第3663日目 〈無知ゆえに抛り出した本をふたたび読み始める。〉 [日々の思い・独り言]

 経済学部を出ていれば、愉しんで読めたのかもしれない。専門用語とテクニカルタームが次々襲いかかってきたこの章を途中で読み挿して、巻を閉じてリュックのなかへ仕舞いこんだのは、己の無知あるいは一知半解が原因だろう……。
 アジア・パシフィック・イニシアティブ『検証 安倍政権』(文春新書 2022/01)は題名通り、2020年9月を以て総辞職した第2次安倍晋三政権の政策や外交等を有識者の集団が、キーパーソンへの個別インタビューも時に行って書かれた論考集である。
 読書を再開したばかりゆえ流石に本書の感想など書ける者ではないが(でも、時々そういう御仁、おられますな。プロであれアマであれ)、その第1章は「アベノミクス 首相に支配された財務省と日本銀行」という。それまで新聞やニュース、書籍で触れてきた安倍政権の経済政策、つまりアベノミクスについての内容なのでそれ自体に抵抗はないのだが、いま一つ読書にのめり込めなかったのは冒頭で書いたように、自分に経済学の基礎的学力が無いせいだ。
 マロニエ通りの学校でも三田の丘の上でも一般教養として1年しか経済学は受講しなかった。それもいま振り返ってみるとあまりよい学生ではなかった、という自覚だけがある。学生時代の講義ノートや三田でのテキストを引っ張り出してみても、頭のなかにはクエスチョン・マークが乱舞するばかりである。
 このときに──基礎体力を付けるべきときに知的鍛錬を怠っていなかったら、たとい当時はまだ傍流或いは異端の説だったり、講師たちもまだその説・概念の存在を明確には知っていないことであったとしても、21世紀のこんにちの経済を語る上で常識となっている経済用語やテクニカルタームについて「ああ、こういうことなのかな」「あの概念(学説)がベースになっているのかな」などと想像を巡らすことができたのかもしれない。
 恥ずかしながら投資やらなにやらをやっていても、接する経済用語、概念は限られたものだ。為、「リフレ政策」とかいわれてもなんのことか、と小首を傾げるのが、本書を読み始めた頃の(そうしていまこの瞬間の)わたくしである。まァ入院中のことゆえ参考文献は当然手許になく、ネットで意味を調べようとしても却って迷宮に入りこむような思いがしてね。うん、頭がこんがらがってきて抛り出した、というのが実際だ。
 でもこれまで読んできたアベノミクスの本のなかで、こうも内容が凝縮されたレポートがあったかな。凝縮されたレポート、と表現すると呵々大笑する人も出てこようけれど、そう考えてしまう程わたくしがこれまで読んだアベノミクスを主題にした本というのは、経済学の基礎的学力を欠いていても読めたような代物だったのであろうか。けっして他を貶めるわけではない。
 ナポレオン・ヒルを読み終えるのが惜しくて、途中で投げ出した『検証 安倍政権』を続きから読み始めた。第2章以後は選挙・世論対策、外交政策、歴史問題、憲法改正など、馴染みのある話題が続く。ここから先は一瀉千里となろうが、最初の章で躓いたことが学び直しの好い機会となった。この検証報告(第一章 アベノミクス 首相に支配された財務省と日本銀行)がわたくしの弱点を白日の下に曝し、この分野についてもう一度学び直す気持ちにさせたことをお伝えしたかったのである。退院までに半分は読み進んでおきたいなぁ。◆

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