第1956日目 〈ルカによる福音書第15章:〈「見失った羊」のたとえ〉、〈「放蕩息子」のたとえ〉他withその朝、災いが降りかかったのだ!(1/3)〉 [ルカによる福音書]

 ルカによる福音書第15章です。

 ルカ15:1-7〈「見失った羊」のたとえ〉
 イエスの話が聞きたくて、徴税人や罪人がかれの許に集まってきた。これを見たファリサイ派の人々と律法学者たちが、イエスを咎めた。この人は罪人を迎えて、食事まで一緒にしている、というて。
 イエスがいった。100頭の羊を持つ人がいる。そのうちの1頭が迷子になったので、羊飼いは必死になって捜した。幸いとそれは見附かった。捜し物が見附かったことを喜んだ羊飼いは、友人や近所の人たちを集めて、どうぞ一緒に喜んでください、ということだろう。
 「このように、悔い改める一人の罪人については、悔い改める必要のない九十九人の正しい人についてよりも大きな喜びがある。」(ルカ15:7)

 ルカ15:8-10〈「無くした銀貨」のたとえ〉
 また、10枚のドラクメ銀貨を持つ人がそのうちの1枚をなくしたときも同様である。捜し回って見附けた銀貨1枚のために、友人や近所の女たちを集めて、どうぞ一緒に喜んでください、ということだろう。
 「このように、一人の罪人が悔い改めれば、神の天使たちの間に喜びがある。」(ルカ15:10)

 ルカ15:11-32〈「放蕩息子」のたとえ〉
 また。
 或る人に2人の息子がいた。弟が父親に財産分与を求め、得たものをすべてお金に換えて国を出、行く先々で遊蕩三昧の日々を過ごした。やがて弟は素寒貧となり、食べる物にも困るようになった。そこでかれは、国へ帰って父の家で使用人に雇ってもらおう、と考えた。父の家では使用人にもたくさんのパンが与えられていたことを思い出し、父の家で働けばすくなくとも飢え死ぬ心配はないだろう、と考えたからである。そうして弟は国へ帰った。
 ──近附いてくる次男の姿を父は遠くから認めて歓待、使用人に命じて息子に上等の着物を着させ、上等の食事を与えさせた。天に対しても、父に対しても罪を犯したのだからもう息子と呼ばれる資格はありません、という次男の言葉を退けて、父親は息子にきちんとした格好をさせ、きちんとした食事をさせたのである。曰く、「この息子は、死んでいたのに生き返り、いなくなっていたのに見つかったらからだ」(ルカ15:24)と。
 そうして、祝いの宴が張られた。
 と、その騒ぎを畑仕事中の長男が聞きつけた。長男は僕の1人を呼んで、これはなんの騒ぎか、と訊ねた。あなたの弟さまがお帰りになったので、それを祝う席が設けられているのです、と、その僕は答えた。これを不満に思うた兄は父の許へ行き、詰った。わたしはお父さんに何年も仕えてきましたし、いいつけに背いたこともありません、友との宴会にお父さんは小羊の1頭さえわたしにくれなかった、なのにどうして遊びで財産を使い果たして戻ってきた弟をこうまでして迎えるのですか、と兄はいった。
 納得ゆかぬ風の長男に、父は静かにこういった、──
 「子よ、お前はいつもわたしと一緒にいる。わたしのものは全部お前のものだ。たが、お前のあの弟は死んでいたのに生き返った。いなくなっていたのに見つかったのだ。祝宴を開いて楽しみ喜ぶのは当たり前ではないか。」(ルカ15:31-32)

 本章は3つの喩え話を用いて1つの主題について語る。即ち、もう失われたと諦めたものが思いがけず見附かったら、人を招いて一緒に喜んだり祝ったりするのは当然ではないか、ということ。かりにそれを不平不満に感じる者がいたとしても、である。
 これはよくわかる。つい先日、これを是と思うことを経験したからだ。携帯電話を紛失、交番に届けられていたことなのだが、これは本日から全3回のエッセイとしてお披露目させていただく。詳細(か?)はそちらをお読みいただくとして、捜し物が発見されたことを捜索者は喜び、この喜びを誰かと共有したいと思う。それを踏まえての本章の喩え話である。わからぬ人がいたら、経験されてみることを提案したい。なお、これはあくまで「提案」であって「推奨」ではない。
 「ルカによる福音書」としても、4つの福音書としても<放蕩息子の帰還>は知られた挿話と思う。すくなくとも、キリスト者でなくてもその名だけは知っている。が、実際に読んでみると、なくしたものが見附かったので祝おう、という筋書きよりも、わたくしはここに、良くできた息子とそうでない息子を持った父親の想い、その機微、心の綾を読み取りたく思う。引用したこの父の言葉、ご尤もなのである。



 京浜東北線が人身事故で大幅に遅延していた今週月曜日の朝、わたくし、みくらさんさんかは携帯電話を紛失した。
 遅延している、とあって、若干急ぎ気味であったのは否定できない。場合によっては振り替え輸送を利用するよりもタクシーを使った方がいいかなぁ、と考えていたことも否定はしない。が、周囲の様子、自分の足元について注意がおろそかになっていたとは思えない。そう、電車の件を別にすれば、概ね普段となにが変わるわけでもない月曜日の朝だったのである。
 通勤途中、最寄りの駅にいつも通り向かっていたわたくしは、オフィスビルと跨線橋を結ぶ階段を降りていた。その真ん中あたりで、なんの拍子にか足元がよろけ、アスリートも斯くやというぐらい派手に、大仰に、ダイナミックに、すっ転んだのである。とっさに右手をつき、が、肘が曲がって右肩を痛打した。1回転したね。世界がぐるり、と回ったよ。天地が引っくり返る光景を一瞬なりとも見るなんて経験、人生に於いて実はそう滅多にない(除アトラクション)。
 その際だ、ジーンズの尻ポケットに入れていたiPhone5が抜け落ち、それに気附かぬまま駅へと向かったのは。
 ホームに着いてからしばしの時間が持てれば、もっと早く紛失に気が付いたかもしれない。が、遅延しているとは申せ、ホームに到着して30秒と経たぬ間に──時間的にはいつも利用しているのと変わらぬ時刻に──電車が到着したとあっては、尻ポケットへ収まる(はずの)携帯電話について思い巡らすなどできようわけもなく、いつもなら乗る前にポケットを軽く叩いて、あるべき物がそこにきちんとあることを確認するのだが、それもその日に限ってはすることなく、開いたドアから割に空いた車内へ乗りこみ、偶然空いていた席へ体を落ち着けるまでは安堵しか自分のなかにはなかったんだ。
 違和感を覚えたのは、次の駅に到着する直前である。なにやら座席との接地面に違和感を覚えたのだ。さりげなく、あくまであさりげなく、尻ポケットを上から撫でてみる──携帯電話、ないじゃん!? もはやなりふり構っていられない、携帯電話を入れそうな場所を捜してみる。シャツの胸ポケット、ジーンズのポケット各所、そうしてリュックのなか、旅行のお土産が入った紙袋。いずれにも、わがiPhone5(黒、ごつい同色のバンパー付き)は、ない。キットドコカデオッコトシタンダ!!
 この人生初めての出来事に遭遇して、(月並みな表現ではあるが)頭のなかが真っ白になった。急いで次の駅で降り、人混みをかき分け、戻る電車が数駅離れたところにまだ停まっていることを構内アナウンスで聞くや、韋駄天の如くに改札を出て、ちょっと並んで京浜急行は各駅停車に乗り、地元へ戻る。歩いた道を、通行人のことは端から視界の外に置き、下にばかり視線を投げてキョロキョロしながら、転倒場所まで辿ってゆく。が、携帯電話はどこにもない。駅にも、オフィスビルの防災センターにも、早朝から開いているスーパーにも、そのような落とし物の届け出はない、という。
 万事休す。が、幸いと防災センターの人からその地域を管轄する交番の所在と、統括する警察署の電話番号を教えてもらった。……これが今回の携帯電話紛失事件の大きな転換点となる出来事になることを、まだこのときのわたくしは知る由もなかったのである!(BGM;川口浩探検隊のテーマ)
 どうしよう。焦り、不安になる心を抑えてまずは帰宅。会社に電話して、この理由にならないようで理由になる理由で休むこととした。myさん、感謝! そうして契約している携帯電話のキャリアと金融機関に連絡して、一切の電話機能や口座利用の停止の手続きを済ませる。それと並行して警察署へも電話。紛失を扱う窓口に回線は転送され、数回のやり取りと保留を経て、地域を管轄する交番にわが携帯電話の届け出がされていることを知る。オフィスビル内の会社へ勤める心ある女性の手によって! ありがとう、諸人よ、歌おう、感電する程の喜びを! ハイホー!
 日頃の行いが良いせいだろうが(えへ)、天はわたくしを見捨てなかった。見放しもしなかった。無くし物が見附かった安堵から全身虚脱状態ではあったが、かの交番へ赴くわたくし。しっかり調書は取られたけれど、受け取り手続きを済ませ、帰り道には防災センターでわたくしの対応をしてくださり、交番への連絡を示唆してくれた方にお礼を申しあげた後、仏壇に合掌してすべての計らいに感謝した後、ご飯を食べて畳の上で大の字になって引っくり返り……昼寝して……夕刻、目が覚めたら右肩が痛かった……。
 おそらく、携帯電話が無事に戻ってきたことで気持ちに余裕が生まれたのだろう。それはそれで良いことだ。が、この痛みはどうにかならぬものか。腕が上がらないのだ、ワトスン。どうにかしてくれ。いまの気分、まさしく「オーマイガーッ(oh,my god!)」て感じ?
 この翌日、わたくしは地元の総合病院へ行くことになるのだが、これについては今日と同じぐらいの分量で続編をご用意してあるの。というわけで、しばらく使っていなかったこの言葉を本稿の最後に掲げよう。
 to be Continued.◆

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