第1624日目 〈マカバイ記一第10章1/3:〈デメトリオスとヨナタンの同盟〉&〈アレキサンドロス王、ヨナタンに近づく〉with長い目で見守ろう;永野護『ファイブスター物語』休載に寄せて〉 [マカバイ記・一]

 マカバイ記一第10章1/3です。

 マカ一10:1-14〈デメトリオスとヨナタンの同盟〉
 前153年(第160年)、自らをアンティオコス4世の遺児と偽るアレキサンドロス・バラス(アレキサンドロス・エピファネス)は地中海沿岸の町プトレマイオスに上陸して、ここを占領した。デメトリオス1世はアレクサンドロス・バラスに対抗するため、おびただしい数の軍勢を派遣する一方、ヨナタンを同盟者とし、軍を動員する権限を与えたのである。それに伴い、王は自国領内のユダヤ人の人質を返還すると約束し、実行した。
 ヨナタンはエルサレムに入り、都の再建に取り掛かった。かれは作業員に、「城壁を作り、また四角形の石を使ってシオンの山を囲み、これを砦とするように命じた。」(マカ一10:11)
 以前バキデスが築かせた幾つかの砦にいた異国人はヨナタンの力が強化され、エルサレム入場を恐れて逃げ出し、自分たちの国へ帰っていった。が、ベトツルだけは未だ律法や掟を捨てた不敬虔な者たちの逃れの町として機能していた。

 マカ一10:15-21〈アレキサンドロス王、ヨナタンに近づく〉
 アレキサンドロス・バラスは、デメトリオスがヨナタンにした約束のことを知り、また、ヨナタンとその兄弟たち、その軍勢・支持者たちがこれまでセレコウス朝シリアに対して行ってきた抵抗の数々について仄聞した。そうして、ヨナタンを同盟相手に欲し、かれに書簡を送った。そのなかでアレキサンドロス王はヨナタンを大祭司に任命する、と約束する。
 前153年(第160年)の第7の月、かれヨナタンは仮庵祭にて大祭司の証したる聖なる衣を纏うた。その傍ら、軍勢をユダヤ中から召集して、たくさんの武器を準備した。

 セレコウス朝シリアの内紛が表面化する。正統なるシリアの王デメトリオス1世と、王位簒奪を狙う偽者アレキサンドロス・バラス。ヨナタンはこうした対立関係の発生に乗じて両者を観察、天秤にかけて、より優位な側を選んで同盟相手としてユダヤの存続を図る。
 事実、このあとのヨナタンの対外行動はまるで<鵺>のようだ。デメトリオス1世(同盟)→アレキサンドロス・バラス(臣下)→エジプトのプトレマイオス6世(栄誉)→デメトリオス2世(臣下の如く)→トリュポン(寝返り)→トリュポンの欺きにあって処刑さる、といったように。
 こうしたヨナタンの行動は、始めこそユダヤを想うての手段だったろうが、いつしか誰に即くのがいちばん得か、と算盤を弾く損得勘定になりはしなかっただろうか。
 いずれにせよ、国を想う一心がいつしか軌道を外れ、己の望みを成就させる結果となったのだ。それが如実に現れてしまったのが、アロンの家に連なるツァドク家の者のみが就くことのできる大祭司職を掌中にした点であったことは疑いもない。
 表面化しないまでもユダヤの一部に反感が募り、支持を失いかねない事態に陥ったこともあったかもしれない。土岐健治はこれに触れて、「マカベア戦争当初の理念からの離反・ハスモン家の実態が、ようやく明らかになってきたと見るべきであり、内部分裂は加速し、諸派叢生が促された」(『旧約聖書外典偽典概説』P27 教文館)と言う。納得である。



 『New Type』誌上にて昨年春から連載再開された永野護『ファイブスター物語』が来月号より休載。早くも、と言うなかれ。長く続いたものだ、と諦め口調でそう讃えるべき。単行本第13巻の準備のため、という理由とあっては致し方ない。
 とはいえ、この作者には映画『ゴシックメード』製作のためとかなんとか言いながら、都合約9年休載していたという前科があるから、第13巻がいつ発売になるのかなんて予定を聞かされても、にわかには信じ難いのである。
 まぁ、過去1年分にいつもながらの加筆・修正、コマ差し替え、表紙絵の作成、カラーページのリファイン等々、作者のやるべき作業は他の漫画のコミックス化よりずっと多いのは事実だから、第13巻刊行予告が実際に雑誌誌上に載るまで、長い目で見ていよう。そうね、やっぱり1年弱というところか? 奇跡的に陋屋に残留が決定した『リブート』既刊7巻を読み返しながら、その日が本当に来るのをお祈りしよう。
 ……でも、発売中の『New Type』今月号は絶対買っておかなくっちゃ、だな。だって……ファナの鎖骨!!◆

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