第2325日目 〈ヨハネの手紙・一第2章1/2:〈弁護者キリスト〉、〈反キリスト〉他with次のブログのテーマのための参考文献〉 [ヨハネの手紙・一]

 ヨハネの手紙・一第2章1/2です。

 一ヨハ2:1-6〈弁護者キリスト〉
 あなた方が罪を犯すことがないように、と願いながら、わたしはこの手紙を書いています。万が一にも罪を犯したとして、あなた方には弁護者キリストがついています。この、御父の許にいる正しい方キリストこそ、「わたしたちの罪、いや、わたしたちの罪ばかりでなく、全世界の罪を償ういけにえです。」(一ヨハ2:2)
 われらは神の掟を守ることで、神を知っている、と表明できます。裏返していえば、神の掟を守らない者は偽り者で、其奴の内に真理はない。
 神の言葉を守る人の内には神の愛が実現しています。これが、自分が神の内にあることの証明です。神の内にある、と表明する人はイエスが歩んだ如くに歩まねばなりません。

 一ヨハ2:7-17〈新しい掟〉
 わたしが書き、伝えるのは新しい掟ではなく、古い掟。あなた方がキリスト者となったとき聞いたことのある掟。その古い掟をわたしはいま新しい掟として書き、伝えようとしています。
 イエスにとってもあなた方にとっても、その掟は真実です。既に闇は去り、まことの光が輝いているのですから。しかし、たとえば、光のなかにいると表明していながら、──
 「兄弟を憎む者は、今もなお闇の中にいます。兄弟を愛する人は、いつも光の中におり、その人にはつまずきがありません。しかし、兄弟を憎む者は闇の中におり、闇の中を歩み、自分がどこへ行くかを知りません。闇がこの人の目を見えなくしたからです。」(一ヨハ2:9-11)
 兄弟たちよ。世も、世にあるものも、ゆめ愛してはなりません。世を愛する人の内に御父への愛はない。世にはびこる欲はどれも御父からではなく、世から出ているからです。
 世も、世にある欲もいつかは過ぎ去ってゆきます。が、御心の実行者は永遠です。

 一ヨハ2:18-27〈反キリスト〉
 ご存知のようにいまや多くの反キリストが現れています。これは終末の時の到来を告げ知らせるものです。かれらはわれらの前から去ったけれども、元々仲間ではありませんでした。仲間だったらわれらの許に留まっていたはずでしょう。
 聖なる方から油を注がれたあなた方は、<真理>というものを知っています。真理から偽りが生まれることはけっしてない、ということも知っています。
 「偽り者とは、イエスがメシアであることを否定する者でなくて、だれでありましょう。御父と御子を認めない者、これこそ反キリストです。」(一ヨハ2:22)
 どうかあなた方よ、キリストの福音によって信徒となったその初めから聞いていたことを、心に留めておいてください。初めから聞いていたことがあなた方の内にある限り、あなた方は御子の内にも、御父の内にも、普段からいることになります。実はこれこそが、御子によって約束された永遠の命なのです。
 ──以上、あなた方を取り巻く反対勢力について書きました。が、あなた方の内には御子から注がれた油があるのですから、誰彼から教えを受けるなどという必要はないのですよ。この油があなた方にすべてを教えるのです。
 真実はそこにあります。偽りが入りこむ余地はありません。
 ゆえ、御子の内に留まれ。反キリストに染まるな。

 〈弁護者キリスト〉も〈新しい掟〉も大事な話題であるが、なんというても本章のキモは〈反キリスト〉であります。反キリストについては〈前夜〉でグノーシス主義を掲げる人々を専らいうように書いたが、勿論グノーシス主義を以てのみ反キリストというのではない。この手紙が書かれた当時、キリスト教を巡る周辺環境は大きな変化を迎えていました。ローマ皇帝ネロやドミティアヌスによる弾圧/迫害や、異端というべき宗教思想の誕生等々。
 本稿で俎上に上すのは当然後者ですが、キリスト教からすれば異端、件の宗教思想の側から見てもキリスト教はイレギュラーと映る。この二律背反から<反キリスト>が登場するのは自明の理であります。即ち反キリストとは特定の思想による態度ではなく、幾つものそれらが表明したキリスト教/キリスト者に対する行動原理、一個の風潮、ムーブメントとして捉える方がよいのでしょう。
 ──本章前半部のノートが(相も変わらず)だらだらと、ほぼ転写に等しくなってしまったことをお詫びいたします。
 引用した兄弟を憎むな云々、一ヨハ2:9-11、自戒とすべし。



 聖書読書が終わったらグノーシス主義について腰を据えて調べてみよう、という次の目標が定まりました。以前から考えていたことではあるけれど、いまや数ある選択肢の1つからただ1つのテーマになった。長編小説『ザ・ライジング』の連載(分載か?)が終わったら、どれだけの期間を費やすか、どのテキストを用いるか、決まってはいないが、グノーシス関連のブログを新規開幕予定である、とまずは予告しておきます。
 そこで備忘を兼ねて「これだけは読んでおかねばなるまいな」という本を、以下にリスト・アップしておく。順不同。
 ・大貫隆『グノーシスの神話』(講談社学術文庫)
 ・筒井賢治『グノーシス』(講談社選書メチエ)
 ・青木健『古代オリエントの宗教』(講談社現代新書)
以上である。すべて講談社の刊行物としてのは偶然に過ぎぬ。
 また、参考として図書館から都度借りてくるものとして、──
 ・荒井献・大貫隆他『ナグ・ハマディ文書』(全4冊 岩波書店)
がある。但し、これをブログ読書のテキストとするならば、購入しなくてはならない。おお!
 そうして架蔵の宗教事典やキリスト教史などである。むろん、PKD『ヴァリス』も。◆

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