第3459日目 〈責任者の悔恨、責任者の涙。〉 [日々の思い・独り言]

 奥方様が持っている『SP』TVシリーズDVD-BOXを観始めた。劇場版しか知らないこちらには各キャラクターの為人が新鮮に映り、第1話はあっという間に終わった。終わったところで先日の診察で渡された処方箋を手に、いつもの調剤局へ。
 ふだん誰もいない調剤局は人でいっぱいだった。確認もあったので待つこと約30分、朝ドラの再放送と17時からのニュースをぼんやり観ていた。すると、──
 警察庁長官と奈良県警本部長の辞意表明が報じられた。安倍元首相狙撃事件の責任を取ってのことだ。意外であった。「さぞ口惜しかろう、無念だろう」と口のなかで呟いた。
 自分なりに事件の続報には注視してきた。警察幹部の処分が報じられない不思議さに小首を傾げたのはいつだったか。よしんば処分の報があったとしても、日々の膨大な報道に埋もれて気附かなかったのかもしれない。購読する以外の新聞(地元紙含めて)には掲載されていたのかもしれない。どちらへ転ぶにせよ、「見落とし」に変わりはない。
 警察庁長官のと併せて、奈良県警本部長の辞意表明会見の様子が、夕方のニュースで流れた。その後各新聞社のwebサイトでこの会見の記事を読んだ。本部長氏の言葉である、「はかりきれない衝撃と、責任の重さに押しつぶされそうになる毎日だった」と。
 気持ちの軽くなる日とも、晴れやかな顔をする日とも、無縁の49日だったろう。取り戻せぬ命の重さを痛感して罪の意識に苛まれ、どれだけの眠れぬ夜を過ごしたことだろう。本部長氏が会見で眼を潤ませた瞬間の映像が、記憶の襞に焼き付いている。奇しくも今日は安倍元首相の四十九日であった。
 同日(08月25日)、事件当日の警護の検証報告書がまとめられ、警察庁HPで公開された。警察庁長官と奈良県警本部長の辞意表明会見は、これがまとまるのを待って為されたと思しいが、後任が誰に代わっても要人警護の見直しがされなければ、かれらの辞任は意味がない。報告書は要人警護体制の抜本的見直しを要請。これを承けて「警護要則」が平成6/1994年6月以来、なんと28年ぶりに改正されるという。
 今後も動機はともあれ、要人を狙う暴力行為は続くだろう。この事件の教訓が活かされることを願って、奈良県警本部長も警察庁長官も辞意を表明した。かれらの辞任が無意味であった、などという未来があってはならない。
 本部長氏は、『SP』を観ていただろうか。現場に岡田准一演じる井上薫ら第4係のメンバーがいたら……。その仮定はあまりに酷か。◆

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