第3121日目 〈『ラブライブ!スーパースター!!』第3話;唐可可について。〉 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 YouTubeの公式チャンネルで『ラブライブ!スーパースター!!』第3話を観返しています。ひとりで観ることになってしまっているのがチト淋しいところではありますが、気を取り直してゆこうと思います。然程長く書くことなく、短期決戦でまいりましょう。
 第3話は、代々木スクールアイドル・フェスティヴァル本番に向けた仕上げの回でした。千砂都による体力作りとダンスのレッスンは佳境を迎え、曲のアレンジや歌の練習等も物語が描かないところで進行し、当日のステージをクライマックスに持ってくる、シリーズ伝統のファースト・ライヴ回であります。

 第3話冒頭でふたたび勃発した<澁谷かのん、また歌えなくなる事件>解決のため、千砂都と可可が奔走する──そのズレっぷりがなんともユーモラスでたまりません──が、企ては案の定失敗し、かのんは自分の部屋で「そう簡単に歌えるなら、いままでだって苦労してないよぉ」と例の嘆き節を炸裂させる始末。
 その後の、3人の会話は、こういうものでした、──
 可可;大丈夫、かのんさんは歌えるようになります。その瞬間を可可は見ていました。
 かのん;たまたまだよ、いまの姿が本当の私なんだよ、きっと。
 [いちど歌えるようになったにもかかわらず、朝の歩道橋での体験は余程のショックだった様子が窺えます。そんな彼女を見かねて、それでも猶かのんと同じステージに立ちたいと願う可可は、こんな台詞を口にします。曰く、──]
 可可;わかりました。ではいまは無理に歌おうとするのはやめましょう、今回のライヴは可可1人で歌います、かのんさん程の歌唱力はありませんが、だからかのんさんはステージに立つだけでいいです。いっしょに全力のライヴをしましょう、
 それが終わったら、ふたたび歌えるようがんばればいいんです。可可、約束しました。かのんさんが歌えるようになるまで諦めない、って。
 [──なんと愛情のあふれる言葉でしょうか。こんな台詞もらったら、かのんならずとも誰だって発憤しちゃいます。そばに寄り添ってそっと励ましてくれる誰かがいる人は、人生最大の勝ち組であります。続けましょう、──]
 千砂都;(かのんに)可可ちゃんがここまでいってくれているんだよ?
 かのん;そうだね、まずは二人で1位を獲らなきゃだもん。いいライヴができるよう、がんばる!
 [斯くして澁谷かのん、ふたたび自分の脚で大地に立ち、見えぬ未来に目を向ける。そこに可可が放った台詞が、──]
 可可;それでは私、皆さんに見せたいものがあります。
──と誘った先が、フェス会場前の広場。そこにあったのは、2人のグループ名入りの看板と、可可自作(らしい)ブレードでありました。経過時間で申せば、07分35秒から08分15秒のあたりです(YouTubeに期間限定で公開されたものでタイムを算出しているため、地上波で放送乃至はBlu-ray等円盤での経過時間と若干相違する可能性あり。その点はご容赦願います)。
 前日とはいえ自グループの看板を搬入していてもよいのか、なんてツッコミはさておき、──
 可可;ジャッジャーン、どうですか?
 かのん;なに、これ?
 可可;初ライヴを行うにあたって用意した、グループ名附きの看板とブレードですぅ。
 千砂都;ブレードって、ファンが持つものなんじゃ……
 可可;配りたいと思います! 私たちを応援してくれそうな人たちに!
 かのん;この、「クーカー」っていうのは?
 可可;可可が考えたグループ名です! (※可可の顔がめちゃドヤ顔で、可愛い!!)可可の「クー」とかのんさんの「カー」を合わせて、クーカー! (浮かれた表情で可可、フェイドアウト)
 かのん;どうだろう? (この瞬間、かのんは完全にドン引いて、目の下にはクマが現れる。このなんともいえぬ表情までが魅力的というのは、顧みれば歴代シリーズ主人公にも当てはまる特徴であったような気がいたします)
 千砂都;でも、トレーニングの間にこんなもの作るなんて。
 可可;好きですので!
 かのん;看板は、ちょっと考えようか。
 ──ここに再現した会話から浮かびあがってくるのは、可可の、信じた相手にどこまでも寄り添い、そばに立ち続ける健気さ、いじらしさと、好きな人との約束を実現させるという気持ちの強さです。そうして、それを原動力にどこまでも頑張り続けられる、ひたむきな情熱であります。
 それゆえに、千砂都の(可可にしてみれば過酷な)トレーニング・メニューを毎日こなして、最大唯一のネックであった体力の無さと持久力不足を短期間で克服するに至ったのです。こうした意味で、唐可可は努力の人、ということができるでしょう。あ〜、それにしても、もう可愛い、可愛すぎる。着せ替え人形と化したかのんに向かって、千砂都と可可が放った台詞を借りれば、「もうたまんねーっ!!」であります。
 では、可可がどうしてここまで自分を追いこみ、なにが彼女を突き動かしてきたか、というと、それは、スクールアイドルが好き、かのんと同じステージに立って同じ光景を見たい、そんな「好き」という感情がすべてでした。
 看板には一目瞭然の似顔イラストがあるばかりか(これがなんとも可可らしい自分たちの表情の捉え方で、おもわず頬がゆるんでしまいます)、看板自体も、レイアウトが凝っているというより<シンプル・イズ・ベスト>を極めたそれで、おおクーカーというグループにはこういう子がいるのか、と衆目に知らせるんはじゅうぶんな情報が詰まっている。
 上に再現した会話の、終わりの方でも出しましたが、学業とトレーニング(自主練含む)を両立させる時点で相当な時間を費やすことになるにもかかわらず、「好きだから」という気持ちを支えにして、隙間時間を縫ってグループ名入りの看板とブレードを作成してしまったてふ事実は、「アニメだから」なんてメタな発言を退けてなお余りあるものがあると思います。
 要するに唐可可は、「好き」という気持ちあればその対象に向けて八面六臂の活躍を、寝食を忘れて可能とし、それに没頭できる人物である、ということであります。過去に自分が日本語を教えている頃に出会った中国人学生たちを思い出せば、可可の行動にはなにとはなし納得させられる部分があると告白しておきます。

 ここまでで既に、400字詰め原稿用紙換算で5枚目に突入している。言い換えれば、そろそろ終わり方を考えて書かなくてはならぬ分量に達しつつある、ということだ。はじめの自重もどこへやら、であります。
 それを気にしてのことではありませんが、あともう1場面、今度は歌えないことを嘆き、可可ちゃんに哀しい気持ちを味わわせたくない、と涙を見せるかのんを優しくハグして、囁くようにいう可可の台詞だけ上と同じく再現して、簡単な意見を述べて、本稿をそのまま終わらせようと思います。
 経過時間にして13分52秒から14分34秒あたりにかけての、可可の部屋での会話です。ここでの会話の(というより、可可の1人台詞ですが)前提に、「神津島が生んだスーパー・スクールアイドル、サニーパッション」(said by KE KE,)がフェスに急遽参戦が決定、可可がスクールアイドルに憧れて日本に来たきっかけもこのサニーパッションだったと判明する(09分23秒)一連の場面があります。
 (可可の台詞については適宜、改行いたします)

 可可(涙を見せるかのんを優しくハグして);自分のことを悪くいわないでください、かのんさんに心奪われた私が可哀想になっちゃいます。
 (かのん、泣き声)
 可可の家の人たちはすごく教育に熱心で、いままでずっと勉強ばかりでした。可可もやりたいことも特になくて、これでいいんだろうな、これで正しいことなんだって思ってました。
 そんなとき出会ったのです! (回想シーン/街頭モニターでサニパのライヴを見あげて、心奪われ瞳を輝かせる可可 ※経過時間にして14分22秒の箇所) 見た瞬間にこれだって思いました。
 こんな風に自分の気持ちや感じたことを自由に歌ってみたい。かのんさんの歌をはじめて聴いたとき、それと同じぐらいわくわくしたんです。だからもうかのんさんは私にとってのスターなんです、夢なんです!
 元気出してください。かのんさんと同じステージに立つことが、可可にとって夢の1つなんですから。
 かのん;でも……
 可可;最高のライヴにしましょう。
 かのん;(涙を拭って)私、歌ってみる!
 可可;かのんさん……
 かのん;可可ちゃんがこんなにがんばってるんだもん、こんな私でもいっしょにステージに立ちたいっていってくれてるんだもん。ギリギリまで自分を信じて、やれることを精一杯がんばる!
 可可;かのんさーん!
 かのん;かのんでいい、かのん、って呼んでよ。
──いっしょにいてくれるだけで心強いです、だからわたしは自分の夢をあなたといっしょにかなえたいです。煎じ詰めればそうした内容ですが、んんん、なんだろうね、この醸し出される<糟糠の妻>感。可可って、いい奥さん、いいお母さんになるんだろうな、と妄想が走り出しかねない場面であります。
 そんな個人的思い入れはともかくとしても、かのんを励ますこの場面、この台詞は、『ラブライブ!スーパースター!!』前半に於いて屈指のものと考えます。まぁ、そうはいうても第3話って、『ラブライブ!』及び『ラブライブ!サンシャイン!!』でも名セリフが生まれた回(※1)でありますから、なにをか況んや、というところではありますが。顧みれば可可、これまで各回に2回は名言・迷言を放っているように思えます(※2)。
 既に他所で多く指摘され、また公式媒体からもコメントされている通り、可可は『ラブライブ!スーパースター!!』の原動力であり、扇の要であり、そうして物語全体の推進役であることが確認された第3話でありました。
 こうした役割を主人公ではなく、ナンバー2が果たすという点に(いまのところは)本作の新しさを感じると同時に、μ’sのいた『ラブライブ!』の正統後継作に位置附けようとするスタッフの気概を感じることであります。──もっとも、後者については当方の個人的見解でしかありませんが。

 正直なことを申しあげれば、──他のキャラクターに於いても然りですが特に──可可がここまで魅力的なキャラクターとなり、その言動から目を離せぬ存在になろうとは、1枚絵でキャラクター発表されたときにはまるで想像できませんでしたね。
 やはりアニメのキャラクターは動いて声を吹きこまれてなんぼ、というわけか。あの段階では5人のなかでも特に微妙なキャラクターだったものなぁ……。スタッフの本気と声優(Liyuu)の愛が可可を斯く愛らしき人物に育てあげたのだ、といえるでしょう。

 それではまた、24時間後に。うぃっす、うぃっす、うぃーっす!◆

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