第2879日目 〈岩波文庫の100冊〉 ※最終稿 [日々の思い・独り言]

 ここにかねてより予告してきた、私家版<岩波文庫の100冊>リストをお披露目する。あまり特徴のないリストになってしまったことを、まずはお詫びしたい。
 嘘偽り、虚勢などいっさいを排して、ほんとうに自分が滋養とし、救いとし、愛でたものだけを、ここに並べる。ありきたりの書名ばかりが並び、捻りなく意外性と無縁なリストになったが、ここにあるのがわたくしの人生の糧となった岩波文庫、ほんとうのラインナップである。
 土台作りと称していちばん最初にリストアップしたときはその数、250冊。流石にこれには目眩がした。それを半分以下に削ったところで力尽きて放置、するうち年が明け、ぐずぐずしていたら年度改めの時期に至り、そろそろ重い腰をあげる気にようやくなって、いまを迎えている。
 一念発起して<岩波文庫の100冊>を仕上げる気になった理由は、特にない。「ライバルは岩波文庫」なる阿呆なキャンペーンが始まったことも、春のリクエスト復刊に物足りなさを覚えたからでも、ない。単に、そろそろこの原稿を手放してしまいたい気分になっただけのこと。
 そうして今日;専ら削ることを第一として、「これ、いらねぇな」と口のなかで呟きながら、120数冊から100冊へ絞りこむ作業に然程労することはなかった。他の文庫で読んで執着した作品が随分とあって、それらは容赦なくリストから削りましたしね。
 そうしたことはあっても黄帯がどうしても膨らんでしまうことは仕方なく、白帯がいちばん少なくなってしまうこともまた仕方なかった。青帯はもう少しタイトルを増やしたく思うたが、方針に従って加除してゆくと、あれこんなものか、という結果に。赤帯と緑帯は、うん、まぁこんなものだろう。
 とまれ、宣言の最初からお披露目まで随分と時間が経ってしまい、けれども実際に要した時間はトータルすればおそらく8時間程度である。呵呵。殆どお披露目詐欺と化しつつあった本稿をこうしてようやく、読者諸兄にお届けできることが、なによりも喜ばしく、うれしい出来事なのだ。サンキャー。
 それでは、どうぞご笑覧ください。リストは下にございます。◆

【凡例】
一、以前本ブログでお披露目した「新潮文庫の100冊」のように1人1冊の原則は設けなかった。
一、全100冊を黄帯・緑帯・青帯・赤帯・白帯の順にカテゴライズした。
一、著編者不明及びアンソロジーに関しては「−」(ハイフン)を付して、それを示した。
一、各色帯書目は以下のように並べた。
  黄帯→成立年代順。但し『万葉集』と勅撰和歌集は一括して先頭に掲げ、成立順に並べた。
  緑帯→作者生年順。
  青帯→成立年代順。但し『論語』は旧約聖書の前に置いた。
  赤帯→成立年代順。但し著編者不明の古伝承及び詩歌選は一括して先頭に掲げた。
  白帯→作者生年順。
一、いずれも「通し番号→帯色→書名→著者→校訂/編集/翻訳者」の順で並べてある。
付言;すべて作品成立年時で並べることも考えたが、成立年時のはっきりとしないもの、どの段階を以て成立年時と判断するか迷ったもの、作者の業績全般から編まれた1冊などあることから早い時点でそれは棄てて、無難に上述の如きとした。意外な発見があって、愉しい配列にもなったことを告白しておく(緑帯のなかでは中也がいちばん遅く生まれているんですよ!?)。
 いや、まさか凡例を作る羽目になるとは思いませんでした。□

001 黄:新訂新訓 万葉集(上下) − 佐佐木信綱
002 黄:古今和歌集 嘉禄本 − 尾上八郎
003 黄:古今和歌集 − 佐伯梅友
004 黄:後撰和歌集 − 松田武夫
005 黄:拾遺和歌集 − 武田祐吉
006 黄:後拾遺和歌集 − 西下経一
007 黄:三奏本 金葉和歌集 − 松田武夫
008 黄:詞華和歌集 − 松田武夫
009 黄:千載和歌集 − 久保田淳
010 黄:新訂 新古今和歌集 − 佐佐木信綱
011 黄:新勅撰和歌集 − 久曾神昇・樋口芳麻呂
012 黄:玉葉和歌集 − 次田香澄
013 黄:竹取物語 − 阪倉篤義
014 黄:伊勢物語 − 大津有一
015 黄:蜻蛉日記 藤原道綱母 今西祐一郎
016 黄:更級日記 菅原孝標女 西下経一
017 黄:枕草子 清少納言 池田亀鑑
018 黄:建礼門院右京大夫集 建礼門院右京大夫 久松潜一・久保田淳
019 黄:問はず語り 後深草院二条 玉井幸助
020 黄:六百番歌合・六百番陳状 − 峯岸義秋
021 黄:定家八代抄(上下) 藤原定家・選 樋口芳麻呂・後藤重郎
022 黄:王朝秀歌選 − 樋口芳麻呂
023 黄:王朝漢詩選 − 小島憲之
024 黄:王朝物語秀歌選(上下) − 樋口芳麻呂
025 黄:中世歌論集 − 久松潜一
026 黄:芭蕉文集 松尾芭蕉 穎原退蔵
027 黄:芭蕉紀行文集 松尾芭蕉 中村俊定
028 黄:芭蕉 おくのほそ道[付:曽良旅日記・奥細道菅菰抄] 松尾芭蕉 萩原恭男
029 黄:芭蕉俳文集(上下) 松尾芭蕉 堀切実
030 黄:鬼貫句選・独ごと 上島鬼貫 復本一郎
031 黄:蕪村俳句集 与謝蕪村 尾形仂
032 黄:雨月物語 上田秋成 長島弘明
033 黄:漆山本 春雨物語 上田秋成
034 黄:新訂 一茶俳句集 小林一茶 丸山一彦
035 黄:橘曙覧全歌集 橘曙覧 水島直文・橋本政宣
036 黄:東海道四谷怪談 四世鶴屋南北 河竹繁俊
037 黄:江戸怪談集(全3巻) − 高田衛
038 緑:真景累が淵 三遊亭円朝
039 緑:牡丹灯籠 三遊亭円朝
040 緑:澁江抽斎 森鴎外
041 緑:北村透谷選集 北村透谷 勝本清一郎
042 緑:一兵卒の銃殺 田山花袋
043 緑:温泉めぐり 田山花袋
044 緑:高野聖・眉かくしの霊 泉鏡花 
045 緑:草迷宮 泉鏡花 
046 緑:註文帳・白鷺 泉鏡花
047 緑:上田敏全訳詩集 上田敏 山内義雄・矢野峰人
048 緑:黒髪 他二編 近松秋江 
049 緑:随筆集 明治の東京 鏑木清方 
050 緑:鏑木清方随筆集 鏑木清方 
051 緑:濹東綺譚 永井荷風 
052 緑:北原白秋歌集 北原白秋 高野公彦
053 緑:若山牧水歌集 若山牧水 若山喜志子
054 緑:新編 みなかみ紀行 若山牧水 池内紀
055 緑:郷愁の詩人 与謝蕪村 萩原朔太郎
056 緑:猫町 他十七編 萩原朔太郎
057 緑:貝殻追放抄 水上瀧太郎 
058 緑:或る少女の死まで 他二編 室生犀星 
059 緑:室生犀星詩集 室生犀星 室生犀星自選
060 緑:古句を観る 柴田宵曲
061 緑:俳諧随筆 蕉門の人々 柴田宵曲 
062 緑:中原中也詩集 中原中也
063 青:論語 孔子 金谷治
064 青:文語訳旧約聖書(全4巻) − 
065 青:文語訳新約聖書 詩篇付 − 
066 青:人生談義 エピクテトス 鹿野治助
067 青:読書について ショーペンハウエル 斎藤忍随
068 青:眠られぬ夜のために(第一部・第二部) ヒルティ 草間平作・大和邦太郎
069 青:幸福論(全3巻) ヒルティ 草間平作・大和邦太郎(第一部のみ草間単独訳)
070 青:古寺巡礼 和辻哲郎
071 青:信仰の遺産 岩下壮一
072 青:古典学入門 池田亀鑑
073 青:漱石詩注 吉川幸次郎
074 赤:中国名詩選(全3巻) − 松枝茂夫
075 赤:唐詩選(全3巻) − 前田直彬
076 赤:ニーベルンゲンの歌(前編・後編) − 相良守峯
077 赤:中世イギリス英雄叙事詩 ベーオウルフ − 忍足欣四郎
078 赤:フィンランド叙事詩 カレワラ(上下) リョンロット編 小泉保
079 赤:オシァン − 中村徳三郎
080 赤:ギリシア・ローマ叙情詩選 花冠 − 呉茂一
081 赤:トリスタン・イズー物語 ベディエ編 佐藤輝夫
082 赤:イギリス名詩選 − 平井正穗
083 赤: 英国ルネサンス恋愛ソネット集 − 岩崎宗治
084 赤:墓畔の哀歌 トマス・グレイ 福原麟太郎
085 赤:ワーズワース詩集 ウィリアム・ワーズワース 田部重治
086 赤:水妖記(ウンディーネ) フーケ- 柴田治三郎
087 赤:スペードの女王・ベールキン物語 ゴーゴリ 神西清
088 赤:怪談 ラフカディオ・ハーン 平井呈一
089 赤:あかい花 他四篇 ガルシン 神西清
090 赤:ヘンリ・ライクロフトの私記 ジョージ・ギッシング 平井正穗
091 赤:可愛い女・犬を連れた奥さん 他一篇 チェーホフ 神西清
092 赤:対訳 ペレアスとメリザンド メーテルランク 杉本秀太郎
093 赤:野草 魯迅 竹内好
094 赤:スコットランド紀行 エドウィン・ミュア 橋本槇矩
095 赤:海の沈黙・星への歩み ヴェルコール 河野興一・加藤周一
096 白:フィレンツェ史(上下) マキァベッリ 斎藤寛海
097 白:法の精神(全3巻) モンテスキュー 野田良之 他訳
098 白:金枝篇(全5巻) フレイザー 永橋卓介
099 白:プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 マックス・ウェーバー 大塚久雄
100 白:職業としての学問 マックス・ウェーバー 尾高邦雄■

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