第2057日目 〈使徒言行録第14章:〈イコニオンで〉、〈リストラで〉&〈パウロたち、シリア州のアンティオキアへ戻る〉〉 [使徒言行録]

 使徒言行録第14章です。

 使14:1-7〈イコニオンで〉
 リカオニア州イコニオンでもサウロことパウロとバルナバは熱心に、勇敢に、宣教に努めた。結果、多くの人々がイエス・キリストの教えを信じるようになった。が、それを良く思わず、かれらを迫害する者たちもいた。
 「町の人々は分裂し、ある者はユダヤ人の側に、ある者は使徒の側についた。異邦人とユダヤ人が、指導者と一緒になって二人に乱暴を働き、石を投げつけようとしたとき 」(使14:4-5)、これに気附いた2人はイコニオンを去って、州内の町リストラとデルベ,その周辺の町々へ行き、福音を告げ知らせた。

 使14:8-20〈リストラで〉
 リカオニア州リストラに、生まれつき足が不自由で、生まれてから一度も歩いたことのない人がいた。パウロは自分の説教を一心に聞いているこの人が、癒やされるのに相応しい信仰の持ち主だとわかったので、かれに、立って歩きなさい、といった。すると、その人は躍りあがって歩き始めたのである。
 この様子を見ていた群衆は驚き、声を張りあげて、現人神がわれらのところへ来た、とリストラ地方の方言でいうた。かれらはバルナバをゼウスと呼び、パウロをヘルメスと呼んだ。
 そこに町の外にあるゼウスの神殿に仕える祭司たちが来て、2人の前にいけにえをささげようとした。群衆も一緒になって、その旨告げた。が、それを見てパウロとバルナバは悲痛な叫びをあげて服を裂き、かれらのなかに入ってゆくと、リストラの人々よ、どうしてこんなことをするのですか、といった。続けて、──
 「わたしたちも、あなたがたと同じ人間にすぎません。」(使14:15)われらはあなた方が偶像を離れて生ける神に立ち帰るよう福音を告げ知らせているのです。
 昔から神は、全地の国の人々が思い思いに行動するのを黙認していました。つまり、見て見ぬ振りをずっとしていたのです。が、だからといって、ただの一度も御自分のことを証ししようとしなかったわけではありません。いつだって神は、「恵みをくださり、天からの雨を降らせて実りの季節を与え、食物を施して、あなたがたの心を喜びで満たしてくださっているのです。」(使14:17)
──と。
 このように話すことで、ようやく祭司や群衆がいけにえをささげようとするのをやめさせられたのだった。
 が、ここにもキリストの教えを厭い、パウロたちを邪険に思うユダヤ人たちが来て、群衆を扇動してパウロに石を投げつけた。そうしてぐったりとして動かなくなたパウロを死んだと思いこみ、リストラの町の外へ引きずっていって、そこへ捨て置いたのである。勿論、パウロは生きている。かれは弟子たちに囲まれながら再びリストラの町中へ行き、翌る日バルナバと共に同州デルベへ向かった。

 使14:21-28〈パウロたち、シリア州のアンティオキアへ戻る〉
 デルベで福音を告げ知らせて多くの異邦人を改宗させたパウロたちは、この地を今回の宣教旅行の到達点とし、リストラ、イコニオン、ピシディア州のアンティオキア、と来た道を引き返してきた。
 道々かれらは弟子たちを励まし、教会ごとに長老を任命、断食して祈り、かれらを信じる主に任せた。
 2人はパンフィリア州ペルゲからアタリアへ南下し、そこから海路でシリア州のアンティオキアへ帰還した。かれらはアンティオキアに「到着するとすぐ教会の人々を集めて、神が自分たちと共にいて行われたすべてのことと、異邦人に信仰の門を開いてくださったことを報告した。」(使14:27)

 町の名の前に一々州名が記されるのは煩わしいとお思いになる方もおられようけれど、本ブログが画像を載せぬ方針である以上、後日この時代の地図を見たとき労費やさずして位置関係を摑み、宣教旅行のルートを確かめられるようにするため、斯様な措置を行っている。自分のためであるのが第一だが、読者諸兄にはご理解の上諒としていただきたい。
 ──それにしてもさすがにヘレニズムが浸透してそれが民間に生きている時代だ。リストラの町で宣教する2人を、町の人々は神話の神々に準えた。専ら話者として人々の前に立つパウロをヘルメスに、傍らへ控えながらも口を開こうとしない様子のバルナバをゼウスに,それぞれ準えた。ゼウスは勿論ギリシア神話の最高神である。バルナバの姿に威厳を、人々は感じたのだ。
 一方ヘルメスは神々の使者で、旅行の神、雄弁の守護者などとされた。呉茂一『ギリシア神話』では、ヘルメス像の推移やこの神に付与された性格や役割がわかりやすく書かれてあって、面白い。ご一読を奨める。百の眼の怪物アルゴスを殺した挿話も、むろん紹介されている(上巻P260-9 新潮文庫)。
 ──パウロの第1回宣教旅行は本章で終わり。第2回の、そうしてパウロ単独としては初の宣教旅行は、次章第40節から始まる。読者よ、しばし待て(呵々)。◆

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