第2840日目 〈たのしみは、“このあと読む本”の入れ替えをしているとき。〉 [日々の思い・独り言]

 楽しみは、なんの予定もない日に朝から本を読むことと、本棚の本を整理しているとき。そんなうれしい回答の主は、中居正広であった。読書人の鏡だ。
 今日、“このあと読む本”の入れ替えをしているとき、この言葉が脳裏に浮かんだのである。本を読む人、積ん読本を溜めている人ならば、およそ共感できるだろう言葉。
 過去に積み残した本を消化する。聞こえはいいが、生来の浮気症が祟った結果でしかない現行の読書マラソンだが、間もなく1つの大きな節目を迎える。──新潮文庫版太宰治作品集、年度中の読了はほぼ確実となった。喜ばしい。が、気を抜いてはならない。
 次に控えるは、新年度からのドストエフスキーである。わずか2作とはいえ、残ったのが『未成年』と『カラマーゾフの兄弟』だから、ちょっと難儀しそうな予感。されど読み果せれば、宿望成就、数多ある積ん読本もまったく気にならなくなる不思議さ。
 と、ここまではいつもと同じお話でしかない。ちょっと目新しい(と誇大広告)のはこの先だ。
 まぁ、こうしてゆっくり太宰を読んできていると時折、眼差しがそのまわりの作家たちへ向く。またぞろいつもの浮気癖か? 否、こんな理由があるのだ──
 いまを去ること6年と2ヶ月前の2013年12月。実業之日本社文庫が全3冊より成る<無頼派作家の夜>シリーズを刊行した。ん 3 1;織田作之助『夫婦善哉・怖るべき女』、ん 3 2;坂口安吾『堕落論・特攻隊に捧ぐ』、ん 3 3;太宰治『桜桃・雪の夜の話』以上3冊。各巻に文庫初収録の目玉がある。
 つい買いそびれているうちに書店の棚から姿を消してその後、注文することも怠ったまま今日に至っていたが、どうしたわけか、この3冊が別々の店で、同じ日に揃ったのだ。
 その前にも織田作之助短編集『聴雨・蛍』(ちくま文庫)を手に入れたり、坂口安吾『不連続殺人事件』(新潮文庫)を奨められたりしていたこともあり、或る意味で土壌は整っていたというてよいだろう。太宰に私淑した田中英光の文庫(西村賢太編『田中英光傑作選 オリンポスの過日/さようなら他』 角川文庫)を古本屋で、安く買ってきたのも、同じ時分だ。
 このタイミングに否応なく無頼派の作家たちへの関心が一気に高まったのも、致し方ないこと、とわたくしは考える。──寄り道浮気火遊び、言葉はどうあれ、する気になったのは、斯様な偶然が集積したがためのことだ。
 いまを逸したら、次にいつかれらの作物を読むようになるか、わからない。従ってド氏のあとは予定を変更して、無頼派の2人、太宰に私淑した1人の作家を読む。それぞれが1、2冊。記す程の後遺症は残るまい。
 前述の“このあと読む本”の入れ替えをしていたのは、この決定を承けてのことである。
 無頼派をそんな風に済ませたら、花袋→横溝→乱歩→綾辻と消化。そのあとは悠々自適、行き当たりばったり積ん読本消化の生活に入りたい。むろん、そうは問屋も卸すまいと覚悟の上。◆


夫婦善哉・怖るべき女 - 無頼派作家の夜 (実業之日本社文庫)

夫婦善哉・怖るべき女 - 無頼派作家の夜 (実業之日本社文庫)

  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2013/12/05
  • メディア: 文庫



堕落論・特攻隊に捧ぐ - 無頼派作家の夜 (実業之日本社文庫)

堕落論・特攻隊に捧ぐ - 無頼派作家の夜 (実業之日本社文庫)

  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2013/12/05
  • メディア: 文庫



桜桃・雪の夜の話 - 無頼派作家の夜 (実業之日本社文庫)

桜桃・雪の夜の話 - 無頼派作家の夜 (実業之日本社文庫)

  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2013/12/05
  • メディア: 文庫



田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら 他 (角川文庫)

田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら 他 (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/11/25
  • メディア: 文庫




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