第2019日目 〈ヨハネによる福音書第11章:〈ラザロの死〉、〈イエス、ラザロを生き返らせる〉他withやっとnoteの使い途が決まりました。〉 [ヨハネによる福音書]

 ヨハネによる福音書第11章です。

 ヨハ11:1-16〈ラザロの死〉
 エルサレム南東、オリーブ山の東麓にあるベタニアの町からマルタという女がイエスの許に遣いを寄越した。彼女(とマリア)の兄弟ラザロが死の床に就いている、というのだ。
 イエスはこれを聞いて、いった。「この病気は死で終わるものではない。神の栄光のためである。神の子がそれによって栄光を受けるのである。」(ヨハ11:4)
 が、イエスはそれから2日間、ベタニアへ赴こうとはせずヨルダン川東岸に留まった。それから後、かれは弟子たちにベタニアへ行く旨告げて、対岸の土地へ渡った。そこはイエス殺害を目論む人々の地である。
 12使徒の1人でディディモとも呼ばれるトマスが音頭を取って、弟子たちもイエスに従いベタニアの町へ向かった。わたしたちも一緒に行って死のう、とトマスはそのときいった。

 ヨハ11:17-27〈イエスは復活と命〉
 ベタニアへ到着したのは、ラザロが逝って4日目のことだった。イエス到着を聞いたマルタは町の入り口まで行くと、かれの前で、もう少し早く来てくれていればラザロも死なずに済んだでしょうに、といった。また、あなたが神に願うことはどんなことであっても神は聞き届けてかなえてくれるのをわたしは知っています、とも。
 「イエスが、『あなたの兄弟は復活する』と言われると、マルタは、『終わりの日の復活の時に復活することは存じております』と言った。
 イエスは言われた。『わたしは復活であり、命である。わたしを信じる者は、死んでも生きる。生きていてわたしを信じる者はだれも、決して死ぬことはない。このことを信じるか。』
 マルタは言った。『はい、主よ、あなたが世に来られるはずの神の子、メシアであるとわたしは信じております。』」(ヨハ11:23-27)

 ヨハ11:28-37〈イエス、涙を流す〉
 マルタからイエスが来ていることを聞いたマリアは、家を出て未だ町の入り口に留まるイエスの許へ走っていった。そうしてマルタと同じ台詞でイエスに嘆いた。
 マリアは泣いた。彼女を追ってきたユダヤ人たちも泣いた。
 イエスは憤り、興奮して、ラザロの埋葬場所を訊ねた。ユダヤ人たちが、主よ、こちらです、とイエスをその場所へ案内した。
 イエスはラザロのことで涙を流した。それを見たユダヤ人たちは、イエスのラザロへの愛の深さを想い、また、盲人の目を開いて見えるようにしたこの人でもラザロの死は避けられなかったのか、と囁き合った。

 ヨハ11:38-44〈イエス、ラザロを生き返らせる〉
 ラザロの墓所へ赴いたイエスは、入り口を塞いでいる石を取り除けさせた。
 マルタが、もう死んでから4日も経っていますから死体の腐臭がします、とイエスに告げた。イエスはマルタに曰く、信じるなら神の栄光が見られるといったはずだ。
 そうしてイエスは天を仰いで父なる神へ感謝を捧げ、わが願いを見物人たちのためにも聞き届けよ、と訴えた。然る後、イエスはいった、──
 ラザロよ、出て来なさい。
 ……すると、死せるラザロが埋葬されたときの姿で奥津城から還ってきた。
 イエスはラザロの手足に巻かれた布や顔を覆う包みを取ってやるよう、人々に命じた。

 ヨハ11:45-57〈イエスを殺す計画〉
 ラザロのよみがえりを目撃したユダヤ人たちの多くがイエスを信じるようになった。が、そうでない一部の人はファリサイ派の人々のところへ行き、ベタニアの町でイエスが行ったことを報告した。
 「そこで、祭司長たちとファリサイ派の人々は最高法院を召集して言った。『この男は多くのしるしを行っているが、どうすればよいか。このままにしておけば、皆が彼を信じるようになる。そして、ローマ人が来て、我々の神殿も国民も滅ぼしてしまうだろう。』
 彼らの中の一人で、その年の大祭司であったカイアファが言った。『あなたがたは何も分かっていない。一人の人間が民の代わりに死に、国民全体が滅びないで済む方が、あなたがたに好都合だとは考えないのか。』」(ヨハ11:47-50)
 即ちカイアファはイエスが国民のために死ぬこと、否、そればかりか、離散する神の子たちを一ツ所へ集めるためにも死ぬことを、この年の大祭司として預言したのである。
 ファリサイ派の人々はこの日からイエス殺害を企んだ。これを察してイエスもその日を境に公然とユダヤ人たちの間を歩くことはなくなり、荒れ野に近い町エフライムに弟子たちと共に滞在したのである。
 ──過越祭の時季になろうとしていた。たくさんのユダヤ人がエルサレムに集まってきた。人々はイエスについて噂し合った、イエスはこの祭りに来るだろうか、と。というのも、「祭司長たちとファリサイ派の人々は、イエスの居どころが分かれば届け出よと、命令を出していた。イエスを逮捕するためである。」(ヨハ11:57)

 生前のイエスが起こした奇跡の最右翼というべきは、このラザロのよみがえりではあるまいか。たしか〈前夜〉にてわたくしは、ラザロはイエスが死からよみがえらせた数少ない者のなかで唯一名の出る存在ではないか、と指摘した。あれから必要あって4福音書を点検する機会があったのだけれど、やはりこの指摘は間違っていなかったようだ。
 どうしてラザロのみ名が与えられた、或いは名が伝わったか、を考えたいのだけれど、イエスにとってこのラザロ、マルタ、マリア兄妹が特別な存在としてあったのだろう、とまずは思い着く。
 マルタとマリア姉妹の名はルカ10:38-39にあった。ラザロの名は記されないし、彼女らの住む村の名も同じだ。が、イエスが姉妹に会ったのは、ガリラヤからエルサレムへ上る途上のことだ。ガリラヤ出発から間もない時分に現れる挿話なので、それはユダヤ地方ではなくヨルダン川東岸ペレア地方にあるベタニアであったかもしれない。或いはもっと北──ガリラヤに近い地域であったかもしれない。というのも先を読んでゆくと、エリコ近郊で盲人を治した挿話に出喰わすからだ。マルタとマリアが住む村がユダヤのベタニアと仮定すると、イエス一行はそのあとエルサレムにはまっすぐ向かわず、一旦離れて更に北東のエリコへ行ったことになる。約3キロの位置にあるエルサレムではなく、その3倍強も離れた場所であるエリコへ!
 平安時代、国司となった貴族は任地へ向かう際、或いは京都へ帰る際、街道をまっすぐ目的地へ行くのではなく占違えなどに従って、いわば寄り道めいたことをしながら目的地へ行き、またそこへ入る際も昼は避けて夜を選んだ、という(『更級日記』など)。イエスのエルサレム行のルートもそれと大差ないのかな。ここには書かれていないけれど、なんらかの事情あってエルサレムへすぐに向かうのではなく、他の町/村へ寄ることが必要だったのだろうか。興味を引かれることである。
 福音書が複数の資料を用い、数次にわたって執筆、編纂されたことを踏まえるならば、この程度の錯誤は許容範囲というべきなのかもしれない。況んや他の福音書においてをや。ただマルタとマリア姉妹とその居住地について、「ルカによる福音書」と「ヨハネによる福音書」どちらが事実に近いかといえば、これはもう外国語も含めて諸資料を博捜、研究せねばなるまいが、わたくしは「ヨハネ」の方に軍配を挙げたい。学術的な理由からではなく、物語の書き手の側に立った際の直感と好み、そうして全体の整合性ゆえそう判断する。
 さて、イエスにとってかれらが特別な存在であったのではないか、という件だが、これは古来ラザロがイエスの親友とされ、その不幸に際してただ一人涙を見せた相手というところから類推できる話だ。敢えてラザロの死とよみがえりについて1章を割いて取り挙げたことこそ、イエスにとって、また福音書記者にとってラザロとの結びつきの深さ、強さを証してあまりあるものではなかっただろうか。甚だ単純だが、わたくしには斯く思えてならぬのだ。
 このラザロの挿話が最も印象的に扱われた文学は、個人の趣味に基づくチョイスで恐縮だが、ドストエフスキーの『罪と罰』とスティーヴン・キングの『ペット・セマタリー』である。……Lazarus,come forth.



 1年程前か、noteのアカウントをなにかの必要があって取得してこの方、今日に至るまで放置している。どう使ってゆけばよいのか、ブログやFacebookと如何に棲み分けてゆくか、など考え倦ねた結果として、放置が続いている次第だ。が、noteの使い途について、昨日のクリエイターズ・ユニオンのプレ・パーティーに参加して、わずかながらも方向性が見出せたように思うている。
 つまり、noteでは原則として小説を公開してゆこうと考えている。本ブログでも他SNSでも、某web文芸誌にさえ発表しなかった作品は幾つもあるので、それを中心にして皆様の目に触れさせたい、あわよくば「スキ」をいただいたり、コメントをいただいたりしたいが、如何せん新参者であるし、はぐれ者となること常なのでそのあたりは特段期待しないが(イコールそれらを実際にいただけたなら、天にも昇るようなハッピーな気持ちになる、ということ)、それ以上に過去執筆した作品を陽の下に連れ出してあげたい。それがかなえば作者たるわたくしはひとまず満足である。
 然るにむかし本ブログにてぶっつけ本番の連載を行い、改訂の筆を執ってそのまま棚上げした短編『人生は斯くの如し(ヘンリー・キングの詩より)』も改めてnoteで公開される日も来るであろう。
 もしかすると新しい舞台を用意して、いちばんスポットライトを浴びさせたいのは、この短編かもしれぬ。
 ──という次第で、夏が終わるかどうかの時期から、noteにて自作小説のお披露目を始めさせていただきたい。
 わたくしを決断させてくれた、クリエイターズ・ユニオンのプレ・パーティー参加者の皆様に、感謝。◆

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