第2709日目 〈映画『フッテージ デス・スパイラル』を観ました。〉 [日々の思い・独り言]

 台風15号が首都圏直撃中の午前1時から3時過ぎまで、映画『フッテージ デス・スパイラル』(2015 米=英)を観ていたのですが、いやぁ、やっぱりどう考えても自然災害の方がホラーだよな、と認識を新たにしております。
 NHKが台風情報の逐次更新に勤しむなかスカパー!は絶讃停波中。嵐の音はシャッターを揺るがして安眠を妨げ、雨粒が窓を叩く音はすさまじく、いったいここは首都圏なのか戦場なのか、よくわかりません。加えて故郷の街は一部が停電、隣接することには避難勧告が出、わたくしはまるで世の終わりのようなそれらの音と、それが連想させる終末の光景を想像してどんどん目が冴え、隣でくーすか寝ている御仁を半分恨めしく思いながら起き出して、前述の如く映画を観ていたのであります。しかし、いやぁ、どう考えても自然災害の方がホラーですよね(以下無限スパイラル、というのは冗談として)。
 さて、おふざけはここまでにして、本題。
 『フッテージ デス・スパイラル』は以前前作についてお話しした如く、期待半分、失望半分の覚悟で視聴したのですが……やはりその覚悟が小気味よく裏切られることはなかった。2作目のセオリーを『フッテージ デス・スパイラル』も踏んでしまったようで。
 良いところもあった。むしろ、高評価を付けたい場面や作劇の連続であった。が、ふとした拍子に底の浅さを見せつけられて、緊張感や徐々に大きくなっていった恐怖も途端にコメディに陥る場面に転じてしまい。
 前作で副保安官であった人が、私立探偵(次章)として、件の連続殺人の調査を(オズワルドの遺志を継いで)続行している。呪いの連鎖を断つため、曰くある家々に火を付けて回っているのだ。空き家と紹介された関係ある家を訪れたたところ、そこには訳ありの母親と双子の兄弟が住んでいた。暴力亭主から逃げている家族だったのだ。元副保安官は殺人現場となった家の裏の教会を調査中、ブグールの影を感じ取る。一方、双子の弟は夜な夜な失踪した子供たちの悪霊に導かれて、殺人事件の瞬間を捉えた映画を、地下室の8㎜映写機で観させられている。悪霊と化した子供たちは自分の家族の殺人事件の映画を観させながら、別の計画を密かに進行させていた……。
 粗筋紹介については前作の感想文でも反省しているので、この下手さをご寛恕願いたいところである。
 今作で「ほお、成る程」と感心したのは、過去の事件で失踪(=ブグールに魅入られた)した、いまは悪霊同然の子供たちが、ターゲットの家族の、自分たちの陣営に引きずりこめそうな子供を選んで地下室に導き、「映画」鑑賞を強要する件りだ。殆ど洗脳というてよいやり方で、そうして優遇する者と虐げる者を明確に区別して接するところ、後半の役割の逆転が一際あざやかに映るのであります。
 どういうことかというと、さいしょ悪霊たちのターゲットは双子の弟だった。弱っちくておとなしくて、見るからに与しやすいと判断したからだろう。が、悪霊たちは流石、奸計を巡らすに上手であった。
 優遇する者と虐げる者を明確に区別、とはこういうことだ。反抗的な双子の兄を一度は「君は仲間ではない」と突っぱねて、兄弟間に不和を芽生えさせてから、──それがまるで通過儀礼であったかのように──弟を役目は終わったとして切り棄てて、兄を仲間に招き入れる。悪霊と化してブグールの下僕となった子供たちは、兄と一緒に地下室にて8㎜映写機で「映画」を鑑賞するのだ。
 こんな風に悪霊たる子供たちが積極的に後いて、新たなターゲットを引きずりこんでゆく、というのは、わたくしの目には新しく映った。そうしてその背景にはきちんと(?)、古代バビロニアの邪神ブグールが暗躍して、子供たちの行動がブグールの意に沿ったものであることを教えている。
 正直なところ、発言したいことは幾らでもあり、手放しで絶讃できるところは前作に比べて少ないけれど、それでもこの映画にはどうしようもないぐらい愛おしくてならぬ箇所も、ある。と同時に発言したいことのうちには否定的な内容も含まれるので自重した方がいいな、とも思うている。
 ひとまず感想はこのあたりで擱筆とします。後日、これを読み返し、映画も観直したあとでもう一度本稿を点検し、改稿したく考えております。批判等はそれまで、どうぞご勘弁の程を。◆

監督:キアラン・フォイ
脚本:スコット・デリクソン/C・ロバート・カーギル
製作総指揮:ブライアン・カヴァナー=ジョーンズ/チャールズ・レイトン/クーパー・サミュエルソン
撮影:エイミー・ヴィンセント
音楽:トムアンドアンディ
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副保安官:ジェームズ・ランソン
コートニー・コリンズ:シャニン・ソサモン
ディラン・コリンズ:ロバート・スローン
ザック・コリンズ:ダルタニアン・スローン
クリント・コリンズ:リー・ココ
ストムバーグ博士:タテ・エリントン
マイロ:ルーカス・ジェイド・ズーマン
テッド:ジェイデン・クライン
エマ:テイラー・ヘイリー
ピーター:カーデン・マーシャル・フリッツ
キャサリン(カレン):オリヴィア・レイニー(※ マイロからキャサリンまで、本文では「悪霊と化した子供たち」とした亡霊たち)
ブグール:ニック・キング□

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