第1645日目 〈マカバイ記二第8章:〈ユダ・マカバイの反乱〉、〈ニカノルとの戦い〉他withみくらさんさんか、虚空に向かって叫ぶ。〉 [マカバイ記・二]

 マカバイ記二第8章(アンティオコス・エピファネスのもとでの迫害)です。

 マカ二8:1-7〈ユダ・マカバイの反乱〉
 ユダ・マカバイと同志たちは山野を流離いながら、着々と反シリア勢力を組織していった。かれが指揮する軍の前に異邦人は為す術もない。それまでの主の怒りが、いまや憐れみに変わったからである。ユダ・マカバイの武勇は至る所に広まった。

 マカ二8:8-29〈ニカノルとの戦い〉
 アンティオコス4世の命令によりエルサレム総督の任を授かったフリキア人フィリポスは、コイレ・シリアとフェニキアの総督であるプトレマイオスに援軍の派遣を依頼した。プトレマイオスは王の友人の一人ニカノルに大軍をあずけ、ユダヤへ向かわせた。ニカノルの補佐役は経験豊かな将軍ゴルギアスである。
 実はアンティオコス4世には、先王アンティオコス3世が残したローマ人への負債があった。その額、2,000タラントン。ニカノルはユダヤ人を捕らえて奴隷とし、人身売買をして儲けた代金を負債の返済に充てよう、と考えていた。
 ニカノル来襲を知ったユダ・マカバイはその旨仲間に知らせた。すると、覚悟のない、神の裁きをまったく信じない衆は逃げ出してしまった。残った者たちは主に祈り、またユダの言葉に奮い立ち、対ニカノル戦の準備を進めた。ユダ・マカバイは軍を4隊に分け、兄弟シモン、ヨセフ、ヨナタン、そうして自分の下に置いた。
 同志に語りかけ、かれらの心を奮い立たせたたユダの言葉、──
 「敵どもが律法を足げにして聖なる場所に対して働いた侮辱や、陵辱された都の惨状、また、父祖伝来の生活様式が崩壊させられたことを、一時も忘れないように。」(マカ二8:17)
 斯くして全軍が発ち、ニカノル率いるシリア軍との戦闘が始まった。ニカノルと対戦したのはユダである。ユダヤ軍は全能の神と共に在ったので、数の上では圧倒的に優る敵を破って駆逐することができた。自分たちを捕らえて売り飛ばそうと企んでいた者たちを戦場の外に見附けたユダヤ軍は、かれらを日没になるまで追い続けた。日没になってそれを切り上げたのは、翌日が安息日だったからである。
 ユダ・マカバイは安息日間際に敵から戦利品として数々の武具や金銀を奪い、安息日開けにそれらを迫害されたり肉親を失ったりして不幸な経験をした同胞へ分け与えた。残りは自分や自分の家族の分とした。

 マカ二8:30-33〈ティモテオスとバキデスの敗北〉
 ユダヤ軍はその後、ティモテオスとバキデスの軍勢と戦ってこれを破った。その後、幾つかの高い砦を制圧した。
 また、ユダヤ人を迫害したり、聖なる門に火を放った者たちを見附け次第捕らえて、その命を奪った。

 マカ二8:34-36〈ニカノルの敗北と告白〉
 ニカノルは捕らえられて軍服を脱がされ、まるで逃亡に成功した奴隷のような格好で首都アンティオキアへ帰還した。
 「エルサレムの捕虜を売って、ローマ人への貢に充てようと意気込んでいた彼は、ユダヤ人には味方となって戦ってくださる方がおり、その方の定めた律法に従っているために、彼らは無傷でいるのだと報告しなければならないはめになったのである。」(マカ二8:36)

 アンティオコス・エピファネスには借金があった! スクープであります。国家間の借金などあって当たり前の今日ですが、少なくとも本章にて発覚したセレコウス朝シリアの抱える負債は、戦争に負けた国に支払いが強要される賠償金でありました。
 アンティオコス3世はアナトリア遠征、第5次シリア戦争を経て領土拡張に努め、セレコウス朝の権勢を揺るぎなきものにしようとしました。が、前189年に起こった、マグノシアに於ける共和政ローマとの戦争によって完膚なきまでの敗北を喫し、多額の賠償金を支払うはめになってしまいます。
 これは一代で完済すること能わざる程の額であり、結果、本章で明らかとなるようにアンティオコス3世の崩御後も息子であるセレコウス4世、その弟アンティオコス4世によって賠償金の支払いは続けられていったのでありました。実を言えば、シリア王たちによって略奪されたエルサレム神殿の祭具は、他ならぬこの負債の返済に充てられていたそうであります。
 一つ一つの行為の裏にある歴史を繙くと、興味深い事実が浮上する。そうしてそれまでばらばらだったピースがつなぎ合わされて、一つの壮大なタペストリーが出来上がる。歴史書の側面を持つ聖書を読む醍醐味の一つはここにこそある、と言うてよいでしょう。



 ジャーニーマン、エトランゼ。
 呼び方はどうあれ、いずれにせよ、“根無し草”ですよね。そして私たちは誰もいつまでも根無し草じゃいられない。何処かで妥協して大地に下りて根を張るか、或いは……生涯に渡って彼方此方を彷徨うか。
 それって一見自由気ままな様に見えるけれど、いちばん辛くて寂しくって、残酷な道を行くことになるんですよね。私は、誰にもそんな風にはなって欲しくないんですよね。
 ──HOMEとHOPEがわたくしが求めるもの。◆

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