第2870日目 〈それではみなさん、さようなら。〉 [日々の思い・独り言]

 六本木一丁目を離れることになんの感慨も湧かないのは、どうしてなのだろう。
 上長や同僚に恵まれた仕事は面白く、時間の過ぎるのも忘れる程に楽しんでいたのだが、やはり最後の最後で耳の病気がそれにストップをかけた。耳鳴りはいつものこととはいえ、新しい薬になったのが躓きの原因、釈然としない幕切れの原因であろう。
 殆ど仕事らしいこともできぬまま最後の1週間を(事情を知らぬ他チームの方々からは白い目を送られながら)過ごし、表情は完璧なまでの営業スマイル、口角あげた口からは感謝の言葉を述べ散らして業務エリアを出たあとは、すぐさま憮然とした顔になり、未練なくさっさとエレヴェーターを呼んで、偏奇館跡碑を眺めたことでありますよ。
 そのまま足は亡き婚約者の母校へ向かってそこで人に会い、用事を済ませたらば青山霊園に毎月恒例の墓参をしてきた。チクショウめ、という思いである。沖田艦長ではないが、バカめ、といってやりたい気分だ。こんな気持ちを抱えてここを訪れたくなかった──歩きながら腹のなかで連衆を叱咤罵倒して殴打の真似でもしていれば収まるか、と淡い期待を抱いたが、空振りであった。
 わたくしはキミたちに事情を知ってほしいわけではなかったのだ。知るべき者だけが知っていればいい。キミたちは事情を知る立場の者ではないし、知る必要のない立場なのだ、と、なぜわからない?
 上長や同僚に恵まれた仕事は面白く、時間の過ぎるのも忘れる程に楽しんでいたのだが、んんん、なんだか後味の悪い3週間であったな。やっぱり職場環境って大切だ。
 では、さようなら。◆

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