第2038日目 〈9年ぶりの最新刊! 『ファイブスター物語』第13巻、発売;思い出すことから始めよう。〉 [日々の思い・独り言]

 永野護『ファイブスター物語』第13巻が本当に発売された。『New Type』誌の広告を見て、本当かよ、と眉に唾を付けてそのままコミックのコーナーを歩いていたら第13巻が平積みされていた。いやぁ、わが目を疑いましたね。たしかに昨年の休載時、最新刊の発売は2015年中葉以後だろう、と推測していたけれど、まさか的中してしまうとは。否、それ以前に、予告通り発売されるとは。こんな風に実物を前にしても疑う気持ちが先に立つのは、単行本の発売時期が延期になった<前科>があるし、約9年の休載期間を辛抱させられたことで「まずは疑え」と刷りこまれているためか。まあ、ぶじに最新刊が発売されて書店に並んだことを、いまは喜ぼう。
 休載期間中に作者は『GOTHIC MADE』というアニメーション映画を制作した。これを転機にそれまでの人型ロボット“モーターヘッド”は映画に登場した“ゴティックメード”へ変更、名称までデザイン諸共一新され、『ファイブスター物語』本編で何事もなかったかのように動き回っている。これをすんなりと受け入れられたファンが一体どれだけいたのだろう。すくなくとも連載再開からしばらくの間は否定派が圧倒多数を占めていたような覚えがある。それが時間の経過と共にその声がすくなくなっていったのは、ファン離れが一段落したのか、或いは物語へMH改めGTMが登場する回数が減ったためか。勿論、馴らされた、というのもあるだろう。作品に於ける作者のワガママはいまに始まったことではない。それでもキャラクターにまではこの改悪の手が及んでいなかったのが、せめてもの幸いだ。
 これをこそ真の意味で<リブート>と称すべきだろう。とはいえ、懐かしくも新しいこの第13巻へ馴染むのは、時間が掛かりそうである。変更が加えられたのはロボットの名称とデザインだけではない。固有名詞全般にその作業は行われている。そのためか、随所に挿入される固有名詞の説明は非常にありがたいのだが、如何せん再開後の連載を追いかけることがなかったものだから、まるで浦島太郎状態に陥っており、一つ一つの固有名詞について頭を悩ませ、記憶をほじくり返し、設定資料やデザイン集を繙く羽目になっている。これがまた愉しい作業であるのは否定はしないが、いくらなんでもMHはそのままにしておいてほしかったなぁ、というのが本音だ。でもまぁ、ボクは、ファナが見られればいいのである。そう、ファナの鎖骨、この色っぽさ! それだけでいまは良い。はいほー。
 ……といいたいのだが、せめて設定変更の理由と説明は欲しかったかなぁ。加えて、名称変更されたものについては変更前と変更後の表みたいなのも欲しいけれど、この作者、そんなのはぜったい許さないのだろうね。それとも『ユリイカ』2012年12月臨時増刊号で説明されていたのかしらん。
 さて。
 まず既刊12巻及び『リブート』既刊7巻を読み返し、情報量たっぷりの本巻を何遍も読んでからでないと、第13巻の感想を認めるのはちょっと無理である。なんというても2時間近くかかって(最初は)読み終えたぐらいですから。諸々の設定や背景など、殆ど忘れてしまった。しばらく別の場所に遊びに行っていた魂を摑まえて、物語の舞台であるジョーカー星団へ呼び戻すには、まず思い出すことから始めなくてはならない。
 久しぶりに発売されたコミックの感想を書くために既刊を再読するのは当然としても、単行本の優に数倍は刊行されている設定資料やデザイン画集へ目を通すことを要求する作品なぞ、この『ファイブスター物語』以外に存在するのであろうか。──答え;たぶんありません。◆

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