第3151日目 〈『ラブライブ!スーパースター!!』第7話を観ました。〉 [『ラブライブ!スーパースター!!』]

 懸念が現実になろうとしています……『ラブライブ!スーパースター!!』第7話「決戦! 生徒会長選」は暗雲の立ちこめる回となりました……ここまで順調に積み重ねてきた評価が一転、地に堕ち塵芥に塗れる予感を濃厚に漂わせる不穏な空気が、本話にはぷんぷん漂っております。
 ストーリーは大まかに紹介すると、以下のようになります、──
 夏休み明けの9月、最初の登校日。延期になっていた初年度生徒会を発足させるため、結ヶ丘女子高等学校では生徒会長選を行うことになった。本命候補は葉月恋。創立者の娘であり、彼女自身この学校に特別な想いを持っていることを誰もが知ることから、立候補は勿論、最初から当選は確実視されていた。
 が、彼女の暴走を不安に思い、普通科蔑視を快く思わぬ人たちがいるのも、また事実──従って普通科からも誰か候補者を。そこで浮上したのが澁谷かのん、代フェスでの新人特別賞の受賞、サニーパッションに招かれて行った神津島でのライヴの成功など知名度では恋とタイなかのんが対抗馬と目されるのは当然。が、実際に普通科から立候補したのは平安名すみれであり、投票結果はペナルティを科されたせいもあって恋の圧勝。
 しかし講堂に集まった生徒たちが聞いた恋の挨拶は反発を招くこと必至で、実際かのんの隣のクラスでは公約違反に対する抗議署名を集める運動が展開される。新生徒会長の掌返しな発言にいま一つ納得のゆかぬかのん。下校する恋のあとを尾け、彼女の自宅で知った事実とは──。
 ──以上となります。
 前回予告から或る程度のドタバタというか、コメディタッチの回になることは予想できていました。そのあたりについては期待にそぐわないものとなった。恋が生徒会長になったらスクールアイドル活動は弾圧されてしまう、と可可が妄想するシーンは殆ど禁酒法時代のアメリカであります。Aパートでのかのんに立候補を勧める可可と千砂都のやり取りも面白かったし、相変わらずのすみれの、もはや不憫とさえ思われる扱いも堂に入ったものとなってきた。すみれといえば尾行時の扮装の帽子も『ラブライブ!』で矢澤パイセンが被っていたのと同様、アレな形のもので、通りすがりの子供たちに指さされていましたね(16分49秒)。
 が、それを帳消しにして余りある程の瑕疵を、本話は残しました。
 恋の自宅で偶然たち聞いてしまった、恋と葉月家に仕えるメイドの会話が、それです。いえ、これまでにもそれを想起させるシーン、発言、会話は出てきました。学校にこだわる恋の態度、恋と理事長の間で交わされた含みのある会話、などなど。加えていえばおそらくはそこに、恋のスクールアイドル活動を忌避する理由もある、と思われます。
 件の会話を再現してみましょう。21分55秒からのシーンです、──
 恋;聞いていたのですか?
 かのん;1人ってどういうこと? お金がない、って──
 恋;そのままの意味です。この家に残っているのはわたくし1人。お金もありません。このままでは学校を運営してゆくことも──
 かのん;え……?
 恋;母が遺した学校を続けるためには、わたくしが頑張るしかないのです。
 かのん;葉月さん……。
──と。
 これってなんだかおかしいな、と思うのですよね。
 創立者の家が学校の経営資金を負担することは、現実にあり得るのでしょうか。そりゃあ、幾許かの拠出はあるでしょうが、葉月家の経済を逼迫させる程の(いい換えれば恋をそこまで追いつめる程の)金額が毎年必要になるのか、と……。わたくしの認識が甘いだけかもしれませんが、どうしてもそのあたりに引っかかりを覚えてしまうのであります。
 創立1年目の新設校とはいえ、この学校は生徒の親からの寄付金を募ったり、或いは後援組織やそれに類する団体からの出資があるとか、私立学校でよく行われている経営維持の方策は採られていなかったのか。私立学校法も見てみましたが、ますます結ヶ丘女子高等学校の創立は摩訶不思議な経緯をたどっている印象を強くしただけでした。
 卑近な例にはなりますが、わたくしが通った私立高校は当時、創立10年目を迎えた学校だったが、創立前から理事長(当時は校長)であった人物と縁のあった代議士(閣僚経験者)を中心とした後援団体を作り、そこからの資金援助を主柱として学校を開き、第1期生を迎えた、と、校長や教頭、或いは創立当時を知る人たちから同窓会等で仄聞したことがあります。そんな経験があるから、なおさら結ヶ丘女子高等学校の創立経緯や経営母体と葉月家の存在もしくは関係性に疑問を感じてならぬのであります。
 もっとも、アニメのなかの学校に現実を当て嵌めようとしているわたくしの行為が極めて滑稽で或ることは承知しております。
 学校絡みでいうてしまいますが、神宮音楽学校の制服と結ヶ丘女子高等学校の制服って、まったくデザインが同じなんですね(20分14秒-20分22秒までの画面で確認できる限り)。わたくしはこの点にも不思議を感じてしまうのです。神宮音楽学校を前身とした学校であるならば、そこで採用されていた制服はむしろ音楽科が継承すべきものではあるまいか、と。ここになんらかの意図を──アニメスタッフの、ではなく、創立にかかわった人々の──感じてしまうのは、流石に穿ちすぎでありましょうか?
 それにしても、放送スタート前から不安視されていた問題の1つが、いまここに至って現実となることを、はたして誰が予期したでしょう。えーっと、『ラブライブ!』って学校が廃校問題に曝されないと成立しない物語なの? 学校を救うためにスクールアイドルやって廃校を阻止しよう、っていうのがシリーズ全体のコンセプトなの? それなら時によって『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』がシリーズ番外編の如き扱いをされているのも理解できる。
 が、そんなコンセプトが実際に存在するなら、わたくしは『ラブライブ!』シリーズに三行半を突き付けたい。観るだけ無駄、という気はないが、視聴者を愚弄するな、とぐらいはいってやりたい。スタッフ諸氏による視聴者置いてけぼりにも、自己満足とオナニーにも付き合う謂われはまるでないのだから。
 それにしても不安なのは、脚本の花田十輝氏であります。この方、巷間いわれているように原作附きアニメの脚本では非常に冴えた、良い仕事をするのですが(例;『響け! ユーフォニアム』等)、原作なしのアニメ脚本ではたいていどこかで場当たり的な書き方をして、それが当該作の致命傷になってしまう、という残念な傾向が見られます(例;『ラブライブ!サンシャイン!!』等)。『ラブライブ!スーパースター!!』では学校の廃校問題とは無縁の様子だったので、、花田氏の冴えた仕事ぶりを期待して、それが現実となって最終回を観終えられたら、と思うていたのですが……。
 とはいえ、この問題について結論を出すのは、まだ早い。次回第8話を観てみないことには、なんともいえぬ。現時点ではまだ憶測と不安を表明するに留めるのが無難でありましょう。
 ──過去放送分の感想文が長くなってしまっていたことを反省していましたが、本話より可能な限りスリム化を図ることにいたしました。よって、まだまだ述べたりぬ部分もありますため、改めて稿を起こして「落穂拾い」をしてみたい、と思うています。
 次回第8話は、「結ばれる想い」。映像で観る限り、第7話までの間で欲求不満にさせられた要素の幾つか、そうして今後のストーリー展開に決定的な影響を及ぼす要素が、解決されるようです。楽しみに次回放送を待ちましょう。◆

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