第2914日目 〈池上彰『相手に「伝わる」話し方』を読みました。〉 [日々の思い・独り言]
勝手に、<講談社現代新書・池上彰三部作プラス・ワン>と呼んでいる本について1日1冊、平均2.5時間の読書時間を以て4連休に読破した。
最初に読んだのは、『相手に「伝わる」話し方』。NHK時代、記者・キャスターの経験から得た、「物事をわかりやすく伝えるための技法」が詰まった、人前で話をすることが仕事(の一部)となっている人に読んでほしい1冊である。
特に心に残ったのは、下に引用する3つの箇所だ。即ち、──
「聞き手の心に届くような話し方をしたければ、「書いた文章」を読みあげるのではなく、「自分の言葉」で語りかけなければならない」(P83)
管理者として同僚(部下という言葉は使いたくない)オペレーターに毎朝或いは都度周知事項を伝えるとき、書かれた言葉、内容を如何に整理し、伝えるべきポイントを洗い出して、皆のなかへ残るようにするか、考える。
うまく伝えられた、皆にするりとわかってもらえた、と手応えを感じたこともあれば、自分のなかでうまく咀嚼出来ぬまま伝えてしまって、あとで再周知する羽目に陥ったこともある。
「伝える相手への想像力に欠けると、コミュニケーションは失敗します」(P103)
頷くより他にない。
ここでは集団のなかでのみ通じるような略語や専門用語をむやみに使なかれ、と戒めているのだが、勿論公私問わずさまざまな場面でもいえることだ。恒常的な人間関係ばかりでなく、一期一会に等しい刹那の出会いや、片想いの相手に勇気をふるって告白したりデートに誘ったりするときでも……。
想像力を欠いた言動は必ず良くない結果を招く、と知れ。
これをもうすこし、<伝える>技術に寄せたのが次である。
「相手は何を知らないのか、/こんな言い方をして、相手にわかってもらえるのか。/ひょっとすると、相手は知らないのではないか。/常に自問自答し、伝える相手への想像力を持っていないと、わかりやすい説明はできない」(P146)
最終的に、「物事をわかりやすく伝えるための技法」は相手への配慮と、自分の思いこみを一旦脇に除けてみる“立ち止まり”、そうして想像力である、とこの件りは教えてくれる。
本書は他にも、伝えようとしていることをわかりやすく図式化してみるなど具体的なアドヴァイスを与えているが、そのすべての根本にあるのは、伝えようとする相手に寄り添った想像力である。これを敷衍していえば、想像力のないところにコミュニケーションは成り立たない、となるか。深く頭を垂れて納得、自戒する。
本書は、この想像力の件を含めて、これまで自分が行ってきたことが明文化されていて「わが意を得たり」と想うところが多々あった1冊であった。久々に「読んでよかった」と思える本に出会うた気がする。サンキャー。
このあと続けて、『わかりやすく<伝える>技術』と『<わかりやすさ>の勉強法』、補遺ともいえる『学び続ける力』を読んだ。別に順番は(本来なら)どうでも構わないのだが、<講談社現代新書・池上彰三部作プラス・ワン>の場合はやはり、刊行順、つまり本書をいちばん先に読むのが妥当であろう。なぜなら池上さんの、このあとに書かれた現代新書の3冊はすべて、この1冊で提示された事柄をベースに展開しているからだ。◆
最初に読んだのは、『相手に「伝わる」話し方』。NHK時代、記者・キャスターの経験から得た、「物事をわかりやすく伝えるための技法」が詰まった、人前で話をすることが仕事(の一部)となっている人に読んでほしい1冊である。
特に心に残ったのは、下に引用する3つの箇所だ。即ち、──
「聞き手の心に届くような話し方をしたければ、「書いた文章」を読みあげるのではなく、「自分の言葉」で語りかけなければならない」(P83)
管理者として同僚(部下という言葉は使いたくない)オペレーターに毎朝或いは都度周知事項を伝えるとき、書かれた言葉、内容を如何に整理し、伝えるべきポイントを洗い出して、皆のなかへ残るようにするか、考える。
うまく伝えられた、皆にするりとわかってもらえた、と手応えを感じたこともあれば、自分のなかでうまく咀嚼出来ぬまま伝えてしまって、あとで再周知する羽目に陥ったこともある。
「伝える相手への想像力に欠けると、コミュニケーションは失敗します」(P103)
頷くより他にない。
ここでは集団のなかでのみ通じるような略語や専門用語をむやみに使なかれ、と戒めているのだが、勿論公私問わずさまざまな場面でもいえることだ。恒常的な人間関係ばかりでなく、一期一会に等しい刹那の出会いや、片想いの相手に勇気をふるって告白したりデートに誘ったりするときでも……。
想像力を欠いた言動は必ず良くない結果を招く、と知れ。
これをもうすこし、<伝える>技術に寄せたのが次である。
「相手は何を知らないのか、/こんな言い方をして、相手にわかってもらえるのか。/ひょっとすると、相手は知らないのではないか。/常に自問自答し、伝える相手への想像力を持っていないと、わかりやすい説明はできない」(P146)
最終的に、「物事をわかりやすく伝えるための技法」は相手への配慮と、自分の思いこみを一旦脇に除けてみる“立ち止まり”、そうして想像力である、とこの件りは教えてくれる。
本書は他にも、伝えようとしていることをわかりやすく図式化してみるなど具体的なアドヴァイスを与えているが、そのすべての根本にあるのは、伝えようとする相手に寄り添った想像力である。これを敷衍していえば、想像力のないところにコミュニケーションは成り立たない、となるか。深く頭を垂れて納得、自戒する。
本書は、この想像力の件を含めて、これまで自分が行ってきたことが明文化されていて「わが意を得たり」と想うところが多々あった1冊であった。久々に「読んでよかった」と思える本に出会うた気がする。サンキャー。
このあと続けて、『わかりやすく<伝える>技術』と『<わかりやすさ>の勉強法』、補遺ともいえる『学び続ける力』を読んだ。別に順番は(本来なら)どうでも構わないのだが、<講談社現代新書・池上彰三部作プラス・ワン>の場合はやはり、刊行順、つまり本書をいちばん先に読むのが妥当であろう。なぜなら池上さんの、このあとに書かれた現代新書の3冊はすべて、この1冊で提示された事柄をベースに展開しているからだ。◆