第2901日目 〈横浜ランドマークタワー1階のスターバックスが新装オープンしました。うれしい。〉 [日々の思い・独り言]

 先達てのゴーゴリに続いていまは、ドストエフスキー初期作品再読・初読の予習がてら──いったい『未成年』にはいつ取り掛かるのか、という内なる声はひとまず無視して──、プーシキン『スペードの女王・ベールキン物語』(岩波文庫)を読んでおり、今日はその感想文をばお披露目させていただきたく……といいたいのは山々ながら本稿タイトルをご覧いただければおわかりのように、そんな話ではないのである。
 さて、なんのお話をしようか……。

 そういえばわたくしは現在、リニューアル・オープンした横浜ランドマークタワー1階のスターバックスに陣取っている。10数年前、向かいのビルのコールセンターで顧客獲得の性に合わぬ仕事で神経すり減らして過ごしていた時分、昼休みと退勤後に駆けこんで脇目も振らず読書し、また聖書読書ノートを綴っていた、本ブログにも当時度々登場していた店舗だ。コロナの影響で休業を余儀なくされた春から梅雨明けの頃までの間を使い、再開を期して工事が進められていたのが終了してようやく今月3日から新装オープン、新しい歴史が幕開いたのである。
 むかしの面影をほぼ一掃した開放的な内装と、床面積が倍に拡大されたことの2つに、びっくりしている。スターバックス横浜ランドマーク店が今春いったん休業するまで、ここの隣にどんなお店があったのか、よく覚えていない。記憶は朧ろである。
 and now.店内は以前よりも空間の作り方がうまく、ずいぶんとゆったりした様子だ。席もすべて一新され、カウンターもアイランド型になり、往時とは似て非なる店舗へ変貌してしまうた。気のせいか、客とバリスタの距離も隔たりが生まれたように感じる。まだリニューアル・オープンから日が浅く、バリスタもかつてここにいた人たちばかりでないことが作用しての印象であろうか。このあたりについてはまだ経過観察を試みないと、なんともいえぬ部分である。
 とはいえ、店内が明るくなったのはけっして照明ゆえばかりでなく、壁紙や床材の色調、計算された空間設計などすべてが綜合されてのことだ。加えてコロナの影響で席と席の間隔は最初から離してあるので、そうした意味では収容人数の割に店内はゆったりしている。不謹慎を承知でいえば、殊この店舗に関する限りコロナ禍に直面して試行錯誤した成果が良い方向へ作用し、結果、以前よりも居心地の良いサードプレイスが誕生したわけだ。向こう1週間と経たぬうちにわたくしはふたたびここを<巣>として活用し、読書と原稿執筆に勤しむようになるだろう。
 今日は土曜日、19時15分。席は2/3が埋まり、天井のスピーカーからはスムージーなジャズが流れている。思い思いの席に坐る人々の談笑はジャズと渾然一体となり、心地よいBGMと化す。適度な音量の音楽と適度な声量の話し声;この2つが調和すると得もいわれぬ<トリップ>感に襲われて、至福を感じるのだ。
 そんな気分を味わいながら、壁一面のガラス窓(これはさすがにむかしと変わらない)の向こう側を眺めている。いまわれはわが影を鏡をもて見る如く見るところ朧ろなり(For now I see my shadow through in a grass,darkly.)。◆

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