第1954日目 〈ルカによる福音書第13章:〈悔い改めなければ滅びる〉、〈エルサレムのために嘆く〉他〉 [ルカによる福音書]

 ルカによる福音書第13章です。

 ルカ13:1-5〈悔い改めなければ滅びる〉
 イエスの説教は突然の来訪者によって中断された。その来訪者たちは総督ポンティオ・ピラトがガリラヤ人の血をかれらのいけにえに混ぜて神殿へささげた旨伝えた。それについてイエスの曰く、──
 そのガリラヤ人たちがそんな目に遭ったのは、かれらが他のガリラヤ人たちよりも罪深かったからだと思うか。或いは、シロアムの塔が倒された際、犠牲になった18人は、他のエルサレム住民の誰彼よりも深い罪を犯していたのか。
 否、そうではない。かれらが運が悪い時に運の悪い場所へ居合わせたに過ぎない。だがしかし、悔い改めなければあなた方は同じ目に遭う。

 ルカ13:6-9〈「実のならないいちじくの木」のたとえ〉
 そうしてイエスは群衆にこんな喩え話をした、──
 或る人がぶどう園にいちじくの木を植えた。が、3年経っても実をつける様子がない。主人は園丁に、こんな木はさっさと切り倒してしまえ、空いた土地は他のことに仕え、と命じた。園丁は主人に、どうか今年はこのままにしておいてください、と頼んだ。肥料をやってみます、それでも来年は実が生らないようなら、子の木を切り倒してください。

 ルカ13:10-17〈安息日に腰のまがった夫人をいやす〉
 安息日、イエスは会堂にいて、18年も病を患い腰を伸ばすことのできない女を癒やした。その様子を見ていた会堂長は、安息日なのに、とイエスの所業を憤った。「働くべき日は6日ある。その間に来て治してもらうがよい。安息日はいけない。」(ルカ13:14)
 それにイエスが否を唱えて曰く、「安息日であっても、その束縛から解いてやるべきではなかったのか」(ルカ13:16)と。
 この答えに会堂長やそれに賛意を表した人びとは皆恥じた。その他の人々はこぞってイエスが行う数々の善き業を見て喜んだ。

 ルカ13:18-21〈「からし種」と「パン種」のたとえ〉
 神の国をなにに喩えよう。それはからし種に似る。庭に蒔かれたからし種は芽を出して材木となり、葉をつけた枝を広げて鳥を憩わせ、巣を作らせる。
 神の国をなにに喩えよう。それはパン種に似る。これを3サトンの粉に混ぜるとやがて全体が膨らんで、大きくなる。

 ルカ13:22-30〈狭い戸口〉
 途中、幾つもの町や村を巡り来たってなお、イエスの足は停まることなく惑うことなくエルサレムへ向けられていた。
 その途次、或る人がイエスに、主よ救われる者は少ないのでしょうか、と訊いた。
 イエスは答えた。「狭い戸口から入るように努めなさい」(ルカ13:24)と。家の主人が戸を閉めたあとで、開けてください、というても遅い。家の主人はいうだろう、わたしはお前が何者か知らない、と。どれだけ誠意を尽くして自分が何者か、家の主人とどのような関わりがあったか、説いても無駄だ。家の主人はいうだろう、わたしはお前が何者か知らない、不義を働く者よ、わたしの前から去れ、と。
 「あなたがたは、アブラハム、イサク、ヤコブやすべての預言者たちが神の国に入っているのに、自分は外に投げ出されることになり、そこで泣きわめいて歯ぎしりする。そして人々は、東から西から、また南から北から来て、神の国で宴会の席に着く。そこでは、後の人で先になる者があり、先の人で後になる者もある。」(ルカ13:28-30)

 ルカ13:31-35〈エルサレムのために嘆く〉
 ちょうどそのとき、イエスの許に、ファリサイ派のうちで心ある人々が来て、告げた。早くここを発ってください、ヘロデがあなたを殺す準備を進めています。
 イエスは返して曰く、あの狐に伝えよ、わたしは今日も明日も人から悪霊を追い出し、人の病気を癒やし、3日目にすべてを終える、と。「だが、わたしは今日も明日も、その次の日も自分の道を進まねばならない。預言者がエルサレム以外の所で死ぬことは、ありえないからだ。」(ルカ13:33)
 エルサレム。預言者を殺し、自分に遣わされた人々を石で打ち殺す者。エルサレム。わたしはお前の子を何度も集めようとしたけれど、お前は一度もそれに応えようとしなかった。ゆえにお前たちの家は見捨てられる。
 エルサレムよ、「言っておくが、お前たちは、『主の名によって来られる方に、祝福があるように』と言う時が来るまで、決してわたしを見ることがない。」(ルカ13:35)

 本日の読書でわれらは実に久しぶりに「シロアム」という語に接した。王下20:20と代下32:30、即ち南王国ユダのヒゼキヤ王の事績として、水道の施設にまつわる箇所にシロアムの語が出る。また、これらか読むヨハ9:7と同11にも。
 シロアムはエルサレム南東の地区で、その城壁の内側には<シロアムの池>があった。また、城壁の外側には<シロアムの塔>があった。聖書はイエスの台詞のなかで報告するばかりだが、当時、この塔が崩落する事件があったのだろう。それが自然倒壊なのか、補修など作業中の事故なのか、判然としない。が、確かにそのような事件はあったのだろう。それは比較的大きなニュースとなってエルサレム界隈に伝播した。本章に於けるイエスの台詞がこの出来事を踏まえての発言であるのは否めぬ。そうして18人が犠牲になった。
 また、総督ピラトがガリラヤ人の(おそらくは殺めて)血をかれらが持参した献げ物に混ぜて神殿に供えさせた、という。イエスの言い分では、かれらは運悪くその場に居合わせただけなのだ。続けてイエスはいう、悔い改めない者たちよ、このままではいつかあなた方も同様な目に遭う、と。イエスは現状維持ならやがて確実に訪れる生の終着について語るため、これらの出来事を説教に盛りこんだのだろう。たぶんそれは抽象的な内容に終始するよりずっとずっと聴衆に訴えかける力、説得力にあふれていたに違いない。
 ファリサイ派の全員が反イエスでないことが、ルカ13:31でわかった。ここでかれらが話題に上すヘロデは、洗礼者ヨハネを処刑させたヘロデ・アンティバスである。かつてヘロデはイエスの噂を聞いたとき、一度イエスに会ってみたい、と思うた(ルカ9:9)。それは純粋な興味などでは断じてなく、ともすれば捕らえて殺害を辞さぬ心持ちから出たものだっただろう。イエス誕生時、東方の3博士にヘロデ大王がいった台詞(マタ1:8)を彷彿とさせる。まったく以て、この親にしてこの子あり、か。
 ルカ13:20「(3)サトン」──1サトンは約12.8リトルの容量を指す。

 本日の旧約聖書はルカ13:35と詩118:26。◆

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