第3064日目 〈ノロケ話じゃないのよ?〉 [日々の思い・独り言]

 いつだかの話の続きになるが、あふれた本の棚卸しをして書架に戻さなかった本、というのがある。特定のジャンルの本を戻すことはなかった、という方がより正解かな。否、もう少し厳密にいうならば、「戻さなかった」のではなく「戻せなかった」のだ。
 棚卸しをして驚いたのは、現実を認識して「え……」と絶句してしまったのは、コミックがこんなに沢山あろうとは思わなかったよ、ということ。『ONE PIECE』や『こち亀』、『名探偵コナン』や『美味しんぼ』、『ゴルゴ13』がないだけマシではあろうが、それでも一箇所にまとめてみたら棚数段を占拠するにはじゅうぶんな数であった。完結した作品、未完で終わった作品、刊行中の作品、諸々交えてウン百冊……やはり『藤子・F・不二雄大全集』全115冊がいちばんスペースを取っている……これにくらべれば『エリア88』と『ファントム無頼』のヴァージョン違い全冊揃いなぞ可愛いものだろう……と言い訳に奔走するわたくしである。
 それはさておき。
 他の本を収めようとするとコミックはのけ者扱いされてしまい、ダンボール箱でお休みいただくより他にない状況。が、皆さまもご経験があると信じるが、コミックってふとしたときに適当に目についた巻を手にしてしばし読み耽るものじゃない? 然るにダンボール箱に入れてしまってはその用を為さなくなってしまう。為、これはなんとしてでも外気に触れ視線に曝される場所にあらねばならぬ。
 高校生の頃買った『本棚の本』というムック本があって、各界著名人が自分の本棚を紹介していた。誰が登場していたか、誰の部屋がどんなであったか、どんなことを語っていたか、等々結構鮮明に記憶している。なかでもよく覚えているのが、当時尋常ではない熱量で読み耽っていた三島由紀夫と生前交流があった画家、横尾忠則が語っていたエピソードである。曰く、三島の書斎には部屋に入った正面にマンガがぎっしり詰めこまれた棚があった、と。
 三島もマンガを読んでいたのか。軽い驚きを覚えた。が、それ以上に脳裏に焼きついたのは、マンガが詰まった書棚がある光景だ。部屋に入った正面の書棚を埋め尽くすコミックの数々、正面になくても棚に収まるおびただしい数のコミックのある部屋。或る意味で自分の書斎、仕事部屋、個室の理想の一場面にはなりました。リフォームするか建て直すか、まだ結論は出ていないし、結論を出す程切羽詰まってもいないが、この光景と、自分が思い描いて時折図面を引く(方眼紙にフリーハンドで描く、お遊びのようなものですが)部屋をどのようにマッチングさせるか、夢想すると愉しくて仕方がない。
 とはいえ、それはあくまで将来の話であって、現在目の前に山を成し行き場を失って居場所を求めてシュプレヒコール送るコミックを如何に片附けるか、の話ではない。
 さて、どうしようかな……。
 そんなことに悩みながら仕事から帰った昨日、夕刻。ちょうど妻の実家に出入りしている業者さんのトラックが家の前から離れるところだった。顔なじみでもあるので、曲がり角で遭遇したとき挨拶されたが、「良いお嫁さんになりましたね」といわれた意味はまるでわからんかった。
 で、帰宅すると……2階の廊下に新しい書架が鎮座坐していた。3重スライド書棚である。オーダーメイドだ。義父からの、結婚祝いとは別のプレゼントであると、妻がいう。私をもらってくれたお礼になにかしたかったんだってさ、と夕食のときに聞かされた。なにがいいか訊かれたからがっしりした本棚欲しがってる、っていっておいた、とも。さっそく電話でお礼を述べたことはお伝えする必要もないでしょう。
 さて、この書棚になにを収めるか、もう決まっておる。誰しもが承知していたようだ。2時間ばかりかかって件の、多量のコミックを片っ端から仕舞っていった。恐るべきことにそれでもまだ棚には余裕があった。驚きである……よっしゃ、空間の心配することなくこれからもコミック買うたるで。……まずは『それ街』全巻買い戻すか。◆

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