第3446日目 〈シー・イー・オー、鬼塚夏美、〉【改訂・補筆版】 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 まさか『ラブライブ!』で「日経平均」という単語を聞く日が来ようとは! 正直なところ、あの瞬間は耳を疑い、違うアニメを観ているのか、と錯覚もし。──むろんそんなことはない、07月24日放送の『ラブライブ!スーパースター!!』第2期第02話「2年生と1年生」からの一コマだ。
 さっそくではあるが、件の発言が飛び出した状況を確認しておこう。きなこが四季に促されて、メイをスクールアイドルに誘う場面でのこと。時間にして09分12秒-09分32秒の場面。曰く、──
 きな子;ほかの1年生かあ。
 夏美;ナッツー!
 きな子;あ……?
 夏美; (涙目で)これは想定外ですの〜。このままでは今月の目標が……。マニー、マニー、マニィー〜!
  (横目で夏美を見るきな子。「この人はないわぁ」というような眼差しがなんともいえぬ風情を醸している)
 きな子;──あっ!
  (メイをスクールアイドルに誘え、と四季が目で支持してくる)
 きな子;本当に……行くんすか〜?
──と。
 特に反応した生徒がなかったということは、まだこの世界に於いて結ヶ丘女子高等学校や生徒の出身中学(概ね渋谷区・港区・目黒区を中心としたエリア)では、金融リテラシーについての金融機関や弁護士たちによる出張講座は開催されていないと思しい。ゆえに誰の耳目も引かなかった、可哀想な「日経平均」であった。
 そもそも「日経平均」ってなに? という話になる流れなので、調子に乗ってこのまま話を続けたい(「日経平均」って、それ、美味しいの? とかバカを露呈するようなテンプレ反応を返す輩は、わたくしは大嫌いだ。どうしてそんな頭の悪そうな返しをするのだ。そんなことして自分が可愛いとか、無様なことでも考えているのか?)。日経平均はどんな株式や経済学の本にでも載る経済と投資の基礎用語である。その定義とは、こうだ、──

 日本の代表的な株価指数の1つが日経平均株価(日経平均)です。東証第1部上場銘柄から流動性や業種のバランスを考慮して225銘柄を選び、これらの株価の平均値を計算するのが基本です。

──と。引用は、『やさしい株式投資〈第2版〉』P66(日本経済新聞社 2014年02月)から。ついでにいえばこの225銘柄、年に1回定期的に見直されて入れ換えられる。なお日経平均の説明はWebであれば岡三オンラインのそれがわかりやすい。
 既に新聞や報道で御存知のように、市場区分の見直しが実施されて現在、長く耳に馴染んだ「(東証)第1部/第2部」や「JASDAQ(スタンダード・グロース)」、「マザーズ」という名称は廃止された。今年2022年4月4日からは「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の3つの市場に再編されている。
 斯様な相違あると雖もこの本はとてもわかりやすく市場の原理を説明し、為替相場や株価推移の背景と分析方法、株式投資の手順や投資に役立つ(日本経済新聞社の)経済専門紙誌を紹介している。それに正直なところ、第1部、第2部等が廃止されてプライムやスタンダードなどに再編されても、これから投資する側にさしたる影響はない(というか、再編のため大混乱未だ継続中とか投資の手続きが変わるわけでもないから、こうした歴史があった、ということを認識しておけば良い)。
 マンガであったりもっと噛み砕いた内容の本もあるけれど、天下の日経が本気で書いてきたこのレヴェルの入門書を読みこなせる力ぐらい、投資をする人なら備えておいていほしい。或いはこの本を読むことでその力を鍛えてほしい。読み手への期待値も込みで、一言でいって、オススメかつ必読必携の1冊。
 話が脱線した。好きなことであるからつい口が過ぎてしまった。
 さてこの夏美の台詞(「日経平均全面安!」)、キャスト一同もびっくりであったらしい(というか、なんの意味なのか、どんな単語なのかも理解していなかった様子……)。07月31日配信の『ラブライブ!スーパースター!! Liella!生放送 〜TVアニメ2期放送開始記念! 夏もみんなでスーパースタート!!〜』にて鬼塚夏美役の絵森彩が証言している(44分28秒−45分24秒)。同じ場で彼女はこうもいう、「唯一喋った言葉がこれっていう。もうちょっとなにかあったでしょ、ぐらいの感じだったので」と。
 わたくしもそう思う。が、考えようによってはこれ以外になかった、とも思う。花田氏が意味を理解して夏美の背景に相応しいから斯くいわしめたのか、或いは単に「それっぽいから使っちゃえ〜」なんてノリで書いたのか不明だが、少なくともこの台詞こそ未だ片鱗だに明らかとならない夏美の「マニー信仰」の根っこを考える突破口になるように思えてならないからだ。
 ここで思い出すべきは第01話、夏美が初対面のきな子に名刺を渡す場面である。そこにはなんと書かれていたか? ──「株式会社オニナッツ / 代表取締役社長 CEO / 鬼塚夏美」である。
 株式会社オニナッツの主要事業は? いつ作ったのか? 資本金は? その出所は? 他に社員はいるか? 専従社員として親兄弟等を社員として登録したのか、それとも本物の社員(従業員)がいるのか? ならば年商はどのぐらい?
 ──同じく会社の経営者として、まず単純にこんな疑問が思い浮かぶ。そして夏美と語り合いたい、設立趣旨や今後の見通し(業績予想)、書類一式が正式に受理されるまでどのぐらい時間が掛かったか、特に書き直した書類はなにか(察しは付くが)、などなど……。まァ、前半は銀行でもさんざっぱらヒアリングされたろうが、後半に関しては同じ経営者同士、腹を割ってムカついたことも含めて話し合おうではないか──と、結構本気で夢想してしまう。
 そういえば、きな子にとって夏美はダメ元でもスクールアイドルとして先輩たちと一緒にやってみよう、と背中を押してくれた人(それを更に後押しして一歩を踏み出させたのが、メイだった)。そんな或る意味で恩人の1人たる夏美を、きな子はこう呼ぶ、「CEO」と。そのいい方、敢えて文字に起こせばアルファベットの「CEO」ではなく、片仮名の「シー・イー・オー」なのだ。このいい方が格別に可愛らしく聞こえるのだが、それはともかく。
 その度に「夏美でいいって」と律儀に訂正するあたり、つし……沼津の自称〈堕天使〉ヨハネを思い出しますね。あちらはヨハネというか善子さんというかが「ヨハネよ!」とキレ気味にツッコんでくるのがお約束ですが、こちらはどうなのでしょう。きな子が「CEO」呼びする毎に、「だから夏美でいいって」と律儀に返してくるのでしょうか。
 まだこのやり取りが1度だけしかないのでなんともいえぬところではありますが、今後2人の接点は増えてくることと思います──第01話から第04話まで本編合計約92分(アバン、Aパート、Bパートの集計)中、登場時間のトータル約2分11秒!──。夏美のLiella!加入は確定なのですから、どんな経緯であろうとネタにならない程度にナチュラルに、きな子と夏美のこのやり取りが継続されたらうれしいな、と思うている。
 これで夏美のあだ名が「CEO」で定着したら、きな子の功績といえましょうね。
 ──それにしても、夏美の出身地はどこなのだろう? 「だから夏美でいいって」という台詞のアクセントにどうも引っ掛かってしまうのだ。引っ掛かるというのは耳に障るとか不自然というのではまったくなく、いつかどこかで日常的に耳に馴染んでいたアクセントのように感じるからだ。絵森彩と同じく山梨県なのか。公式サイトのプロフィール等にそのあたり、なにも書かれていない。咨、このアクセント! 彼女の出身地、或いは両親の出身地、彼女が子供の頃どこで育ったか、気になって仕方ない……!──
 さてこの「CEO」なる単語も、キャスト側を混乱させた様子である。前述した『ラブライブ!スーパースター!! Liella!生放送 〜TVアニメ2期放送開始記念! 夏もみんなでスーパースタート!!〜』にて視聴者からのコメントを紹介したペイトン尚未が、「CEOってなんの略なんだ」と疑問を呈した(46分17秒-46分20秒 その視線は自ずと絵森彩に向けられた)。
 絵森は収録前であったかに意味を調べたそうである。流石に気になって、ググったのだろう。調べ方はともかく、良い心がけだと思う。しかし──漢字7文字ぐらいが並んでいて、などしっかり調べた形跡が確かめられる発言に好感を持ったが、どうやら日本語訳は記憶に定着しなかった模様。うん、まぁ、すぐには覚えられないような訳語だよね。しかも同じような表記で同じような訳語の肩書きもあるし。たぶん、一緒に調べてしまって混乱してしまったのだろう。自分でもやたら好意的な解釈であるのは承知している。
 「CEO」とはどんな意味か? 絵森は「(確か)最高責任管理者(とかなんとかだったと思う)」という(46分20秒-46分23秒)が、惜しい。正解は「最高経営責任者」”Chief Executive Officer”でした。
 では、どの仕事の内容は?
 日本のCEOとは社内向けの役職に過ぎない。最高経営責任者として会社の経営方針全体の責任を負う立場であるが、むしろ日本企業に於けるCEOとは、代表取締役社長とほぼ同義で使用されているケースが目立つようだ。従って夏美の名刺に「CEO」と印刷されているからとて、彼女が取締役会の方針に従って「株式会社オニナッツ」の経営方針を打ち出したり、事業戦略のプランニングや決定等に関して責任を負う、というわけでもない。
 CEOなんて凄そうな肩書きが付いているけれど、ビビるに及ばず。実は日本企業に於いて会社の代表権を持つのは、代表取締役と取締役、代表執行役(委員会設置会社の場合)なのだ。CEOやCFO(最高財務責任者)、COO(最高執行責任者)等の名称の役職者に会社を代表する権限や責任に法的裏付けはないのである。……実はこれ、本稿を書くにあたっていろいろ調べている過程で初めて知ったことなんだよね。いや、マジ勉強になった。ふーん、そうなんだ。
 むしろあの名詞に記載された肩書きで、夏美が意識せねばならぬのは代表取締役社長の方であろう。
 代表、というからには他にも取締役はいるわけだ。会社法では、株式会社は1名以上の取締役を置かなくてはならず(326条1項)、株式公開する取締役会設置会社は3名以上の取締役を置かなくてはならない(331条5項)。未成年が起業する場合の多くと同様、(株)オニナッツも(おそらく)発起人であろう夏美の他は親が取締役に名を連ねている可能性が高い。片方なのか両親なのか定かでないが、殊未成年が会社を設立しました、というときって大概親が社員として名を連ねる(なお、未成年の商業登記に関しては、商法5条未成年者登記・商業登記法35条から37条を参照のこと)。
 それはなぜか、というと、税金対策である。個人事業で自分の仕事を手伝ってくれる家族や肉親を専従社員というが、専従社員に支払う給与は実は経費として申告できたり(青色申告)、最高86万円を控除できる(白色申告。ただし専従者が配偶者の場合)。実際にこれをやると、かなり違うのだ。過去の申告書に記載された数字の数々を思い出し、実感を込めて力強く頷く。
 それはさておき。
 株式会社オニナッツが取締役会を設けているのか不明であり、株式公開をしているのかも不明だ。でも、株式公開はしていないと思うんだよな……公開しているならば、会社の事業内容がもう少し明確に、たとい片鱗であっても夏美の台詞や名詞の情報からこちら側へ伝わってきそうなものだ。そも代表取締役社長がアルバイト(副業)をしている時点で、会社経営が軌道に乗っているようには映らない。それは第04話に於ける夏美の台詞からも容易に窺えることである(引越トラックの荷台でバカになりそうな腰をいたわりつつ、「このあと配信用の動画撮影と編集があるんですの〜!」と呻くのだ)。
 きな子訊ねて曰く、鬼塚さんあなたエルチューバーって奴っすかあ!? と。自己紹介コメントにも「人気エルチューバーとして活躍していた私ですが、この度、スクールアイドルとしてデビューすることに致しましたの」とある。
 このあたりから推測して、どうやら株式会社オニナッツの主要事業は動画製作と配信にあり、設立目的も本音は税金対策であると考えられる。どれぐらいの投げ銭があるのか、エルチューバーとしての実入りがどの程度のものか、未だすべて想像の域を出ないけれど、あの年齢で会社設立を思い立ち、かつそれを実行したのは単に企業熱に浮かされたのではなく、課税対象になるぐらいの収入を得られるようになったためだろう。趣味の世界ではよく聞く話です。
 「大金が必要でないならば株式投資にまで手を出す必要はないだろう」旨発言している人のあるのを、どこかのオプチャか掲示板で見掛けた。夏美がLiella!に加入する流れを予想する流れだったと記憶する。
 うーん、この人、根本的に投資というものを理解していないのではないか。或いは、──株式投資で大金稼ぐなんて、この人はバブル期に大変美味しい思いをされた経験がある方なのか? だとしたらわたくしよりも年上になるが、もしこの発言者が若い人であるならば、株式投資はお金を大量に生み出すこと可能な錬金術かなにかと幻想を抱いているのでは。
 前者なら斯様な発言の出ることも理解できる。記憶がそれを忘れさせてくれないんだね。よくある話だ。が、後者であるならば……最前わたくしが日経平均の引用をした本をお買いになって熟読の上、投資を実践された方がよろしいのではあるまいか。むろん、後者であっても株で大金を得た実体験があり、それを継続しているならば話は別だ(もっとも「大金」の定義をどうするか、に問題が残りますが)。
 ──未だLiella!加入の流れが見えない夏美でありますが、加入の動機はなにか。自己紹介コメントを敷衍すればチャンネル登録者増と再生回数増、「いいね」増、の3点に集約できる。ただもしこれを動機として堂々とLiella!メンバーの前で披露したらば、……夏美の前には2人の巨大な壁が立ちはだかる光景は目に見えている。勿論、可可とメイである。この2人をどういなして加入するのか。まさか今更、スクールアイドルLiella!の活動に興味を持って……なんて順当な段取りは望めないだろう。
 主たる疑問の解決は、間もなく放送される第05話「マニーは天下の回りもの」と続く数回で明らかにされよう(と願う)。いよいよ鬼塚夏美のプロフィールが白日の下に曝される──「日経平均全面安!」以来どうにも無視できぬ存在となった彼女の今後に期待、である。
 なお、経営者は実はあまり日経平均の行方に、一喜一憂していない。下がり続けて歯止めが効かない場合は別だけれど。最後にそれだけお話して、さらば。◆

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