第2742日目 〈台風19号がやってくる。安全である間は、ミステリ小説を耽読していよう。〉 [日々の思い・独り言]

 太平洋上をぶいぶいと日本へ近付いてきます。こちらの心配と不安をよそに「HELLO!!」とばかりにやって来る。時々刻々と日本列島に接近してくる、台風19号。
 太平洋沿岸地域の自治体は早くも避難勧告を出し、通過予想地域の自治体も一部が避難場所を告知している。昭和33年の狩野川台風に匹敵するレヴェルということは即ち、もはや「最強」という言葉や概念では括れないクラスの台風であるのと同義。伊豆半島でも狩野川流域の伊豆市が早々に避難勧告を出したのは、なによりこの点に起因するところが大きそう。
 気象庁発表、NHKのニュース、その画面上のテロップにいう;過去にこのクラスが関東に上陸したことなしとぞ。
 いまは令和1/2019年10月11日、23時33分。横浜も雨脚が強くなってきています。窓やシャッター、屋根を叩く雨音は、気のせいか弱まる様子がない。風がないのがまだ幸いだけれども、24時間後には暴風に恐れおののき、悠長にこのようなことを書いている余裕はないかもしれぬ。
 懐中電灯、水、非常食、ラジオ、乾電池、充電済みのモバイル機器(とノートパソコン)とバッテリー、蠟燭と燐寸。ずいぶんと久しぶりに物置から引っ張り出してきたものも多い。備えが万全とはとてもいえない。が、これだけでも気休めにはなる。
 昼のうちに庭のプランターや物干し台を動かしておいて、よかった。オリーブの木を切っておいて、よかった。前回の台風15号の轍は踏まずに済む。
 さりとて台風来たると予報されていた明日明後日は、週末である。三連休の1日目と2日目という、あまりありがたくないタイミングではあるが、まぁ仕方のない話である。この時期に台風被害に遭いたくないなら、海外脱出がいまやいちばん現実的な方法となった。日本に住まう限り、台風から逃れることはできない。
 わたくし? 三連休はどこへ行く当てもないので、家にこもって読書に励もう。もしくは録り溜めた映画を観るか。いずれにせよ、インドア・ライフである。運良く未読のミステリ小説が何冊も待機中だ。ちかごろ意識して集めていた犯人当てミステリも、週末愉しむにはじゅうぶんな数がある(それでもすぐ手に取れるのは、5冊のみだ)。頭をひねくり回しながら、読み耽ろう。
 ちなみに内訳は栗本薫『鬼面の研究』(新装版 講談社文庫)、鮎川哲也『ヴィーナスの心臓』と『埋葬行進曲』(いずれも集英社文庫)、ミステリー文学資料館編『江戸川乱歩の推理教室』と『江戸川乱歩の推理試験』(いずれも光文社文庫)の5冊。ここ数日は『推理教室』を寝る前のナイトキャップ代わりにちびちび読んでいたが、明日はがっつり取り組むことができそう。外の様子は気になるが、なんというても読書は罰せられぬ悪癖なのだ。この愉しみは王侯貴族の地位にも代え難く(わたくしが性別;女性なら「妃の位もなににかわせむ」というところだね)、剥奪できるとすればまことに不謹慎ながら天変地異ぐらいのもの……。
 ──おや、いまは雨音が聞こえない。わたくしだけが聞こえないのか? 否、今宵の故郷ただいまは雨上がりである。が、これも刹那の現象。嵐の前の静けさに過ぎぬ。夜が明ければ関東は、いよいよ台風19号の勢力圏下である……。
 わたくしは本稿を〆括るにあたり、非道く場違いながらこれ以上に相応しいものはないとも考えている、先人の文章を引こうと思う。曰く、「私は虚飾を行わなかった。読者をだましはしなかった。さらば読者よ、命あらばまた他日。元気で行こう。絶望するな。では、失敬。」(太宰治『津軽』P211 新潮文庫)◆

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