第1641日目 〈マカバイ記二第4章2/2:〈メネラオス、大祭司となる〉、〈オニアの殺害〉他with昨日の総選挙を生中継したスカパー!へのお願い。〉 [マカバイ記・二]

 マカバイ記二第4章2/2(アンティオコス・エピファネスのもとでの迫害)です。

 マカ二4:23-29〈メネラオス、大祭司となる〉
 アンティオコス4世、エルサレム入城から3年後。大祭司ヤソンは、シモンの兄弟メネラオスをシリア王の許へ派遣した。火急の事態に対して指示を仰ぐためである。が、メネラオスは指示を仰ぐばかりでなく、王の承認を得て大祭司職をシモンから奪取したのだった。
 「彼には大祭司に値するものなど一かけらもなく、むしろ彼は残忍な暴君の激情と野蛮な気性だけの男にすぎなかった。」(マカ二4:25)
 かつてヤソンは大祭司の職を、贈賄によって兄オニアから奪い取った。因果応報というべきか、歴史は繰り返すというべきか。今度はヤソンが大祭司の職を、赤の他人に奪われ、アンモン人の国へ逃げ込む羽目になったのである。
 さて。大祭司職に就いたメネラオスは、シリア王に約束した金をびた一文支払わず、度重なる督促も無視していた。これを見咎めて、城塞の総指揮官にして経理もあずかるソストラトスがメネラオスに支払いを請求。やがて2人はシリア王の前に召喚されることになった。不在の間の代理として、メネラオスは兄弟リシコマスを、ソストラトスはキプロス人の長官クラテスを立てて、アンティオキアへ赴いた。

 マカ二4:30-38〈オニアの殺害〉
 アンティオコス4世が側室にタルソスとマロスの町を贈ったことが原因で、暴動が起こった。王はその鎮圧に出発し、政務代行官としてアンドロニコスを残した。これを好機と見たメネラオスは神殿の祭具など横領してアンドロニコスへの贈り物とした。また他にも、横領した祭具をティルスや周辺の町へ売り飛ばしていた。
 これを知り、確かめたオニアはアンティオキア近郊のダフネの聖域へ退き、メネラオスを公然と非難した。ここにいる者にはうっかり手を出せない。そこでメネラオスはアンドロニコスにオニア殺害を相談、説得してこれを承けさせた。
 アンドロニコスは言葉巧みにオニアへ語りかけ、信頼を勝ち取り、ダフネの聖域の外へ誘うと、正義を顧みず、オニアを殺害した。このことはすぐに知れ渡り、「ユダヤ人ばかりでなく、他の国々の人までが大勢、残忍な殺害に動揺し、憤慨した。」(マカ二4:35)
 それだけではない。暴動鎮圧から帰国したアンティオコス4世エピファネスも憤慨した。王は、「心底から悲しみを催し、憐れみに突き動かされ、他界した者の思慮深さと節度ある人格のゆえに涙した。」(マカ二4:37)
 アンドロニコスの行為に激怒した王は、かれから紫の衣を剝いで裸にし、アンティオキアの市中を引きずり回した。そうしてオニア殺害の現場、即ちダフネの聖域から外れたその場所で、アンドロニコスを処刑した。
 「主が当然の刑罰を彼に下されたのである。」(マカ二4:38)

 マカ二4:39-42〈リシコマスの殺害〉
 エルサレムでは、メネラオスから留守を託されていたリシコマスが、盛んに神殿を荒らしまわっていた。それは住民の耳に入り、リシコマスへの抗議となり、遂には怒りを露わにした決起となった。
 リシコマスは約3,000人の武装兵を鎮圧に向かわせたが、殆ど暴徒と化した市民を相手に為す術もなく、全軍敗走の憂き目に遭った。そうして市民たちは神殿荒らしの張本人即ちリシコマスを、神殿の宝庫の傍らで殺害したのだった。

 マカ二4:43-50〈メネラオス、釈放される〉
 リシコマスの事件の背後にはメネラオスの存在があった。かれが兄弟リシコマスに入れ知恵したがゆえの事件だったのだ。エルサレムの長老会議は3人の使者をシリア王の許へ送り、メネラオス告訴の申し立てをした。
 追いつめられたメネラオスはトリメネスの子プトレマイオスを買収して、王を翻心させるよう依頼した。プトレマイオスはそうした。アンティオコス4世はメネラオスへの訴えをすべて棄却し、却って長老会議からの使者3人を処刑した。残忍で知られるスキタイ人でさえ、かれらを無罪として釈放したに違いないのに、である。
 「このようにして、この町と市民と神殿の祭具を守るために訴え出た人々の方が、即刻不当に処刑されたのだ。そのため、ティルスの市民たちさえ、この悪行を憎み、彼らのための葬儀を盛大に挙行した。
 一方メネラオスは、権力にある者たちの欲望を利用してその職に居座り、ますます悪行を重ねていき、同胞に対しては策謀家となったのである。」(マカ二4:49-50)

 欲望と謀略が入り乱れる、読んでいて少々ゲンナリする章であります。
 就中目立つのは、メネラオスの行動。贈賄によって本来あり得ぬ身分を手に入れ、眼前の敵を狡猾な手法で排除してゆき、危うい目に遭いそうになると策を弄して巧みに窮地を逃れる。或る意味、その聡明さと大胆さ、その行動力と口達者には舌を巻かされますが、こうした人物が天寿を全うできようはずがありません。かれの死が伝えられるのはまだしばらく先のことですが、マカ二13:1-8で描かれます(「こうして律法に背いたメネラオスは死ぬべくして死に、先祖の地に葬られることもなかったが、これは当然の定めであった。祭壇で聖なる火と聖なる灰をさんざん冒涜した結果、今度は彼自身が灰の中で死ぬはめとなったのである。」マカ二13:7-8)。
 ダフネの聖域は、首都アンティオコスのおそらく南約10キロの位置にある云々。アンティオキアの南の城壁には、「ダフネの門」がある。ここは月桂樹で囲まれた森であるため斯く呼ばれる由。アポロとアルテミスの神殿がある。2人の神の神殿、聖域/森の名称が記されたことで今更ながら気附かされますが、われらの読書はいつの間にか、これまでの中近東に留まらず、もっとその周辺の地域、民族、文化と神話が平行して語られるのが自然な時代にまで下ってきていたのですね。



 録画しておいた昨日のAKB48G総選挙を観ていて気に障ったこと。スカパー!は今回の総選挙の模様を5.5時間に渡って生中継しました。それはそれで良い。見所も相応にあって、そのあたりは地上波では決して味わえないものだったからだ。
 が、スタジオのおしゃべりが極めて邪魔だった。人によってはあまり気にならないかもしれないが、耳が少々悪い者は神経を集中させて音声を聞いているのだから、箸にも棒にも引っかからない余計な芸人衆、政治評論家のおしゃべりは極めて耳障りにして必要悪、無用以外の何物でもない。
 どうして副音声などの手段を、スカパー!は採ってくれなかったのだろう? この点では地上波の方がはるかに分別があって、丁寧に処理、演出していた。これが初めからわかっていれば、地上波の中継を(途中からではなく)録画しておけばよかった。
 来年も完全生中継を行う予定なら、スカパー!にはぜひ反省と改善をお願いしたいものであります。◆

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