第3130日目 〈『ラブライブ!スーパースター!!』第5話を観ました。〉 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 これまで縁の下の力持ちに回り、可可からなんど誘われても断ってコーチ役に徹してきた嵐千砂都にスポットのあたる回となった、第5話「パッションアイランド」。前回予告から既に千砂都回となることがアナウンスされておりましたが、実際に蓋を開けてみるとその話はどのようなものだったでしょうか。
 サニーパッションがかのんの店を訪れて、神津島で催されるライヴに招待する。それを諾ったかのんたちが千砂都を除く3人で神津島へ渡り、ライヴ準備に備える。その一方で、ダンス大会の学校代表として出場することが決まった千砂都の、退路を断った決断の時が迫る。
 プロットとしては、だいたい上述のようなものでよろしいと思います。
 第3話からどれだけ時間が経過しているか不明ですが、ああサニーパッションまだ本土にいたのね、という軽い「へぇ〜」にはじまり、よもや彼女たちの誘いでかのんたちが2度目のライヴの舞台を踏むことになろうとは。まぁ、A-RISEもSaint Snowも同じような役回りでμ’sとAqoursに意識改革を迫るようなステージを披露させたことを考えれば、サニーパッションが斯様な行動に出ることも想定できたことだったのかもしれませんね。
 07分18秒から12分23秒までの、かのんたちとサニーパッション、千砂都とサニーパッションの間でのやり取りで、かのんがもはやトラウマを完全に克服し得ていること、新たに加入したすみれも含めてグループとしての結束も徐々に固まりつつある様子が、窺えます。が、一方で千砂都への依存が強くなっていることを暗に指摘させられもしておりました。
 サニーパッションがかのんの店を訪ねてきたのは勿論、島でのライヴへの招待という名分ゆえでありますが、本当の理由は第3話でのクーカーのダンスから受けたちぐはぐな印象の確認にありました。
 すみれの神社で練習メニューを見せられたサニパ(中途半端だがここから名称を略します)が浮かべた、成る程、という表情は、感心ではなく予想の的中を意味していた。一歩退いたところからその様子を見ていた千砂都には、なにか腑に落ちないというか、引っ掛かるものを感じたのでしょう。かのんたちと別れて駅そばまできたサニパの2人は、あとを追ってきた千砂都に呼び止められます。11分08秒からのシーンです、──
 千砂都:お2人に聞きたいことがあって。
 悠奈:ラブライブ!に勝てるか?
 千砂都:どう思いますか?
 摩央:わざわざ呼び止めてそんなこと訊いてくるってことは、私たちがなにを思っていたか、気になったってことね。
 千砂都:はい。
 悠奈:(摩央に)どうする?
 摩央:言ってあげた方がいいんじゃない?
 悠奈:歌もいいし、チームとしてまとまってもいる。でも、勝つのは難しいかもね。どこか自分たちで動いてるって感じがしないんだ。特にダンスはね。
 千砂都:自分たちで。
 摩央:実は、それを確かめに来たところもあるの。なぜ、あんな上手なのに、力強さを感じさせないんだろう、って。
 悠奈;きみがコーチをしているときいて、理由がわかったよ。
 摩央:いまはダンスに関して、みんな、あなたを信頼して、あなたに頼っている。でも、それではいつまでも自分たちで動いてゆく力強さは生まれない。
 悠奈:きみがもしメンバーだったら、グループとしては脅威だったけどね。[~12:23]
──この指摘を千砂都は、どんな思いで聞いたことでしょう。薄々自分のなかにあった「このままではいけない」という気持ちが形になった瞬間であったように思います。本話冒頭で先生からダンス大会への代表の話をもらったときから揺らいでいた、かのんたちと一緒にいたい、という願いとダンスをがんばるという夢のせめぎ合いに一時的ながら終止符が打たれた瞬間、というてもよいかもしれません。
 このときに千砂都が出した結論が、その直後に描かれます。即ち、神津島でのライヴ不参加の表明と、夏休み中はかのんたちと別行動をとるてふ宣言でありました。
 サニパが指摘した「かのんたちは千砂都に頼っている」ことは、部室でそれを聞かされた3人の唖然とした表情からほぼ事実というてよい。それは、まさか千砂都が一緒に来ない可能性など微塵も感じていなかったことの証左といえましょう。
 千砂都自身としても、おそらくその決断は断腸の思いで下したことであったに違いありません。サニパの2人から言葉にされたことが後押しとなり、荒療治というわけではないが、千砂都に思いきった行動を取らせた。同時にそれは本話冒頭で誘われていたダンス大会へ、いわゆる不退転の決意で臨むことでもあったわけです。
 けっこう多くの視聴者を震撼させた本話ラスト──カバンから覗いて見えた「退学届」が、「不退転」と述べる根拠。これが次回以後の伏線、そうして学校側との一悶着の火種になるのは必至であります。
 大会で結果が出せなかった場合、結ヶ丘女子高等学校そのものからの退学なのか、音楽科からのそれなのか、というところですが、普通に考えたら後者の場合は「転科届」となるでしょう。一時停止にしないまでもこの場面をよく見ると、クリアフォルダにはもう1枚、「退学届」の他に書類が1枚、挟みこまれているのが見て取れる(22:21)。実は「退学届」の他に「転科届」もいっしょにもらってきていたんだよぉ、なんてオチなら抱腹絶倒だが、流石にないでしょうね。そんな逃げ道を用意する必要もないし。
 この件については今の時点で「あーだ、こーだ」と検証してみても詮無いことです。次回以後の宿題としましょう。
 ──千砂都の話題に終始するようですが、本話はかのんの、千砂都への想いの一端が描写された回でもありました。これまでのシリーズにも幼馴染みは多量に登場してきましたし、それぞれの往時の様子が描かれたことも何回となくありました。現在の行動や決断に直接つながる幼い日の思い出が描かれたケースというのは、存外に少なかったように思います。具体的に思い出せるのは、『ラブライブ!サンシャイン!!』に於ける国木田花丸と津島善子の幼稚園での天使エピソードぐらいで、他はなんだかいずれも微妙に異なります。
 そのなかでも本話に於けるかのんと千砂都の幼少期のエピソードは、千砂都がダンスを目指すことになった理由であったり、かのんが当時から歌が上手であったことを示唆する内容であり、またその舞台となった場所が第3話でフェスが行われた会場であることの奇遇(これを踏まえて第3話を観返せば、ステージで歌うかのんを見守る千砂都の表情も、これまでとは違う意味合いを帯びてきます)なども伝えるそれでありました。
 20分47秒からはじまる、神津島の夜の海岸でのかのんと可可の会話です、──
 可可:千砂都さんをやっぱりスクールアイドルに誘いませんか?
 かのん:可可ちゃん……。
 可可:もし、千砂都さんがいてくれたら、このグループはもっともっとよくなると思います。
 かのん:だよねぇ。私、可可ちゃんのためにも、スクールアイドルで結果出したい。そのためにも、ちぃちゃんにもメンバーになってもらえたら、って。
 可可:なんでダメ?
 かのん:ちぃちゃんね、まだ小さかった頃、私の前ではっきり言ったんだ。
[子供の頃の回想、舞台はフェスの会場となった場所。
 千砂都:わたし、かのんちゃんのできないことをできるようになる。かのんちゃんの歌みたいに。大好きで、夢中になれるもの。私も持てるようにがんばる!]
 かのん:そういって始めたのが、ダンス。
 可可:そうだったのですか。
 かのん:私ね、そんなちぃちゃんがいてくれたから、歌、諦めずにがんばってこられたと思ってるんだ。
──この前に、サニパの2人を含めた5人で露天風呂に入る場面がありました。ここでも夜空に瞬く星を見あげながら、「ちぃちゃんにも見せてあげたかったなぁ」というかのんの台詞も、ひとえにいまここに一緒にいないのが残念だ、という以上のものを感じてしまいます。スクールアイドル活動を共にすることで思い出を積み重ねてゆきたいというばかりでなく、2人でそれぞれ目指すと誓った夢の実現を果たしたいと確認したかったように、わたくしの眼には映ったのであります。
 ……さて、既に3,000字を超えてしまっております。これ以上は書くをの控えて、筆を擱きましょう。ただ他にも第5話の内容に関してお喋りしたいことは幾つもあるので、それらはまた別稿としてお披露目したく存じます。合わせて、これもまた別の文章となりますが、本作の感想を書くにあたっての準備とか手順とか、そんなことを備忘と反省・改良を兼ねて書いておきたいと思うております。
 次回、第6話「夢見ていた」は、09月05日放送予定。◆

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