第0242日目 〈さとう珠緒のインテリジェンス〉 [ウォーキング・トーク、シッティング・トーク]

 さんさんかが四番目に好きな女性タレント、さとう珠緒の本を紹介します。


 「さとう珠緒のインテリジェンス」
 さとう珠緒は“バカ”じゃない。表向きはそう取られるかもしれぬが、面の皮を一枚剥げば、意外に物事の本質を捉える感性に優れ、曇りのない直感力を持った人物だろう。
 そんな考えを裏付けるのが、『超教養』(メディア・ファクトリー)である
 これは、かつてwebダ・ヴィンチで連載されていた「バカ・ブックガイド」を単行本化した一冊。当時のベストセラー本を珠緒が独自の視点で読みほぐした内容に、一読吹き出し、二読して唸らされてしまった。大ベストセラー『国家の品格』をアメリカン・ジョークと叩き斬った書評が、果たして過去に存在しただろうか?
 『電車男』を読めば「(電車男の行動には)引きますって!」、「エルメスさんは“奇跡の女”」と洩らし、「(世のオタクたちは)早く現実の世界で生きるべきです!」と諭してくれる。サタミシュウのソフトSM小説『スモールワールド』を読んで自身のエロ思い出に浸りつつ、描かれる女性像について軽くジャブを繰り出して、遂には「女はそんなに毎回毎回、簡単に濡れません。だって、人間だもの」と締め括る。
 さすがだ、珠緒。きみに幸あれ。
 林真理子の『アッコちゃんの時代』を取りあげて、80年代バブル期のOLのたくましさを称揚した一方で、『少女ゴコロ親シラズ』という10代少女向け雑誌の投稿コーナーに寄せられた相談を集めた本については、「くだらない!」とばっさり抛つくだりは、まさしく本書の白眉といえるかもしれない。ここは是非本文を読んでほしい。
 筆者がおかしくてたまらなかったのは、佐藤優と手嶋龍一の対談本『インテリジェンス 武器なき戦争』だ。
 話者から想像できるよう非常に緊張感漲る内容なのだが、珠緒はしゃちこばった書き方をしつつも、ゆるりとした読み方を実践する。二人の発言が醸(かも)す雰囲気に「アサヒスーパードライのCMっぽさ」を感じ、恋愛に於ける情報の仕入れ方といえば携帯電話のメール・チェックかなぁ、と考え(!?)をめぐらせ、過去の偽メール被害を告白。日本人はウェットだからスパイは無理、佐藤や手嶋のように国益最優先のオフィサーを育てなくっちゃ駄目ね、と結論づける彼女に渡部昇一いうところの知性(interigence)を感じた。彼女の書評に触発されてこの本を、ブック・オフへ買いに走ったことは内緒にしておく。
 他にも珠緒らしく玉の輿願望が炸裂した章もオススメなのである。
 これは、「読むべし」、としか言葉の出ない一冊。凡百のタレント本と侮るなかれ。□


 ヤフオクにて前後して『たまてらぴ』も入手しましたが、こちらについても追って紹介します。◆

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