第3113日目 〈『ラブライブ!スーパースター!!』第3話を観ました。〉 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 「クーカー」はシリーズ最高の第3話だった、というのが嘘偽らざる感想です。やはり今回は、<挫折回>ではなく、<克服回>でありました。
 今回は第2話ラストからの流れで、かのんと可可の、歩道橋でのシーンから。前回はそこからエンディングに突入して圧倒的歓喜を湧きあがらせたシーンでしたが、やはり現実はそんな風には行かない。
 かのんはやはり、歌えなかった。いや、歌おうと思えばできたのでしょう。しかし、時刻は明け方、街は目覚めて歩道を行く人の姿も目立ってきた刻。かのんはそうした人々の往来する様を見て、過去のトラウマを再発して、「歌えないよぉ」と愕然としてしまう……。
 オープニング明けのAパートは、喫茶店の片隅のいつもの席で澁谷姉妹が語らうシーンから。いきさつを打ち明けた妹ありあから、「また歌えなくなっちゃったの?」と訊かれてうなだれるかのん。
 しょげたその様子からは、とても第1話でのやさぐれた彼女の姿を思い起こすことはできませんでした。一度は歌えたことで取り戻した自信が打ち砕かれたことが──その自信を基に嵐千砂都の激しいトレーニングをこなしてきたのだから、歩道橋での経験は余程ショックだったのだろうな、と想像できます。
 けっきょくそれはBパートまで持ち越されますが、かのんは立ち直りました──というよりも、このままじゃいけない、と一念発起してのことではなく寧ろ、代々木スクールアイドルフェスティヴァルのステージに立ったときのアクシデントに直面したとき(初ステージでのアクシデントも恒例になりましたね)。
 すみれが舞台裏から様子を偵察に来たとき、ケーブルに引っ掛かって全照明を消してしまう、という、或る意味でシリーズ最強の<やらかし>をしでかしてくれたからこその、トラウマ克服。
 ステージに立ったかのんは、背中合わせでいる可可の自分への言い聞かせ/自己暗示「大丈夫、大丈夫」を耳にして、ほんとうにこれでいいのだろうか、と考えたのでしょう。
 可可の部屋で、「かのんさんが歌えないなら私がひとりで歌います、かのんさんは同じステージにいてくれればいいんです」と歌唱に関して引き受けてくれた可可が、自分よりも不安な気持ちを抱えている。それを知って、これでいいのか、と内心で自らに問い、その答えを得ぬままステージでトラブルが生じた。
 そのときでした、千砂都が、かのんの母と妹が、見物に押し寄せた観客たちがブレードを点灯させて2人を勇気づけ──千砂都や観客の声だけでなく、子供たちの声援も彼女たちの背中を押したことであろう──、かのんが「自分も歌う」と決意した。その瞬間にすみれが「ええい、ままよ」とばかり差しこんだケーブルによって照明復活、斯くして澁谷かのんと唐可可、2人によるユニット「クーカー」のファースト・ソング〈Tiny Stars〉がお披露目される。
 堂々ったる歌いっぷりと息を呑むように美しいダンスとが相俟って、客席は熱狂し、千砂都・かのん母娘は感涙し、建物の陰から見守っていた葉月恋は悟ったような表情で2人の初ステージを見届けました。すみれはその場で放心したような表情で坐りこんでステージに見入っていたいました(その後はスタッフに見つかって、こんこんとお説教されていたかもしれない)。
 クーカーはフェス第1位こそ逃しましたが(※)「新人特別賞」を受賞。結ヶ岡女子高等学校の掲示板に貼られたニュースに被さって流れるかのんのモノローグにもありましたように、この時点で彼女は、「もしかしたら、私たちがスクールアイドルを続けることはできないかもしれない」と覚悟を決めていました。理事長に課せられた条件を達成することができなかったのですから。
 けれども、「しかし」と彼女は続けます。「それでも構わない」とかのんはいいました。
 なによりも大切なことは、おおぜいの前で歌うことができたこと=つまりトラウマの完全なる克服がかなったこと、そうして、可可といっしょにステージに立って歌い、踊り、可可の夢をいっしょに実現させられた達成感。それが果たせたなら、すくなくとも自分はスクールアイドル活動が学校に認められなくても歌い続けられる。それが自分にとって納得のゆく結果であれば良かったのかもしれません。
 なにやら自分ことばかりではありますが、かのんのことです、可可への感謝の気持ちとそれは表裏一体であった筈です。
 以上が第3話のメインストーリーの大雑把な紹介と、それにまつわるわたくしの所感です。
 ここから先は、観ながら、幾つか心に浮かんだよしなしことを綴ってゆこうと思います。
 Aパート;かのんが歌えなくなるのは、ずばりプレッシャーでしょ、と千砂都は指摘しました。それを克服するために人前でたこ焼きを焼いてみようと、提案もしました。まぁ、たしかにたこ焼きを注文すると、なんとなく店の人の手先を見物しているときってあるから、それなりの説得力はある気がする。
 そのとき調理場に入りこんではしゃぐ可可の是非はともかく、わたくしが「おや」と思うたのは、画面左下でいまにも見切れそうなところに立つ2人の女学生の制服でした。ありふれたデザインといえばそれまでのセーラー服でしたが、なんだかねぇ、『ラブライブ!』で高坂雪穂と綾瀬亜里沙が着ていたセーラー服に見えて、仕方ないのですよ。
 使い回しが効くデザインといえばそれまでですが、なんだか既視感という異常に嬉しくなってしまいました。むろん、雪穂と亜里沙が着ていたセーラー服は中学のものですので、神田・お茶の水・秋葉原エリアに存在する中学の制服を着た学生が原宿・青山・表参道エリアに出没するとは一概に考えづらいかもしれませんが、かというて一笑に付して退けられるわけでもない。
 わたくしは件のセーラー服を、使い回しとか酷似したデザインとかではなく、同一中学のそれと考えて、『ラブライブ!』と『ラブライブ!スーパースター!!』の世界がつながっていると考えて、想像を逞しうしたいと考える者であります。
 第3話予告にて「私には無理だよぉ!」とかのんが涙目で訴える場面があり、おそらくそれは衣装合わせの際の台詞であろう、と予想しましたが、それは当たらずとも遠からずでした。
 が、まさかそれが、可可と千砂都による<かのんちゃんトラウマ克服計画>の一環であったとは。可可に渡された洋服は、それはそれは可愛らしいものでした。試着室で着るのを躊躇った末の台詞が前述のそれであったわけですが、可可と千砂都の2人が「じゃあ、アクセサリー持ってくるね!」と店内を駆けずり回る様を、引きつったような表情で見送るかのんの眼差しも可愛かったけれど、試着した洋服が実に似合っていて、かのんの、ふだんはあまり意識されない可愛さが強調されており、なんだかこちらは母親に着せ替え人形にされて実はそれが満更でもない愛娘の姿のようにおもえてなんだかこそばくゆくて仕方なく、鼻の下伸ばして見ておりましたよ。
 可可と千砂都からのポーズの注文にも、最初はぎこちなかったのが、最後にはけっこうノリノリで応じていたかのんも可愛かった。おまけに直後の、「消して」と要求したときの現実にもどった瞬間の顔も可愛かった。この表情の落差に、『ラブライブ!スーパースター!!』の魅力の一つがある、とわたくしは考えます。過去2話では可可の可愛さが随分と強調されていたけれど、本話ではようやっと、主人公の可愛さがクローズアップされた回のように感じられたことであります。
 可可にふたたび、スクールアイドルに誘われた千砂都が、はっきり「ダンスを中途半端にしたくないから」と伝えた場面もありました。そこには確かに千砂都の強い意志がこめられていた。直前のちょっと迷ったような、申し訳ないような表情から一転、キリッとした表情で可可の誘いを断ったことで、これ以上可可からの勧誘はないものと思われますが、それだけにLiella!加入の経緯ときっかけが気になってまいります。このあたりは恋にしても同様ですが、次回以後は本格的に、音楽科の2人の動向に要注意してゆくことになるのでしょうね。
 まだまだすみれも恋も、メインストーリーには本格的な関わりを持っていません。が、次回第4話「街角ギャラクシー☆彡」は平安名すみれ回。しかも、部室と思しき部屋でかのん・可可・千砂都の3人相手になにやらぶっておりました。そろそろスクールアイドル加入の具体的な話になってゆくのでしょうか。となると、恋は第6話あたりで加入、そうしてLiella!のグループ名が登場するのかもしれない。
 ところでこの平安名すみれ。どうやら過去シリーズから類例を探せば、ヨハネこと津島善子の系譜に属するキャラクターであるようです。どういうことかといえば、一歩間違えれば単なるネタキャラになりかねない、ということ。
 メンバーが伝統の9人から革新の5人に減ったことで、却って1人1人のキャラクターを掘りさげてゆくことができるようになりました。それだけに脚本には細心の注意を払って全体と細部の案配を図り、くれぐれも『ラブライブ!サンシャイン!!』の如き惨事の再現を避けてくださるようお願いしたいのであります。
 ──YouTubeラブライブ!公式チャンネルを始め各配信サービスでの第3話配信は、08月10日(火)正午からと公式Twitterで情報開示された。こちらも第2話同様、期間限定配信とのことなので、地上波にて未聴の方も観たけど録画してないという方も、勿論録画はしたしBlu-rayも予約したという方も是非、毎日観ましょう。なお、埋めこみはその日以後に行います。
 ……ああ、可可の中国時代の映像とフェス前日の看板及びブレードについて触れるをの忘れてしまった! 現時点で文字数が3,700字を越えているので残念ですが、こちらは別日の話題と致しましょう。◆

※第1位を掠ったのは、フェス直前になって急遽参戦が決まった神津島出身の「サニーパッション」なる2人組。実力も人気もあるSIのようだが、これがLiella!にとって、μ’sに於けるA-RISEつまりライヴァルになるのか、Aqoursに於けるSaint Snowの如きイロモノなるかは、不明であります。□

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