第1631日目 〈マカバイ記一第14章:〈デメトリオス、捕らえられる〉、〈シモンをたたえる歌〉他with独り言;至福の時間を過ごしたことの代償とは?〉 [マカバイ記・一]

 マカバイ記一第14章です。

 マカ一14:1-3〈デメトリオス、捕らえられる〉
 前141年(第172年)、兵を率いてデメトリオス2世はペルシア・メディア地方へ赴いた。彼の地の王アルケサスに対トリフォン戦の援助を請うためである。が、デメトリオスはペルシア・メディアの領内へ入るや、アルケサス王の命を承けた指揮官の1人によって捕らえられてしまった。

 マカ一14:4-15〈シモンをたたえる歌〉
 シモン在世中、全地は休息し、平和を謳歌した。
 かれは民のために善きことを求め、民はシモンの権威と栄光に喜びを感じた。シモンは領土を拡大し、得た地から汚れたものを排除した。刃向かう者は一人としてなかった。
 全地は休息し、平和を謳歌した。民は心安んじて地を耕し、収穫と実りを得た。町々は食糧で満たされ、防備は強く保たれた。
 「 シモンは地に平和をもたらし、イスラエルは無上の歓喜に酔いしれた。人々は、おのおののぶどうの木、いちじくの木の下に憩う。彼らを脅かす者はいない。彼らに戦いを挑む者は一掃されて地上から消え、シモンが世にあるかぎり、王たちは砕かれた。シモンは民の低き者を残らず励まし、律法を順守した。シモンは、律法に従わず悪を行う者を根絶した。」(マカ一14:11-14)

 マカ一14:16-24〈スパルタからの書簡〉
 さて。ヨナタンの死はローマへ伝えられ、スパルタでも知られるところとなった。人々は嘆いたが、兄弟シモンが代わって大祭司となり、総司令官となったことを聞くや、かつてヨナタンとの間に結ばれていた友好関係の更新を思い立ち、シモンとの間に同盟を結ぶことを望んだ。その旨記した銅板はユダヤ国へ贈られ、エルサレムにて集会の場で披露され、ユダヤ人たちの知るところとなった。
 シモンは同盟を確認したことの証として、ローマに金の大盾を贈った。

 マカ一14:25-49〈シモンをたたえる碑〉
 スパルタ、ローマとの友好関係が更新されたことを知り、ユダヤの民は言った。われらはどのようにしてシモンとその息子たちに感謝の念を示せばいいだろう。かれらの一族は結束してユダヤのために立ち、敵と戦い、イスラエルに自由をもたらしてくれたのだ。
 そこでかれらはシモンとその一族の事績を銅板に刻んで、石碑にはめ込み、シオンの丘に建てた。前141年(第172年、シモンの年第3年)、エルルの月の18日、アサラメルの町で開かれた祭司と民と長老たちの集会にてそれは決められ、建てられたのだった。
 マタティアの子にしてユダ・マカバイとヨナタンの兄弟であるシモン。かれは大祭司職と軍の総司令官に就き、祭司を含むユダヤ民族の統治者として、ユダヤの全地を守った。

 デメトリオスを捕虜としたペルシア・メディアの王アルケサス。史実に基づけばこの王はミトラダテス1世(在;前171-138年)、アケメネス朝パルティアの第5代王である。かれは同じ前141年、バビロニア地方に侵攻してこれを併合、メソポタミア地方を支配しました。
 世界史は常にすべての国家、すべての地域の動向を事細かに、時系列で記録しているわけではない。特定の年代、特定の国/地域が連動してスポットライトを当てられるぐらいだ。本書に於いてはシリア・パレスティナ以外の地域・国家の動きはなかなか感じ難いが、こうして固有名詞を調べてゆくことで意外なところで旧約聖書で登場した国家の行く末を知ることになる。
 ここでいえばまさしくバビロニアがそうだ。かつてユダヤを恐怖と混乱と悲しみに陥れ、国家滅亡、捕囚を経験させた強大な新バビロニア帝国が、いまは無残な姿を曝し、ペルシア・メディアの一地方に成り下がっている。歴史のどう猛なまでの動きが垣間見える挿話である、と申しあげて宜しいでしょう。
 ──歴史のすべてを俯瞰することができたら楽しいだろうなぁ。



 自宅でMacBookAirを使い、クラシカジャパンを視聴しながら原稿清書中。これからブーレーズ=パリ管によるシェーンベルクとバルトークを聴きます。あした寝不足になるけれど、至福の時間を味わった代償なら、良とすべしか。◆

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