第2528日目 〈夢野久作『人間腸詰』を手に入れました。〉 [日々の思い・独り言]

 年が改まって間もない1月4日、第2474日目として〈夢野久作短編集の相次ぐ登場を喜ぶ。〉と題する文章をお披露目している。
 そこで取り挙げたのは創元推理文庫と新潮文庫に昨年相次いで収められた作品集と、かつて角川ホラー文庫で出た『あやかしの鼓』。その末尾で角川ホラー文庫の『人間腸詰』をこれから探しにいこう、と書いた。また、現代教養文庫版傑作集全5巻を探しに行くとするか、とも。第一稿を書きあげてからほぼ2ヶ月後に本ブログにて上記の文章をお披露目したのだが、それから間もない頃に実は『人間腸詰』を入手したので、実際の読書はしばらく先になるけれどまずはご報告と備忘を兼ねてここに記しておく。
 が! 『ひとりで夜読むな』はともかく『人間腸詰』については諦め切れぬ部分が残っているのだ。すべては『あやかしの鼓』に由来する。そちらが帯附き初版であったのに対して、古本屋の見切り棚からサルベージした『人間腸詰』は初版ながら(そも版を重ねたのか?)帯がなく、正直いって状態もけっしてよろしくない。ゆえに買い換えを検討しているのだが、なかなかこちらが求める状態のヴァージョンと出会えない。
 『人間腸詰』の背表紙は上端が白帯になっており、記号と作家/書目番号が記載されている(H/54-2)。一方でこれの前に出た『あやかしの鼓』は白抜きされた部分がない。黒字に記号と作家/書目番号が白抜き文字で印刷されているだけだ(H/54-1)。これだと棚へ並べたとき非道く見栄えが悪いのだ。初めに世に出たときからこう印刷されていたのか知らないので、そのときの画像など電脳空間で捜索してみる必要があるけれど──角川文庫に限らず版を重ねていようがカバーを掛け替えることはあるからね──、白抜きされた部分がそもそもの最初からあったのであれば諦めもつく。もし白抜きされた部分が始めはなくて背表紙が全部黒一色であったなら……嗚呼、いつ終わるともしれぬ探求の旅に身をやつす羽目になるわけだ。まぁ、終わるときが来ればいいけれどね。
 さて、それでは前回同様『人間腸詰』の収録作を以下に記す。最近物忘れの頻度が激しくなって気がするからね。えへ。
 人間腸詰(そおせえじ)
 焦点(フオカス)を合わせる
 空(くう)をとぶパラソル
 眼を開く
 童貞
 一足お先に
 狂人は笑う
 キチガイ地獄
 冗談に殺す
 押絵の奇跡
 以上10作。なお、『あやかしの鼓』は勿論、昨年刊行の創元推理文庫と新潮文庫との重複はない。
 『人間腸詰』の編者解説に拠れば、角川ホラー文庫では他に夢野久作の短編を収めたアンソロジーが2種あり、1つは雑誌『新青年』掲載作品の傑作選『爬虫館事件』、もう1つは同じ『新青年』掲載作品のなかでも特に<怪奇編>と謳う『ひとりで夜読むな』。それぞれに夢野久作の短編が掲載されている由、前者には「人の顔」、後者には「鉄槌」が。「人の顔」については新潮文庫版に収まるので、『ひとりで夜読むな』を古書店で探せばよいわけだ。そういえば、とここまで書いてふと数日前の記憶の欠片がよみがえってくる。──先日立ち寄った古本屋で見たような記憶があるなぁ……。
 現代教養文庫版傑作集全5巻? いや、これはさ、その気になりさえすれば即架蔵可だが、なんというか、なんとなく入手の時機を逸した感がして未だこれに財布の紐をゆるめる気になれていないのだよね。困ったものです、はい。◆

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