第1581日目 〈エステル記(ギリシア語)第10章&第F章:〈モルデカイの栄誉〉&〈モルデカイ、夢を解く〉〉 [エステル記(ギリシア語)]

 エステル記(ギリシア語)第10章と第F章です。

 エス・ギ10:1-3〈モルデカイの栄誉〉
 アルタクセルクセス王の御代については、ペルシアとメディアの歴代の王の書がその栄誉を伝えている。
 その後、モルデカイは王の後見人となり、ユダヤ人の尊敬を一身に集めた。また、かれは自分の事蹟を人々に語って聞かせた。

 エス・ギF:1-11〈モルデカイ、夢を解く〉
 それから時が経ち、モルデカイは昔を顧みて、いった。いわく、⎯⎯
 これらの出来事は、既に起こることが知らされていたのだ。昔、わたしは夢を見た。叫びと騒ぎ、地震と雷、混沌が全地を覆い、その中で2頭の竜が争う夢だった。諸国民が義の民に戦いを挑み、義の民は叫び声をあげている。かれらの叫びは神に届いた。それは小さな泉を生み、悠久の川の流れと化した。そんな夢を、かつてわたしは見た。
 すべての出来事が起こり、終わった現在なら、その夢の言わんとするところがよくわかる。泉と悠久の川の流れは王妃エステルを指し、2頭の竜とはわたしとハマンのことだったのだ。
 「神は、諸国民の間では起こったことのないしるしと大いなる不思議を行われた。そのために神は二つのくじを定められた。その一つは神の民のため、もう一つはすべての国の民のためである。この二つのくじは、すべての国の民に対して神の前で行わる裁きの時と時期と日を定めるためのものであった。」(エス・ギF:6-8)
 斯様な経緯があって後、フルーライが定められたのである。
⎯⎯と。

 これらのことを記した書簡が、プトレマイオス王とクレオパトラの御代第4年にペルシア地方からもたらされた。差し出し主は自らを祭司でレビ人と称するドシテオスと、その子プトレマイオスである。
 父子の主張によれば、本書簡がフルーライの起源を語るものであり、プトレマイオスの子で在エルサレムのリシマコスにより翻訳されたものである、と云々。

 モルデカイってなんだか嫌味な奴だな、と思うてしまうのは、果たしてわたくし一人のみでしょうか? 事蹟を語る、だなんて、うぅむ、我ながらもう少しまともな表現はなかったものか。はあ……。
 第F章の最後でわれらは、本書がヘレニズム時代のパレスティナを扱った文書であることを、初めてはっきりとした形で知ることになります。
 プトレマイオスもクレオパトラも、ヘレニズム化したエジプトのファラオであります。この時代、何人ものファラオがプトレマイオス、クレオパトラを名乗りましたが、「ギリシア語によるエステル記」に記されるのはプトレマイオス8世或いは9世、クレオパトラ2世或いは3世であろう、とほぼ考えられます。
 「ギリシア語によるエステル記」がヘレニズム時代に成立したことを知らせる第F章を以て幕を閉じたあと、ヘレニズム時代のエルサレムを舞台にした<マカバイ戦争>を語る歴史書「マカバイ記」が置かれているのは、偶然の配列であるとしてもなかなか面白いものだ、と思います。
 なお、本日を以て「エステル記(ギリシア語)」の読書ノートは終了です。2週間以上に渡ってご愛読いただきありがとうございました。次の「マカバイ記・一」を始めるまでは資料を読んだり、他の本をたくさん読んだりして、少し息抜きをしようと思います。「ユディト記」から「エステル記(ギリシア語)」までは1日しか空けられませんでしたから、今度は英気を養いつつも骨休みをする、ちょっと矛盾した時間の過ごし方をしようと思います。◆

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