第2624日目 〈ヴィンス・ガラルディ『スヌーピーのクリスマス』“A CHARLIE BROWN CHRISTMAS”を聴きました。〉 [聖書読書ノートブログ、再開への道]

 アニメ『ピーナッツ』の音楽にジャズが使われていた。日本でも国内盤として3種か4種のアルバムが出ているが、うち1995年にリリースされた『スヌーピーのクリスマス』“A CHARLIE BROWN CHRISTMAS”は1965年、アメリカで初めて『ピーナッツ』がアニメ化された際のオリジナル・サウンド・トラックである。作曲は、西海岸で活躍していたピアニスト、ヴィンス・ガラルディ。
 ガラルディを起用したのは番組プロデューサーのリー・メンデルスンだった。父親譲りのジャズ・ファンだったメンデルスンは或る日、ラジオでガラルディの曲を聴いて、コミックとジャズの結婚という奇異にして卓越したアイディアを思いつき、……幸いにしてそのアイディアは成功し、番組の視聴層に大人まで取りこむ結果となった。
 『スヌーピーのクリスマス』に収まる12曲は、ガラルディのオリジナルに留まらず、民謡やクラシックの編曲(1曲のみオリジナル)で構成されている。マイ・フェイヴァリット、そうしてオススメは②〈ホワット・チャイルド・イズ・ジス(グリーンスリーヴス)〉と⑦〈スケーティング〉だ。
 〈ホワット・チャイルド・イズ・ジス(グリーンスリーヴス)〉はイギリス民謡、というよりもむしろレイフ・ヴォーン=ウィリアムズの管弦楽編曲で知られる“あの”〈グリーンスリーヴス〉をガラルディが、ピアノ・トリオ用に編曲したもの。原曲の持つ惻惻とした感じを残しながら、しっとりとして落ち着きのある、奥深い内容に仕上がっている。流れるように音を紡ぐピアノ、ピアノへ寄り添った繊細なタッチのドラム、屋台骨に徹したベース──元々ガラルディのこのトリオは個々の楽器が自己主張ではなく調和を専らとしたトリオのようで、そんな性格が〈ホワット・チャイルド・イズ・ジス(グリーンスリーヴス)〉を斯くも上品な演奏を実現させたのだろう。なおアルバムの最後にはアレンジをやや違くした〈グリーンスリーヴス〉が収められている。こちらも滋味のある演奏で、好ましい。
 コミックの『ピーナッツ』では冬になると、子供たちがスケートに興じる場面がしばしば登場する。〈スケーティング〉はその様子を音化したら斯くありなむ、てふ印象の曲だ。短いながら、聴き終えたときには心が喜びで満たされているような、そんな小品である。
 他にも①〈もみの木〉や⑪〈ザ・クリスマス・ソング〉などなど佳曲が目白押しなのだけれど、ガラルディのソロが存分に味わえる⑩〈エリーゼのために〉もなかなか良い演奏だ。ちょっと線を崩した、ロマンティックな香気を漂わせたにあふれた〈エリーゼのために〉、わたくしは好きだ。
 世にクリスマス・アルバムは沢山あるが、静かな一刻を過ごすに流したいとなれば、個人的には筆頭候補の1枚。◆

共通テーマ:日記・雑感

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。