第3105日目2/2 〈『ラブライブ!スーパースター!!』第2話を観ました。〉 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 『ラブライブ!スーパースター!!』第2話「スクールアイドル禁止!?」になってだんだんと、歴代シリーズとの相違点や共通項が鮮明になってきたようです。相違点は差別化、共通項は継承、と言い換えてもいいかもしれません。
 まず共通項(継承)から行きましょう。
 今回の第2話から正式にオープニング曲が披露されました。歌のタイトルは、「START!! True dreams」。メンバー構成は5人という変化はあれど、歌がライヴシーンで構成される点は同じです。衣装はこれまでのなかでいちばんシンプルですが却って新鮮に映ります。スクールアイドルの衣装が基本的に自分たちの手作りであることを考えれば、「START!! True dreams」の衣装がいちばんリアルかもしれません。
 最初のアニメで披露されたオープニング曲は、ラブライブ! 決勝で優勝したあとのアンコール曲と相場が決まっておるようですけれど、『ラブライブ!スーパースター!!』も第2期が製作されてラブライブ! で優勝したら、この曲が披露されるのかなぁ。まだまだ先のお話で、なによりも第2期といえば『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』が最優先でしょうから「鬼が笑う」どころの話ではないわけですが、うーん、楽しみですね。
 ライヴ会場は、オリンピックに合わせたわけではないでしょう、然るに今作の舞台を考えれば必然と選ばれて然るべきな新国立競技場であります。冒頭ワンカットでここまであからさまに、あ、あすこだ、とわからせた場所は歴代シリーズでもお目にかからなかったような気が。
 次にあげるべきは本話のサブタイトルになった、スクールアイドル禁止! という点であります。生徒会の、というよりも生徒会長の意見で部活動の設立、或いはスクールアイドルの活動が拒まれる点は、Liella!もμ’sやAqours、虹ヶ咲の面々と同じ経験をすることになりました。
 生徒会長にして結ヶ丘女子高等学校創設者の娘、葉月恋から「ふさわしくない、少なくともこの学校にいいものとはいえない」(第1話)とわけのわからぬ理屈で反対されたかのんと可可。
 第2話では、理事長に呼び出されて様々なやり取りのあと、代々木スクールアイドルフェスティヴァルで1位になれたら部活動の制限はしない、といわれました……いつの間にやら(当面は)スクールアイドルとしての活動を黙認する流れになったことは、「うん?」と頭のなかに疑問符が湧きましたが、まぁ、それはともかく。活動が出来るようになったことは良いことだ。
 どうやら、『ラブライブ!』に於ける希の、『ラブライブ!サンシャイン!!』に於ける鞠莉のような生徒会長を諫める役を担ったのは理事長だったらしい。もっとも今後、どのような展開が待ち受けているか、わかりませんが。
 共通項についてはここまでにして、では相違点に移りましょう。
 面白いことに相違点を担う役は、すくなくとも第2話時点では殆ど可可に割り当てられている。部活申請を提出するも恋から却下されたことを報告する際の呆けた表情といい、「スクールアイドル禁止」ならば他の学校に編入しようてふ発想(行動力?)といい、スクールアイドルをやろうといい出した本人にもかかわらず運動が苦手・体力なしという点といい、かのんを相手にした素のボケトークといい、この子の存在、その言動はなにからなにまで新しい。『ラブライブ!サンシャイン!!』で早くもテンプレ化しつつあった要素の数々を、『ラブライブ!スーパースター!!』は崩そうとしているようにわたくしの眼には映る。
 しかしここにもやはり共通項は含まれており、不可能であったことを克服してゆくそのプロセスが描かれている──それはやはり、かなえたい夢があるから。その夢は簡単に諦められるものではないから。好きな人たちとその夢をかなえたいから。だから、1つ1つの課題をこなして、出来なかったことを出来るように力を尽くす。『ラブライブ!』ってそのあたりの描写はあっさりと描いているけれど(合宿回や特訓回は別にして)、基本的なスタンスの1つは<スポ根>なんですよね。
 第2話時点でそれを体現しているのが、可可だと思うのです。
 それにしても、言い出しっぺがまったく体力がない、運動が苦手、とはまったく以て新しすぎる。凛ちゃんや曜ちゃんが聞いたら呆れることでしょう、それじゃぁなんでスクールアイドルやろうなんていい出したの? と。請われて2人のトレーナー役を買って出た千砂都も同じように訊いてみた。
 千砂都「もう全然ダメじゃん。なんでそれでアイドルやろうと思ったの?」
 可可「気持ちです。スクールアイドルにいちばん大切なのは、気持ちなので」
 千砂都「成る程」
 可可「でもリズムゲームは得意ですよ。シャン、シャン、シャン」
 千砂都「でもリズム感はあるってことだよね」
 かのん(千砂都に)「ポジティヴ!」
 ──ああ、その通りだぁ、と嘆息させられます。やりたいことへ向かって突き進むときいちばん大切なのは、<気持ち>なのです。その気持ちがあればへこたれたり、諦めたり、挫折はしたりしない;それが可可の信念なのでしょう。それがゆえに可可のまっすぐで強い気持ちがかのんを動かし、やがては千砂都をも動かしてゆくことになるのでしょう。その気持ちが発露した方向の1つが、ノートに書き留めた歌詞であるのは間違いありません。
 その歌詞は<諦めない気持ち>が書かせた、可可の憧れと希望がたくさん詰めこまれた歌詞でした。「走って、追いかけて、最も輝かしい自分になれ!」、「あのキラメキが、私に前へ進む勇気を与えた」、「いまから始めよう! 自分を信じて前へ進もう」、「それに私は一人じゃない」。──かのんが一目惚れして連日作曲に励むこととなった歌詞の一節を、ざっと抜き出してみましたが、現実世界のわたくしであっても10代のときに斯様な歌詞に出会っていたら、矢も楯もたまらずこの歌にこめられた気持ちを汲み取って、行動を起こしていたに相違ありません。すくなくともこれらの歌詞を支えに、自分の夢にへこたれることなく精進して、ノートや原稿用紙やワープロ/パソコンに向かっていたことは想像に難くない。なんだか自分は生まれた時代を間違えた気がします……でもそうしたら、ねぇ、これまで出会ってきた人たちと会うことはできないわけだから、もう、なんだかなぁ、であります。
 それにしても、アニメがスタートするまで可可をこんなに可愛いと思うなんて、考えたこともなかった。そのダメ押しをしたのが第2話、Aパート初っ端の脱力したような可可の顔(※)と台詞、かのんの家での退学・編入を巡る壮烈なボケトークでありました。
 可可「ところで、家はどの辺ですか?」
 かのん「ここです」
 可可「そうでした」
って、表情を変えることなく共に喋っているところがなんともいえない味を出している。その前の「ちょこわたるしみ」なる迷言と併せて、特に記憶に残る場面でありました……。
 そういえばBパートでようやく、平安名すみれがまともに動き、まともに喋った。例の「COFFEE HONOKA」の前で(表に出ている看板は「HONOKA COFFEE」なのね)クレープをぱくついて、周囲の注目を集めるような風で「美味しい!」と曰うのだが、いっさい誰もこちらを見ていないのに気附いて「場所が悪かったのか」と独り言ちるシーンが、それ。すみれは元子役という設定であった、と思いだしたのは、このときでありました。子役だった自分に気が付いてほしいのか、承認欲求過多なのか。これを踏まえれば、第1話でかのんがスクールアイドルに誘ったときの反応、「私を誰だと思ってるんですか!?」も納得できようもの。
 わたくしは本稿はを、過去シリーズ作品との共通項と相違点の話から始めました。最後に触れておきたいのは、エンディングへの入り方です。作詞;唐可可、作曲;澁谷かのんのコンビによって鋭意作曲が進められていた曲は、何日かの作曲期間を経てようやく或る日の明け方に完成しました。横断歩道の上から日の出を見つめるかのんの後ろ姿に音楽が流れてきて、そのままエンディング、「未来は風のように」(歌;澁谷かのん)に突入する──この入り方がたまらなく格好良くて、何度観ても鳥肌が立つんですよね。このあたりの演出はまさに神がかり的で、シリーズ屈指の名場面と思うてしまうのはわたくし1人のみでしょうか。
 その際のかのんの台詞、「やっと始まった/次の私が/始まった」は、なんだかもう涙が出て来るぐらいの気持ちで聞きましたねぇ。よかったね、止まっていた時間が動き始めたね、もう迷ったりしないでね、って気持ちで……。「神の怒りはとけ──戸は開かれた──/あわれな魂は解き放たれた。/わたしの前途にはかぎりない希望と/奇跡にみちた時とがある。」(カール・ヒルティ『眠られぬ夜のために』第一部9月1日条 P248 岩波文庫 1973年05月)
 いよいよ本格始動を始めた『ラブライブ!スーパースター!!』。これからの物語を楽しみにする一方で、<『サザエさん』シンドローム>ならぬ<『ラブライブ!スーパースター!!』シンドローム>に囚われるのかと思うと、相当に憂鬱でならぬ……。
 ──オリンピックの試合中継の関係で、第3話の放送は来月08月08日(日)の予定。□

※わたくしのなかではこの可可の表情、『推しが武道館に行ってくれたら死ぬ』第7話の横田文を思い出せる(人気投票発表時の表情筋が死亡した、あの表情ね)……つまり愛おしいということだ。◆

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