第3191日目 〈感慨に耽りながら、ジャズを聴く。〉 [日々の思い・独り言]

 なにが感慨深いって、モナミ、この日数ですよ。このあいだ第3000日目を迎えたなぁ、次の節目は第4000日目か、いや、その前に100日単位で回を積み重ねてゆくことだな、とつらつら考えながらぼんやりゆるり行き当たりばったりに進めてきたら、いつしか第3200日目を迎えている。正直なところ、あっという間でした。光陰矢の如し、ってきっとこんなことをいうんだろうな──勝手にそんな風に思うてみたりね。
 第3000日目はカラヤン=BPOの《英雄》と決めていた。実は、第4000日目の原稿も未定稿ながら書きあげてある。既に予約投稿してあるとはいえ原稿それ自体を、クラウドと外付けHDDに保管するだけでは不安なので──いつクラッシュしたりクラウド上の不備事故があってデータ消滅するかわかりませんからね。データクラッシュ(俗にいう、「飛んだ」という奴ですね)はもう二度と経験したくないっす──、印刷してファイルに綴じこんでおきました。
 それまでにわが身になにかあってブログ更新不可の状態に陥った場合は、これをお披露目して最後とするように、っていう書き置きも一緒にね。不遜な比較になりますがこのあたり、クリスティがあらかじめ『カーテン』を執筆して金庫に入れて、死後出版するよう遺言したのを意識しております。
 ……え、第4000日目の内容? 内緒です。
 感慨に耽るといえば、実は本ブログが開設から今年で13年目を迎えていたことにも、ようやく気が付いた。2008年10月04日に「第0000日目 〈始まりの日〉」を、翌々日の10月06日に「第0001日目 〈出エジプト記第16-18章:〈マナ〉、〈岩からほとばしる水〉、〈エトロのモーセ訪問〉〉」を投稿して、前途茫洋として行く先も帰港地も定かでない旅に──文字通り<夜の果てへの旅>に出帆したのでした。
 それがいつしか毎日読み、書き、お披露目して、を繰り返してリズムを摑み、不安よりも自信の方がうわまわった段階で聖書全巻の読書とノートを本ブログの背骨、柱と捉えて、ゴール目指して前に進むことを諦めなかった。その結果が、いまのわたくしのブログに他なりません。途中もう2つの、別名義で書いていた個人ブログをここへ統合させたのも、本ブログを一種の展覧会場と見立てたからに他なりません……。
 不安よりも自信の方がうわまわったのは、約1年の中断を挟んで「エレミヤ書」の読書を(かなり唐突に)再開して少し経った頃かなぁ。──小説を書くことに没頭していた、愉悦の時期! IさんとOさん、お元気かしら──
 例によってiPodをBluetooth接続して、ジュリー・ロンドンの「Fly Me To The Moon」、ドド・グリーンの「Let There Be Love」、メル・トーメの「I Concentrate On You」を聴き、いまスピーカーから流れているのはディーン・マーティンの「Just In Time」です。……実はこれ、いずれも一時期ジャズ音盤界を席巻した東芝EMIのコンピレーション・アルバム《Best JAZZ 100》の2枚目に収まる曲なのであります。
 ジャズを代表するアーティストたちによる名曲をこれでもか、これでもか、と全6枚に収めたセットで、かなり話題になった。リリースされた当時、既にタワーレコードからは離れていたけれど、渋谷、新宿、横浜各店舗のチャートには常に上位へ食いこんでいた、担当者の熱のこもった大判コメントとアートと一緒にパレット展開されてその期間はすこぶる長かった、何度かそれを手にする人レジへ運ぶ人の姿を目撃した、等々の記憶がこびりついている。後発のシリーズと合わせれば、かなりの枚数が売れたのではないか。
 購入者のなかに当然、わたくしもいる。それ以前から『FMレコパル』に連載された小説とジャズ好きの親戚(テナー・サックスを実に豪放かつ繊細に吹いた)の影響から、主に神保町と新宿、蒲田、横浜の中古レコード店を授業とかそっちのけで漁って歩いた愉しい記憶があるが、いまの街からはそうした中古レコード店はだんだん少なくなってゆき……淋しいものである。
 本屋さんと図書館と古本屋(新古書店には断じて非ず!!!!)と中古レコード店と喫茶店、がそれぞれ複数あることが、その街の文化の成熟具合、住みやすさのバロメーターになっているわたくしには、わたくしのような人種には、誠、「とかくこの世は住みにくい」であります。
 話がそれたが、この《Best JAZZ 100》ね、同名のタイトルで白いケースに入ったものがあるけれど、ここで話題に上しているのは青いケースの、たぶんいちばんポピュラーなセットであります。CD-1/2はヴォーカル、CD-3は<シネマ・ジャズ>、CD-4は<リラックス・ジャズ>、CDー5は<ジャズ・バラッド>、最後のCD-6はいわゆるヒストリカル、<歴史的ジャズ>を収める。
 ──これを飽きる程聴き返して気に入ったアーティストのアルバムを探して歩いた結果、相当な数の中古LPとCDが集まりましたが……聴力の絶望的な悪化に見舞われて、クラシック音楽や洋楽、J-POP、北欧トラッド同様見境なく売り払ってしまいました。手許に残るのは、この《Best JAZZ 100》を含めても20枚ぐらいではないか。大好きだったビル・エヴァンスソニー・ロリンズすらかなりの音盤を中古レコード屋さんに引き取ってもらった。
 暗い話はともかく、《Best JAZZ 100》は入門にぴったりのセットでありました。アール・クルーの耳あたりの良い爽やかなギター、小林桂の絹のようになめらかで光沢のあるボーカル、なんだか妙に心のなかに残って忘れさせてくれないチャット・ベイカーのトランペットとヴォーカル、等々ここから派生していろいろなアーティストの、いろいろな名盤と呼ばれるものを、買ったり借りたりラジオで聴いたりしてすごしてきました。
 お前はそうして聴いてきたなかで、だれがいちばん好きか、と聴かれたらピアノのビル・エヴァンスとバリトン・サックスのジェリー・マリガンをあげるに躊躇うことは些かもありませんが、マリガンは、チャット・ベイカーを幾枚か聴いているうちに突き当たり、架蔵していた《HAPPY ANNIVERSARY, CHARLIE BROWN》に1曲マリガンの吹く曲があると知って何度も聴き、その演奏の印象がはっきりしているうちに県立図書館で《オリジナル・ジェリー・マリガン・カルテット》と《ナイト・ライツ》を借り、村上春樹のエッセイを読んだ──図書館と村上春樹の順番は間違っていないと思います、が……さて、どうだったかな。
 ジャズを聴き始めて四半世紀超、未だわたくしはジャズについて明るくない。タワーレコードで働いていた頃、ジャズ担当者のだれかに「名盤100のシリーズを全部買って、最低でも4,5回は聴き倒せ」といわれたことがあるけれど、それも1つの卓見なのだろうな。
 クラシック音楽で同じこと訊かれたら、おそらくわたくしも同じような発言をすると思う。けれどちかごろのクラシック音楽の名盤100選って、いわゆる過去の、問答無用の名盤がごっそり抜け落ちているのが気にかかる。とはいえ、いまの時代に出しても決定的な説得力を欠くし、そも売上げが見こめないよね。んんん、理解はできるが、なんだか哀しい。というか、しっくりこない。いっそのこと、残った音盤と記録と記憶を頼りに、年代不問で100枚(100セット)を選んでみようかな……なんて企んでみました。
 すこしずつ、またジャズのレコードを買って、耳の状態の良いときに聴いてみたいな。奥方様がジャズ好きであることをこれ幸いと。えへ。◆

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