第2627日目 〈仕事納めです! 横溝正史『死仮面』を読んでいます。〉 [聖書読書ノートブログ、再開への道]

 今日でようやく仕事納め。いやぁ、この1年は長かった。いろいろな別れに彩られた2018(平成30)年だったけれど、だいじょうぶ、来年はきっと再生とよみがえりに象徴される1年となるだろう。期待ではなく、実現のためにわたくしは力を尽くそう。進むべき道は、あるはずなのだ。
 と、厳粛なる雰囲気で始めた本稿だが、当然のことながら最後までこの調子でゆくつもりは、ない。自分を知る者は幸いである、どのような事態になろうとも、まぁきっとなんとかなるだろう、と楽観していられるから。
 ──さて、顧みるまでもなく今年は明けても暮れても横溝正史を読む日々が続いた。もっとも、中弛みして秋風の吹く頃からは海外のミステリに浮気して、古典と新作、双方の傑作に触れて驚喜しつつも横溝正史へ立ち帰るタイミングを模索していた。と、先日翻訳ミステリの大きな賞を受賞したアンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件』を喜びと疑問のうちに読了したその瞬間だ、いまこそ立ち帰るに相応しい時、と心が大きく叫んだのは。
 そうしてわたくしは帰還した……ふしぎと飽きることのない横溝正史の探偵小説の世界に。現在は曰くある角川文庫版『死仮面』。再開第2弾の読書である(第1弾の栄を担ったのは短編集『金田一耕助の冒険』全2巻)。発表年代順に読みたいな、と思うていたらこの順番になったのだ。
 曰く、とは、戦後間もない時分に発表されたこの長編小説が久方ぶりに発掘されるも、しかし残念ながら連載第4回目がどこをどう捜索しても発見されず、仕方なく角川文庫版横溝正史シリーズの監修役を務めていた中島河太郎によって補筆・発売されたのが、他ならぬいまわたくしが読むヴァージョンだからだ。
 更なる説明を加えると、本作は後年発掘された連載第4回目を復元した完全版が、春陽文庫から発売された。当然絶版。それゆえもあり古本屋やネットオークション、どこであっても高値が付いていて、ちょっとわたくしの手に負えない金額となっている。
 そんなヴァージョンの話はさておき、この『死仮面』。帰りの電車のなかでしか読めない状況だったが、どうにか先も見えてきた。大掃除や追加の年賀状書きなどなどいろいろあるから確約はできぬが、明後日あたりで読了できるはず。
 古谷一行主演の<名探偵・金田一耕助>シリーズのなかでドラマ化されたのを観た記憶はあるが、どこまで原作に寄り添って製作されていたか、読書しながら記憶をすくいあげんと務めてみても、その成果ははかばかしくない。地下室や胸像の台座、複雑因果な家族関係、そんなあたりは覚えていても、その他の点はまるでさっぱり……。
 次の年の暮れ……今日から367日後と迫った大晦日までに果たして何冊の横溝正史を読むことができるだろう。幸いなのは、すくなくとも角川文庫から発売されたシリーズはその殆どすべてを蒐集し終えており、残すは行き付けの古本屋やネットオークションでいつでも全点が転がっているジュブナイル物を除けば、ほんの3,4冊だ。けっしてキキメに等しい書目でなく、可能な限り美本に近いものが欲しいから手に入っていないだけの話。稀覯に属する未入手本といえば『シナリオ・悪霊島』だが、正直な話、特に欲しいと思えぬ本の最右翼。著者自選の人形佐七シリーズ全3巻も綺麗な状態のものを、なんと1,000円に満たない金額で揃えられたしな……。
 まだまだ横溝正史読書マラソンは続く。聖書としばらくは並行して、続く。それをおそらく読者諸兄は気が向いたようにお披露目される読書感想文にて、知ることとなるだろう。◆

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