第2695日目 〈岡野弘彦の新著を読んで、加藤守雄を想起すること。〉 [日々の思い・独り言]

 先日、岡野弘彦さんの著書『最後の弟子が語る折口信夫』(平凡社)を買ってきました。久しぶりに新刊で読む、折口博士の関連書です。
 表題や帯にあるように、岡野さんは折口最後の内弟子、晩年の氏と起居を共にし、家庭で身辺の諸事をこなし死を看取ったうちの一人。現代歌人のなかで古代の息吹と闇、おおらかさを感じさせる短歌の詠み人。宮中歌会始の選者を務め、皇后陛下お妃教育の際短歌のご進講を担当された方。
 『最後の弟子が語る折口信夫』を読了後、ただちに氏の著作の幾冊か──随筆集『花幾年』と『歌を恋うる歌』を、歌集『飛天』と『天の鶴群』を、そうして就中『折口信夫伝──その思想と学問』と『折口信夫の記』、『折口信夫の晩年』を──雑然とする部屋の書架を引っ掻き回して、読み返したことであります。
 じつはその過程で思い出した人物がありました。折口信夫の後半生にその自宅で起居して日常雑事を代わって担当し、学校で講義し、そうして本人曰く「裏切られたような思い」を抱いて師の許から出奔した弟子のことであります。
 その人の名前は、加藤守雄。
 師の没後、折口学の発展と継承に於いて参謀役を務めたというてよい人物であります。
 折口亡きあと、かれの学問は門下生、殊に池田彌三郎を中心にして発展と継承、世間への紹介が進められました。加藤守雄は池田の無二の親友として、そうして折口信夫に愛された弟子として、師の業績を世に知らしめていったのであります。
 主著は『わが師 折口信夫』と『折口信夫伝──釈迢空の形成』。また雑誌『芸能』を中心として「折口信夫の肖像」など多くの対談を残し、慶應義塾大学と文化学院で古典文学と民俗学を講義して、学生からの人気は圧倒的であったと仄聞する。
 明日は、加藤守雄についていま現在、わたくしの思うところを縷々綴ってみます。◆

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