第3088日目 〈『ラブライブ!スーパースター!!』第1話を観ました。〉 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 その日曜日、やるべきこと為すべきことを済ませて時計の針が日附の変わるのを知らせようとしている時刻、思い出して録画しておいたアニメを観た。『ラブライブ!スーパースター!!』である。その日は初回放送日だったのだ。
 あらかじめ公開されていたティザーヴィジュアルにこれまでのシリーズ作品と違うものを感じて、不安というよりも期待の方が大きかったことを告白しておきたい。いままでとはなにか違うものが始まるぞ、という期待。なんだろう、この言葉にできないワクワクドキドキは?
 その後公開されたキャラクターデザインとストーリーのアウトラインを目にすることで、こちらの期待値はしぼむどころか膨らむ一方であった。
 『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』の10人構成という変化球こそあれ、あちらは原則ソロ活動するスクールアイドルだったからちょっと脇に置いておくとして、『ラブライブ!スーパースター!!』は”Liella!”というグループこそ結成されるものの、メンバーは5人組である。9人ではないのだっ! なんと新鮮な!!
 そうして舞台となる高校に廃校の気配はなく(そもそも新設校だし)、物語の舞台となる街も、2度目の23区内凱旋である──表参道-原宿-青山エリアという点からして、もうこれまでのシリーズとは一線を画してはいないか。
 『ラブライブ!』の舞台は神田-お茶の水-秋葉原エリア、『ラブライブ!サンシャイン!!』の舞台は沼津(函館も入れておくか)、『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』の舞台がお台場周辺。いずれもまぁ比較的ライバーにとっては敷居の高くない一帯である。それが今度は表参道-原宿-青山エリアって。
 如何なる経緯があってここが選ばれたのか、『電撃G's マガジン』も『LoveLive! Days ラブライブ!総合マガジン』も出版社の見本で済ませているから説明があったか覚えていないが、いずれにせよいちばん縁遠い場所を選んだことで、或る意味での<リブート>をスタッフは狙っているのかな、と邪推してしまう。それとも、『ラブライブ!』という作品が都市部でしか成立しない性質の作品であると悟ったか。「はじまれ! 新しい「私」──。」という惹句の「私」を「ラブライブ!」と読み替えることも可能なのではないか、そうわたくしは考える。
 閑話休題。
 先日の第1話「まだ名もないキモチ」を観て、「悪くない」と思うた。小さくも確かにあった不安は開始数分で消え、たちまち主人公、澁谷かのんに共感してしまった。好きな歌を或る理由から「自分には才能がない」と決めこんで歌うこともギターを弾くことも封印し、音楽から遠ざかろうとしている。無理に遠ざかろうとしている姿に、かつての自分を重ねてしまいましたよ。同じような思いの人、きっと沢山いると思う、第1話を観た人のなかには。
 それを知らずとはいえ、なかば強引にかのんに対して、スクールアイドルへの勧誘を続ける上海からの留学生、唐可可。やがて勧誘を断る理由をかのんから聞かされた可可が、思わず口にした「好きなことをがんばることに、終わりなんてあるんですか!?」という台詞。──突き刺さりましたね。2度目の鑑賞のときには思わず一時停止にしてしまった程。この台詞、歴代『ラブライブ!』シリーズのなかでも屈指の名台詞ではないか?
 とまれ、<歌うことを諦めていた>かのんが可可の導きによって<歌うことの楽しさ>を取り戻してゆく過程に、自然な流れと説得力を感じた。残りの3人が如何にして、かのんと可可に合流してLiella!を結成することになるのか、非常に楽しみだ。
 第1話最後に披露される挿入歌、「未来予報ハレルヤ!」はもしかするとこれまでのラブライブ!でいちばん、聴いてすぐに心を鷲摑みにされた歌かもしれない。伸びやかな声、メッセージ性にあふれた詞、すべてに於いてパーフェクトというてよいのではないか。来月8月のCD発売日が楽しみでたまらない。音盤には「未来予報ハレルヤ!」含めて新曲3曲が収録されるとのことだが、他2曲のなかに第1話でかのんがソロで歌っていた曲も入るのだろうか。是非フルヴァージョンを聴いてみたいのだが……。
 始まったばかりのシリーズではあるが、μ’sから脈々と受け継がれてきた<みんなで作る物語>が、かのん始めとするLiella!がどのように継承してゆくか詳らかでないけれど、わたくしのなかではこの『ラブライブ!スーパースター!!』、もはや期待値しか存在しない最新シリーズなのである。
 トドメを刺したのはやはり、終盤、シリーズの象徴たる白い羽がゆっくりと舞い降りて、主人公澁谷かのんのリュックのポケットにそっと落ちる場面。シリーズ継承の証しであると共に、<みんな>に背中を押されて過去のトラウマを断ち切り前に進むのを助ける先輩たちからのエールと捉えるのが自然であろう。そうしてそこに、最高最強の『ラブライブ!』を送りこむスタッフの意気と執念をも感じてならぬのだ。
 これまでのシリーズに携わってきたスタッフ諸氏が再集結したことで、『ラブライブ!スーパースター!!』の好調な滑り出しは約束されたも同然だ。特に京極尚彦が監督として、藤澤慶昌が音楽監督として、『ラブライブ!』以来全面的にかかわってくるとなっては、期待するなという方がどうかしている。キャラデザの斎藤敦史はシリーズ初参加となるが、申し分のない仕事ぶりといえるだろう。
 ただ1つ、願わくばシリーズ構成が暴走してしっちゃかめっちゃかのストーリーにならないことを。『ラブライブ!スーパースター!!』唯一の危惧といえば、実はこの点だけなのだ。『ラブライブ!サンシャイン!!』の二の舞にはなりませんように。頼んまっせ。◆

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