第1637日目 〈マカバイ記二第1章:〈エジプト在住のユダヤ人への第一書簡〉&〈エジプト在住のユダヤ人への第二書簡〉1/2with本稿完成の喜びの独り言〉 [マカバイ記・二]

 マカバイ記二第1章です。

 マカ二1:1-10 1/2〈エジプト在住のユダヤ人への第一書簡〉
 第188年。エジプトの地に住む同胞へ、われらエルサレムとユダヤの地に住む者からあいさつを送ります。
 われらの神がいつまでも、如何なるときも、あなた方を見守ってくれますように。
 強靱な心と積極的な精神を持つあなた方に、神の意志を実行する勇気が与えられますように。
 神の律法を順守し、神の命令を実行するあなた方に、勇気が与えられますように。
 神があなた方の祈りを聞き入れ、和解し、悪の力がはびこるときが来たとしても、あなた方を見捨てたりしませんように。
 われらはあなた方のために祈ります。
 さて。
 実を言えば、われらは以前──第169年のことです──、エジプト在住のあなた方に手紙を送ったことがあります。セレコウス朝シリアの王デメトリオス2世によって、この地のユダヤ人が艱難と危機の只中にあり、明日さえ定かでない時分のことでした。
 「この艱難は、ヤソンとその一味の者たちが聖地と王国に反逆して立ち上がり、神殿の門に火を放ち、罪なき人々の血を流したことで始まった」(マカ二1:7-8)のです。しかし、主に祈ったことで救われました。そこでわれらは、「いけにえと上等の小麦粉を献げ、燭台に火をともし、パンを供えた」(マカ二1:8)のでした。
 エジプトの同胞よ。キスレウの月に、仮庵祭に倣って祝いをしてください。

 マカ二1:10 2/2-36〈エジプト在住のユダヤ人への第二書簡〉1/2
 再びエジプトの地に住む同胞へ、われらエルサレムとユダヤの地に住む者からあいさつを送ります。プトレマイオス王の師にして油注がれた祭司アリストプロスにも。
 かつてわれらがシリアと戦っていたとき、主は何度もユダヤを救ってくれました。時のシリア王アンティオコス4世エピファネスはペルシアへ赴き、バビロニアの女神ナナヤと婚姻を結び、莫大な財宝を手に入れようとしたことがあります。が、ナナヤの神殿に奉職する神官たちの巧みな技によって命を落としました。不敬虔な者は何人と雖も斯様に亡き者とされるのです。
 さて。
 われらはキスレウの月25日に、神殿の清めの儀式を執り行う予定でいます。そこであなた方にも、第188年の仮庵祭のときのように、灯火の祭りを祝ってほしいのです。灯火の祭りの謂われはこういうものです。即ち、──
 昔々、祖国はバビロニア帝国の前に滅び、民は離散しました、その直前、何人かの敬虔なる祭司が祭壇の聖火を持ち出し、もう涸れてしまった井戸の窪んだところに隠しました。そこは誰の目にも触れることがなく、大切なものの隠し場所にはぴったりだったのです。
 それから何十年もの歳月が流れました。既にバビロニアはなく、ペルシアの時代になっていました。キュロス王によって捕囚解放が宣言され、多くのユダヤ人が荒廃した祖国を、就中エルサレムの都を目指し、帰還しました。
 その後、時のペルシア王アルタクセルクセス王によって、政府の役人を務めていたユダヤ人ネヘミヤがエルサレムへ派遣されてきました。ネヘミヤは、かの聖火のことを知っていました。そこでそれを隠した祭司の子孫に命じて、隠し場所を探させました。件の涸れ井戸は見附かりました。が、聖火はありませんでした。その代わり、粘り気のある水がありました。ネヘミヤはそれを取って来させました。
 いけにえをささげる準備が進んでいました。ネヘミヤは積みあげられたいけにえに、その水を振りかけるよう言いました。そうすると、雲に隠れていた太陽が現れて、その日照に呼応したかのように大きな炎が噴きあがって、いけにえを燃やしたのです。
 その間ずっと祭司たちと参列者一同は賛歌を歌い、祈り続けたのです。「あなたの民、全イスラエルのために、このいけにえを受け入れ、あなたの取り分を御覧になり、清めてください。離散した同胞を集め、異邦人のもとで奴隷にされている者たちを解放し、虐げられ、疎まれている者たちにも心を配ってください。そして、あなたこそ我々の神であることを、異邦人たちにも悟らせてください。過酷で傲慢不遜なやからを痛めつけてください。モーセの言葉のとおり、あなたの民をあなたの聖なる場所に植えてください。」(マカ二1:26-29)
 いけにえが燃え尽きると、ネヘミヤは残りの水を大きな石に注ぐよう命じました。すると、炎が激しく燃えあがりました。しかし、祭壇の上から射す光が輝いて、その炎を消してしまったのでした。
 このことはたちまち知れ渡り、ペルシア王にも伝わりました。王はこれが真実であることを確かめると、その場所に垣を巡らせ、聖域としました。そうして自らが所有する宝物を寄進し、かれらへ恩恵を施したのであります。ネヘミヤたちはこれを<清め>という意味の<ネフタリ>と呼びました。<ネフタリ>は一般的には<ネフタイ>と呼ばれています。

 第一の書簡に登場するヤソンは、やはりこのあと登場する大祭司オニアの弟であります。ヤソンは、卑劣な方法で大祭司職を手に入れた後(マカ二4:7)、兄オニアを殺害するとギリシアに接近、エルサレムで多くの同胞を虐殺しました。かれが登場する挿話は数日後に読みますので、それまでお待ちください。
 第二の書簡で触れられるアンティオコス・エピファネスの死は、マカ一6:1-16が伝えるところと大幅に異なります。
 ペルシア遠征の最中、ユダ・マカバイ率いるユダヤ軍に自軍が敗走したことを知らされ、かの地で病に倒れたアンティオコス4世。かれは友人の一人でセレコウス朝の高官リシアスに息子の養育と王国の支配を委ねて、前164年/第149年に崩御しました。ところが、マカ二ではバビロニアの女神ナナヤと婚姻を結び云々とあります。女神と結婚とはやや羨ましいところですが、それはさておき、こちらには伝承の色が濃く漂っております。
 時が経つにつれて事実は時間の向こうに霞んでゆき、代わって伝説が潤色されて変容しながら伝わっていった、というところでしょう。マカ一が史実、マカ二が伝承。そんな具合だと思います。
 エジプト在住ユダヤ人に、仮庵祭に倣って祝いをしてほしい、と言い、灯火の祭りを行ってほしい、とエルサレム/ユダヤの地に住むユダヤ人は求めます。これは、エジプトに暮らすユダヤ人の間には主のための祝祭を祝う風習がなかった、ということでありましょうか。顧みられなくなった、廃れていた、と言い換えてもよいかもしれません。ゆえに奉献儀式を行うよう求めたのでしょうか。それとも、エジプト在住のユダヤ人が主の前から離れてゆくことを危惧しての発言だったのかも。
 それにしても、エルサレムの都の人目につかぬところで灯され続ける、祭壇から持ち出された聖火。その光景を想像すると心が震えるような思いが致しますね。なんだかとっても印象的かつ清らかな場面です。ちなみにこれの火種を持ち出すよう進言したのは、時の予言者エレミヤだったそうであります(マカ二2:1)。



 今日からわれらは「マカバイ記二」の読書に取り掛かります。正直なところ、、本章のノートは苦戦しました。2日かけてようやくここにお披露目するようなものが出来上がりました。仕事帰りにパソコンで清書する直前の稿が仕上がったわけです。
 例によって例のごとく、いつものスタバでこれを行ったのですが、合計3時間半も費やしてしまいました。MacBookAirがなかったらもうちょっと時間がかかっていたであろうことを考えると、思わず「やれやれ」と呟きたくなることであります。◆

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