第2846日目 〈英語を勉強し直したい。〉 [日々の思い・独り言]

 かえすがえす残念に思うのは、英語を自在に使いこなすこと叶わぬまま、大人になったことであります。沼津に住んでいた時期のうち、小学2年生から4年生までマルサン書店の2階に設けられたLL教室に通っていました。
 当時の授業については何度となく、英語ってなんて面白いんだろう、と親に感想を話していたそうですから、子供でも退屈しないカリキュラムが組まれていたのでしょう。
 どのような教材を使っていたのか、どのような先生がいたのか、もうさっぱり覚えていませんが、いちども休まず通っていたところをみると、愉しい体験だったのでしょうね。もっとも、帰りに1階のレジで、当時流行っていた怪獣や怪人のカードを1袋、買い集めてゆく愉しみ、マンガを立ち読みする愉しみ、学校の違う友どちと遊ぶ愉しみも、そこにはあったのでしょうけれど。
 中学・高校を通じて苦にならなかった英語ですが、高校を卒業してからは国文学の方へとふらふら歩いてゆき、……そうして英語とは再びの縁を結ぶことないまま、時を重ねてきました。
 久しく忘れていた、英語が好きだな、という気持ちがよみがえったのは、勤労学生をしていた三田時代。大学併設の語学学校へ入学を決めたのは、語学の独習の一環として選んからであろうか。きっかけは思い出せない。記憶は時間の果てへと流される。然る後に美化されるか、捏造されるか、忘却されるかするのです。
 とまれ、語学学校の講義は初級クラスでありながら、ずいぶんと刺激に満ちたものでした。20代の後半──知的欲望が燃えたぎっていた、最後の時代だったせいもあるのかな。
 苦しめられたのは、やはり文法でした。初級クラスのテキストとはいえ、文法を無視して文章が書かれることはない。思えば学生時代も英語自体は好きだが、文法だけは苦手でありました。いわゆる基本5文型は、理屈は理解できても実践しようとすると「?」が頭に点灯するのですね。
 さりながらこの時代を振り返ると、或いは当時のテキストやノートを見直してみると、わたくしはずいぶんと初級クラスでの講義を堪能していた様子。相当な勉強の跡が残っております。先生方の教え方も良かったのでしょう、いつしか英語が好きだ、という気持ちがよみがえってきて、己の特技を活かした自習までするようになった;即ち、英語で文章を書く、ということであります。
 ふしぎなことに文章を書いているうちに、文法への苦手意識は雲散霧消していました。芸は身を助く。その言葉の真実なることを一端ながら知ったことであります。
 ──手探り同然とはいえ、こんなことが可能だったのは、書店で見附けた2冊の文法書のお陰と思うています。巽一朗『「中学英語」を復習してモノにする本』(中経出版 1995/2)と、A・J・トムソン=A・V・マーティネット著/江川泰一郎訳『実例英文法』第4版[改訂版](オックスフォード大学出版局 1988/6)が、それであります。
 前者は表紙に「やり直し英語の早道」と謳っているだけあり、基本文と図解を要所に、豊富に配したところから読みやすく、わかりやすくできており、目からウロコが落ちる気分でした。予習復習の際は勿論、いっときも手放さず折あるごとに開いていた本で、カバーを外すと当時の酷使の刻印がはっきり残っている。これなくして、「文法は苦手」意識は消えなかったでしょうね。
 後者は英国の文法学者が著した文法書ですが、文法のあらゆるパターンを網羅した、解説は平易でありながらじつは初級から上級まで使用に耐える頑強な1冊。わたくしのなかでは、最強の文法書であります。訳者の江川泰一郎は本書を翻訳するにあたって<訳者注>を付し、適宜例文を増やしたり、解説を補ったりしているので、日本人にも江湖にお奨めできる文法書になっています。
 ……語学学校を卒業して、ふたたびわたくしは英語と縁のない世界で生きることになった。たまにむかし勢いに任せて読み切った小説、歴史書や聖書など読むことはあるけれど、文脈を追って丹念に進めるのではなく、開いたページに漫然と目を通す、というのが正解でした。
 いまつらつら企んでいるのは来週から始まる仕事に馴れて、時間の割り振りにメドが立つようになったら、もいちど英語の勉強をやり直そうかな、ということ。前にも書いているかもしれないけれど、定期的にやって来る向学心の現れまたは吐露、と受け取っていただけるなら、げに幸甚、さいはいなり(「妻は稲荷」とさいしょ、変換されました。みごとだ、ATOK)。◆


カラー版 中学英語を復習してモノにする本

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  • 作者: 巽 一朗
  • 出版社/メーカー: 中経出版
  • 発売日: 2010/05/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



実例英文法

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  • 出版社/メーカー: オックスフォード大学出版局
  • 発売日: 2020/02/05
  • メディア: 単行本



英文法解説

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  • 作者: 江川 泰一郎
  • 出版社/メーカー: 金子書房
  • 発売日: 1991/06/01
  • メディア: 単行本




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