケドニア出身のブガイ人ハメダタの子ハマンと宦官ハマンは別人?



 余白を埋めるような、短文を書き留めておく必要があるな、と思っている。気が利いていて深みのある、箴言のような短文。
 今日はホレイショ・ケインの言葉をご紹介する。
 「信頼関係がなければ人は付いてこない。欺けば見限られる」;『CSI:MI』S2 #3/#27「罪と罰」より。
 組織内で上長とされる人なら誰しも心に留めておくべき台詞といえましょう。◆

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